第3の任務 ポルナレフを探せ
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「こっちの敵は私がやる。2人とも、一旦安全なところに。」
ズブ…とゆっくりと、だが確実に、自身の体が地面に沈みこんでいくのを感じる。液体のように波打っている地面は、その見た目に反して質感は石そのもの。チラリとだけ見えた人影はスタンド使い本体だろうか。そいつだけが地面の中を自由に移動できるらしい。いや…正確にはそいつだけ、ではないのだが。
「あなたのスタンド能力…とても面倒くさいのね。いい能力。……だけど残念。私の敵じゃないわ。」
「!」
敵が攻撃のために近づいてきたところを左手で掴み、右手では波紋を込めたパンチを一発。手応えは、あった。だがそいつは予想のつかない動きでその体を捩らせ無理やり私の左手を振りほどき一目散に逃げ出し、そのまま居場所が分からなくなってしまった。…次の攻撃は、来ない。一旦様子見といったところだろうか。
「見失った。ブチャラティ達は、もう車を手に入れた?」
「はい、そのようです。恐らくはあれが…。」
地面から這い出て初流乃に治療してもらいながら、丘を登っていく車のヘッドライトの明かりを眺める。…良かった。あそこまで行けばきっと今のところは、カビは届かないだろう。
「…なまえ。あのヘリコプター、車の方に向かっていくぞ。」
典明の言葉を聞き上空へと視線を巡らせると、確かにヘリコプターが1機、丘を走る車の方へと向かって行くのが見えた。このタイミングでのあの動きは…恐らく敵だろう。自ら動こうかと思ったが、私があっちに向かったところで地面に潜った敵の相手は私が最適。それに私はカビに感染してしまうだろう。と、いう事は、
「あの敵は…典明、初流乃、お願い。…いや、ちょっと待って…。」
何となく。何となく気になって、辺りに視線を巡らせる。
さっきの地面を泳ぐ敵は、未だ動きを見せない。敵は二人以上いて、同じタイミングで現れた。という事は、連携を取っているに違いない。
「!!なまえさん…!何を…!?」
地面に手を付いて耳を当てると、カビに感染した体は途端に崩れ始める。しかし、今は初流乃がいる。即死しないのであれば、大丈夫。それよりもだ。
「さっきの敵は、一旦退いたみたいね。あのヘリに一緒に乗っているのかもしれない。全員ですぐに向かおう。役割分担は、分かるよね?」
「うん、任せてくれ。行こう、初流乃。」
私のお願いを聞いてくれた典明は、この場に似つかわしくない綺麗な微笑みを浮かべ初流乃をハイエロファントの触手を巻き付け一足先に飛び立って行った。
もう…いつ見ても典明の笑顔は心臓に悪い…。今は敵との戦いに集中しなくちゃならないのに!
「そこのヘリコプターさん!少し止まれるかしら!」
ガシィッ!
件のヘリコプターがブチャラティ達の乗る車に追いつく直前。ギリギリのところでヘリコプターに追いつき、ヘリコプターから車目がげて投げ捨てられた死体を掴み取った。この人に恨みはないが、近くにあってはカビの胞子を撒き散らしてしまう。遠くに投げ捨てようかと思ったが一瞬躊躇し、掴んだ左手がボロッ、と崩れ始める。そこで典明がハイエロファントの触手をその死体に巻き付けたので、ありがたく左手を離した。典明のこういう気遣いのできるところ、大好き。
ドボンッ!
