第3の任務 ポルナレフを探せ
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「これは……、…腐敗…とも少し違うか…。波紋を流したところで、どうにもならないかも…。」
「えぇっ!?まじかよ!!」
「落ち着いて。私が無理でも、初流乃がいるから大丈夫よ。」
「そ、そうか…、そうだよな…。」
やっとローマに着いたと思ったら早々に攻撃を受け、つかの間の休息だったな…とため息を吐く。敵はどこにいるだろうか。典明がハイエロファントを飛ばして辺りを捜索しているが、反応はない。という事は、すぐ近くにはそれらしき人影は無いという事…。
陸へと上陸し、辺りを見回す。
「ねぇナランチャ。あなたはさっき、何をしたの?攻撃を受ける前の行動を教えてくれる?」
「え?…えーと、そこから、船に飛び乗ったぜ。操縦席だ。」
その答えの通り、自身も同じ行動を取ってみる。すると、ナランチャと同様に一瞬にして、体の一部がボロッと崩れた。
「なまえッ!!本当に君は…!!」
「…大丈夫よ、典明。すぐに死にはしない。即死級の攻撃なら、ナランチャもミスタも既に死んでいるはずだもの。敵スタンドの能力の正体を知るためには、多少の犠牲は必要でしょう?」
かつて、典明がした事と同じだとまっすぐ彼の瞳を見つめると何か言おうとして開かれた口が、そのまま閉じられた。典明が何を言いたいかは、分かっている。私も逆の立場だったら、そう言いたくなっただろうから。
「波紋の呼吸のおかげで、私への被害は少なそうね。」
ナランチャの手の中にある亀も、いくらか被害を受けているようだ。さっきは気が付かなかったが、初流乃の指先も少し、崩れてしまっているようだ。
「初流乃。初流乃は右手でも左手でもいいから、絶対に死守して。あなたの手が無くなってしまったら、きっと全滅してしまうから。」
「!…はい、分かりました。」
「みんなは今の位置よりも低い位置に行かないように。攻撃のトリガーは、きっとそれよ。」
「これはスタンドだぞ!何のためにこんな習性が!」
「どんどん広げるためだ…スタンドの射程距離を…!」
初流乃の言った通りだ。この攻撃を受けると、いずれ死んでしまう。そしてその死体から出たカビでまた近くにいる人は攻撃を受け、いずれ死ぬ。そうやって、攻撃範囲をどんどん広げているのだ。通りで、典明のハイエロファントでもなかなか見つからない訳だ。
「亀を投げろナランチャ!」
「!待って…!私が…!!」
「うわぁぁああ!!」
ブチャラティの指示に従い亀を振りかぶったナランチャの脚が、体重を支えきれずにグラつき、その衝撃で手が崩れ亀が宙に舞った。
ハイエロファントは遠くに飛ばしてしまっているし、私が何とかするしかない。
自分の体の軌道や亀の落下速度を計算し、亀をキャッチし岸に飛び移ると、何ともないようでホッとひと息ついた。ついでにナランチャも抱えて飛び移ったので、とりあえずの危機は脱したようだ。今のは、心臓に悪かった…。
「さて…ここからどうする?ブチャラティ。ローマに行くには、ここを突っ切るのが一番早い。ボートに戻れば、全員またカビにやられるし。」
「ここは本体を探すよりも、車を手に入れ、この村を脱出する方が得策だ。俺達が優先する事は、一刻も早くローマに向かう事だからな。」
ブチャラティの言う事は尤もだ。しかし、敵がそれを許してくれるだろうか?
「…私と典明が、敵の足止めをするのはどう?」
「……それが、全員が生き残る可能性は一番高いだろうな。」
「どうやら典明は、カビの影響を受けないみたいだし…私には、後から車に追いつく術もある。」
カラン、カコン、
「!!」
作戦会議のさなか、階段に倒れていた死体の側から缶が溢れ落ちる。咄嗟にスタンドを出したブチャラティはそれを見て一瞬ホッとした様子だったが…続いて再び転がっていく缶を見ながら、首を傾げた。
音が、途中で消えたからだ。
「…ミスタ…言い直す。何か…、何か変だ。早く登れ!」
「ブチャラティも!早く行って!」
ゴゴゴゴ…
突如鈍い音を立てて、地面が沈んでいく。
これは…、カビのスタンドとは関係ない、別のスタンド能力…!つまり、敵は二人いるという事…!
「二人とも!」
グイ、と些か強引に二人を担ぎ上げ、宙へと登る。あまり高い所へ行ってしまっては、この先本体との戦闘になった際に不利になってしまいかねないため最低限の高さだ。
空中から下を眺めていると、グニュ、という効果音がつきそうな質感でレンガが変形して元に戻るところで…典明と、顔を見合わせた。
「やっぱり、私と典明で引き受けるわ。」
「仕方ないな。車で逃げるなら、ここから少し離れたところで車を探さなければならないだろう。」
「ブチャラティ、初流乃をお願いね。」
「いや…僕はなまえさんの方に残ります。」
「ダメよ初流乃。初流乃は安全な場所まで行ったら、ナランチャとミスタを治さなきゃ。」
「…二人は、致命傷じゃあない。万が一なまえさんが戦闘不能に陥った場合、怪我を治せる僕がいた方が全員が助かる可能性が高いと思います。なまえさんがやられてしまったら…僕達全員、全滅するかもしれません。」
「……。」
やはりこの子は、頭が良い。戦闘の経験なんてほとんどないはずなのに、いち早く状況に合わせた最適解を頭の中で組み立てられている。
初流乃がこちらに残るというのは、初流乃の言う通り正直言って最適だろう。しかし私が初流乃をこちらに含めなかったのは、親心であった。どう考えてもあちらよりもこちらの方が危険な事は、目に見えている。そんな場所に初流乃を入れるなど、自分の口からはとてもじゃないが言えなかった。だが…初流乃はこう見えて、頑固だ。一体誰に似たのやら…と典明を見るとこちらの意図を理解した典明が僅かに眉間に皺を寄せた。
「…分かった、それで行こう。ただし、初流乃は片手の死守が絶対条件。敵の強さが分からない以上、自分の身は自分で守って。」
「はい、なまえさん。」
「ここは僕らが引き受ける。必ず合流するから、そっちも生きてくれよ。」
「あぁ、すまない。」
この感じは、久しぶりだ。それこそ吉良吉影と対峙した時以来のヒリつき、そして高揚感。きっと今から戦う相手は、そのくらい、強い。
「なまえ…君、この状況を楽しんでいないか?」
「そうかも…。体を動かすのは、随分久しぶりだからかな。」
グッ、と拳を握る。先程崩れてしまった体は初流乃が既に治してくれて、欠損は無い。
「くれぐれも、無茶はするなよ。」
「うん。…私が死んだら、典明も消えちゃうしね。」
「そういう事を言ってるんじゃあないんだけどな。」
「あら。私、典明のために戦った方が強いのに。」
「…それは、そうだね。とても心強い。」
ふ…と典明の優しい微笑み。この笑顔を守るためなら、なんだってできちゃう。もう、私が最強!ってくらいに。
「さ。さっさと倒して、早くポルナレフと合流しなきゃね。」
そしてあわよくばその勢いで、パッショーネのボスもサクッと倒してしまいたい。
あんまりちんたらしていたら、日本に残してきた露伴がイタリアまでやって来ない保証はないしね。