第3の任務 ポルナレフを探せ
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「シルバーチャリオッツ!」
「!…ポルナレフ!」
コロッセオの2階部分、観客席に、ポルナレフはいた。しかしその姿は以前に会った時とは全く違っていて、右目は潰れ両足とも義足がついており、彼の体は車椅子へと収まっていた。この数年の間に一体何があったのか問い質したくなったが、今はそんな事を聞いている暇はないようだ。ポルナレフが今しがた出したチャリオッツは、敵を攻撃しようと出したもの。そしてその対象は…観客席の奥、影の指す壁際にいる男に向けたもの。
「なまえ、花京院…久しぶりの再会を喜べなくて悪いが、コイツこそがパッショーネのボス、ディアボロだ。」
「パッショーネのボスだって…!?なぜ奴が今、こんなところに…!」
本当、典明の言う通りだ。やっとの思いで敵を倒して手がかりを求めここまで来たというのに、予定よりもこんなに早くボスが現れるなんて…休む暇を与えないという事だろうか?
もっと状況を把握しようと視線を巡らせた時、ポルナレフの手にスタンドの矢が握られている事に気がついた。しかしその見た目は今まで目にしてきた物とは形状が違い、明らかに"特別製"であった。ポルナレフの言っていた"ディアボロを倒せる可能性"とは、もしかしたらこれに関する事なのかもしれない。
「ポルナレフ、その矢「今は説明している暇はない!チャリオッツ!」
「既に射程距離に入っている…今度は逃がさない!キング・クリムゾン!」
「なまえ!!」
ディアボロのスタンドが出た瞬間、私の体は典明のハイエロファントの触手によって後ろへと引っ張られた。そして瞬きの間に時間が飛び、チャリオッツはコロッセオの壁を上へと登って行ったところだった。
「ポルナレフ!無事なの!?」
ここでポルナレフがやられてしまっては、せっかくここまで来たのに無駄足になってしまう。何より、また目の前でかつての仲間が死ぬところなど見たくはない。
「逃がさん!」
「ポルナレフ!!」
ポルナレフの傍らに立つディアボロ。外側に引っ張られた私の体。ポルナレフにトドメを刺そうと繰り出された攻撃を、私は止める事ができなかった。また私は、大切なものを守れず、失ってしまった。
「ポルナレフ…!!」
やられてしまったのはポルナレフだというのに、頭の中で10年前の記憶が流れ始める。まるで、走馬灯のように。
典明とイチャついているといつも悪態をついていた。みんなとはぐれて見知らぬ地でポルナレフと二人きりになった時、美味しい屋台で美味しいものを買ってくれた。典明に指輪をもらった時、泣いて喜んで祝福をしてくれた。
全部全部、ポルナレフとの大切な記憶だ。
「残念だったな。矢を手にしたのは俺だ!」
「ポルナレフ…っ!…返せ!!」
悲しんでいる暇は、ない…!
ポルナレフが"希望"だと言っていた、あの矢をディアボロに渡すのだけは阻止しなければならない!
ドォン!と轟音を立てて繰り出したパンチは空振り、石でできた床を砕いた。もう一度…!と続けざまに攻撃を繰り出すも一向に当たらず、辺りはだんだんと、床や壁が崩れてきていた。
「ジョルノ!み、見て。あそこよ!ブチャラティだわ!」
「!…トリッシュ…!初流乃…!」
トリッシュの声が下から聞こえてきて、ブチャラティが既に下へと辿り着いていた事を知る。この状況…援軍が来たと喜ぶべきか、彼らを危険に晒す事になるか…と考えたが、それよりもひとつ、気になる事ができてしまった。
コツ…コツ…
「ッ…貴様!何者だ!いつからそこにいる!?」
硬い足音に、黒い装い。人間ではない何かが、静かにそばを歩いていた。ディアボロの言う通りならば、これはディアボロに関係のあるスタンドではないという事になる。しかし、私の知る限りこの見た目は私の知っているスタンドには該当しない。では、一体誰の…?そう思ったところで、突然意識が遠のいていく。何か攻撃を受けたわけではないのに…。それに、私は睡眠を必要とはしていないのだから眠気が来るなんて事…。瞼が落ちる直前、典明を見ると彼も私と同様に何らかの影響を受けているようで…閉じようとする瞼を開けようと抗いながらもこちらに腕を伸ばしていて…こちらからも腕を伸ばし指先が触れ合ったところで、とうとう意識を失った。どうかこのまま、目が覚めないなんて事になりませんように。私にはもはや、そう祈る事しかできなかった。
「……ハッ…!朝…!?」
目を開けると空に日が昇っているのが見えて、慌てて地面に突っ伏していた体を起こし辺りを見回した。しかし視界から得られる情報は理解し難いもので、まだ夢の中なのではないかと混乱した。だって…だって…!
「わ、私…!?」
「…なまえ…?…一体、何が…?」
私の目の前で、ムクリと起き上がる私の体。その口振りから典明である事は分かったが…私の体に、典明の魂が入っている。
「典明。何が起こってるのか、まだ理解はできていないんだけど…。典明の魂と私の魂が、入れ替わっているみたいなの。」
「!なん、だって…!?」
典明の体は無いから、魂だけの私は私の姿のまま。つまりは、私が二人いるように見える。
「なまえが今、二人いるって事か…!?1人でもこんなにかわいいのに二人もいるなんて…!あぁ…写真に残したい…!」
分かる。典明の言っている事は、痛いほど分かる。もしも逆の立場だったなら、私も写真に残せないかと頭を悩ませていたに違いないのだ。
しかし…あれから数時間は経ったようだが、ディアボロの姿はなく、矢も見当たらない。代わりに…冷たくなったポルナレフだけがそこに残されていた。
「ポルナレフ…!…っ!」
ポルナレフの遺体に触れようと手を伸ばして、魂だけの私では触れられなくてスタンド能力を使いその手を掴んだ。結局…矢の秘密は聞けずじまいだ。これからどうすれば良いのだろうかと、少しばかり途方に暮れていたら、私の体で典明がポルナレフの体を抱き上げ、車椅子へと乗せてあげていた。いつも何も考えずにやっている事ではあるが、傍から見るとかなり異様な光景なんだなと妙に落ち着いていた。
ブゥゥゥン!
「…ナランチャの、エアロスミス…。」
耳を済ませてみると下の方で何やら喋っているのが聞こえてくる。ひとまずは合流するのが良いだろうと腰を上げると典明もそのつもりだったようで、ニコ、と私の体で微笑んだ。…確かに、私って最高にかわいいかも。
「ポルナレフ…!?ポルナレフよね!?」
「驚いたな…まさか亀と入れ替わるなんて…。」
「いや、俺としてはなまえさんが二人いる事だって驚きなんだが?」
少ししんみりした気持ちで下へと降りるとやっぱりみんないて、コロッセオの折れた柱を中心に集まっていた。その中央には亀が鎮座して言葉を発しており、その話し方から中に入っているのはポルナレフであると確信し無事を喜んだ。…無事、と呼べるかは、疑問だが。
その口から語られた矢の"使い方"は、想像を遥かに超えるものであった。
「ディアボロの体は、既に上には無かった。」
「みな平等に影響を受けるというなら、ディアボロもこの影響を受けているはず…。それほどまでに顔を見られたくないのか。」
典明の魂が入った私は、なんだか落ち着いていて頭が良さそうだ。私もああいう風に話したら、露伴にバカにされないんだろうな、とは思ったが、かわいい露伴を前にしてあんな態度は取れないのだから無理だった。…なんて考えてしまうあたり、精神的に少し疲れているのかもしれない。