ヘリコプターから地面に落ちて消えたのは、やはり地中を泳ぐスタンド使い。私もこちらに着いてきて正解だった。
「典明、初流乃。くれぐれも死なないでね。」
「なまえも、死ぬんじゃあないぞ。」
「お気をつけて。」
ブチャラティ達は無事、車を前進させている。港からここまで進ませてしまったが、今度こそはこれ以上進ませない。私も敵の後を追い、再び地面の中へと飛び込んだ。
「ねぇモグラさん。本当に、非常に残念だけど、貴方は私に勝てないわよ?唯一勝機があるとしたら…、…私の左手は、カビに感染している…という事ぐらいかしら?」
私の能力は、完全に敵の能力の上位互換だ。敵は地面の中を自由に泳いで移動できるが、私は地面だけでなく全てを通り抜ける。これほどまでに相性のいい敵は、未だかつてないだろうという程には有利。とはいえ敵の身体能力は優れているようだ。…それすらも、私の敵ではないのだが。
ドドドドッ!
…なるほど、あんなちょっとした挑発にすぐに乗ってきたところを見るに、頭もそこまで良くはないらしい。その拳は、私に当たる事はないのに。
「なんでだよォ〜!なんで当たらねぇんだ!なんなんだよお前はァ〜!」
「うーん…世界で2番目に強い人間かなぁ?」
もちろん、1番は典明。私は典明には敵わないから。
「ねぇ。貴方はカビに感染しないのよね?それって、地面に潜ってるから?それとも、そのスーツが特殊なの?…まぁ、どっちでもいいんだけど。」
「うるせェー!知るかよそんな事!」
「そうね。じゃあちょっと、試させてくれる?」
ガシッ、ビリッ
「感染した私の左手で、直接貴方に触れたらどうなるのか。」
「!や、やめろォ!」
「へぇ…効くのね。じゃあ、心臓に触れたらどうなるかしら?」
「やめろォーーッ!!」
───つまらない敵、呆気ない終わりだった。
相手が悪かった、としか言いようがない。
ズズ、と地面から這い出て空を見上げると初流乃は未だ交戦中のようで、初流乃がGEで出したと思われる樹がヘリコプターをガッシリと絡めとっている様子が見て取れた。それに、実に十数年ぶりにハイエロファントの結界が網目状に張り巡らされている。これでは、敵は身動きできないだろう。
作戦を考えたのは典明だろうか。それとも初流乃だろうか。どちらにせよ戦略がよく練られていて感心するばかりだ。
が、何やら少し様子がおかしい。
完璧な布陣のはずなのに典明と初流乃は顔を見合せて何やら話しているし、何より敵にトドメを刺していないのだ。
…何か不測の事態が起きているのかもしれない。
このままここにいても仕方がないと、私も二人の元へと合流する事にした。
「二人とも、どうかしたの?」
「なまえ。向こうの敵はもう倒したのか?」
「うん、大丈夫。問題ないよ。それで、様子がおかしかったからこっちに来たんだけど…。」
ひとまず、二人は特に怪我もなく無事である事が確認できホッとした。が、続いた言葉が予想外すぎて、理解が追いつかなかった。
「それが…。さっきまで操縦席にいたはずの敵の姿が見当たらないんです。」
「…?どういう事?ヘリコプターからは降りていないはずでしょ?」
「そのはずなんだが…とにかく、姿がないんだ。」
なぜ。ヘリコプターからは降りていない。それは私や典明、初流乃も見ていたから確実なはず。それなのにヘリコプターの操縦席から姿を消したなんて……スタンド能力は、一人一つのはずだが……。
「敵もなまえみたいに、スタンドとは別に特殊な能力があるのか?」
「…考えたくはないけど、そうかもね。」
「なら、迂闊に近づくのは危険という事ですね…。」
「ハイエロファントの触手を伸ばして、捜索してみよう。」
典明の提案を、受け入れるしかなかった。正直、それしかない。典明も攻撃を受ければ私がダメージを追うので不本意だろうが、索敵にはハイエロファントが適任だ。
「!…これは…、…一体、どういう事だ…!?」
ハイエロファントの触手で索敵した結果、余計に訳が分からなくなってしまった。ハイエロファントが敵に見つかる事はなかったが、「生命反応がいくつもある」のだそうだ。
さぁ、どうするか…。
三人揃って顔を見合せ、頭上にあるヘリコプターを見上げた。