最終任務 パッショーネのボスを倒せ
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「ミスタぁ〜!見張りのNo.7が騒いでる!ブチャラティの体が…目覚めたぞ〜!!」
「!」
どうしよう。どうすれば。
矢を取り返したいのにチャリオッツレクイエムにスタンドを近づける事はできない。その上背後ではブチャラティの体…恐らくディアボロが目を覚まし立ち上がろうとしている。
「矢の追跡は後だ!奴の体が見える位置に付け!」
「…矢の追跡は、私達に任せて。行こう、典明。」
「!っ待て…!」
ブチャラティの制止の声を振り切り、私と典明はチャリオッツレクイエムを追いゲートから飛び出した。チャリオッツの歩みは、ゆっくりだ。それに、こちらから手を出さない限り攻撃をしてくる事はない。すぐには無理でも、典明と2人で頭を働かせれば何かいい案が出てくるかもしれない。今はまだこれといった作戦はないが、目的もなく歩き回るチャリオッツレクイエムから目を離す事だけは避けたかった。
「私は今…魂だけだから矢には触れない。矢を掴もうとスタンド能力を使えば、暴走する。」
「対する僕は、矢に触れられる。…試してみるしかないな…。」
典明の言う通りだ。どうしたら良いか分からなければ、色々試してみるしかない。
私と典明でチャリオッツの両脇に並び、まずは私がチャリオッツの持つ矢へ手を伸ばしてみた。…それは予想通りするりとすり抜け、空を切った。ならばとクイーンで掴もうとスタンドを出せば、逆にクイーンに手首を掴まれる始末。…今の私は、何の役にも立たないのだと悟った。
しかし典明は典明で、腕を伸ばしただけでハイエロファントの触手がそれを阻止するかのように出現し、腕を締め付けた。エメラルドスプラッシュが出なかったのは、不幸中の幸いだ。
続けて典明が取った行動は、チャリオッツ自体に手を伸ばす事。意外にもチャリオッツレクイエムには実体があるらしく、ぺたりとその表面に触れた。そのままグイ、と腕を引いて矢を取り落としたが、拾おうと手を伸ばしても自身のスタンドが邪魔をして拾う事ができない。…それが、なんとももどかしい。
「チャリオッツ。私達の声は、聞こえてないのかな?…いや…、既にポルナレフの声も届いていないのだから、聞こえないのよね。…露伴のヘブンズドアなら、何とかなったのかな?」
「なまえ…。」
どうしたら良いのか、全然策が浮かばない。チャリオッツは再び取り落とした矢を拾い上げ、また歩き始めている。私達はただ、その隣をついて歩くだけ。
「なまえさん!」
「初流乃…いや、ナランチャ。みんなも。…初流乃は?」
「……。」
後から追いついてきた一行を振り返り見ると、さっき二手に別れた時にいたはずの初流乃…ナランチャの体─の姿が見えなかった。ディアボロとの戦闘で不測の事態が起こって置いてきたのかと何気なく聞いただけだったのだが、返ってきたのは沈黙。そしてみんなの硬い表情。冷たい空気。それら全てを目の当たりにして、背中を冷たい汗が伝った。
「まさか…、初流乃…ッ!!」
「…なまえさん…。僕が、汐華初流乃です。ナランチャは、ボスの攻撃を受けて……。あとで必ず、迎えに行きます。」
「ッ…!」
「なまえ。…落ち着け。落ち着くんだ…。」
心臓が、見えない何かにギュッと強く掴まれたような感覚がして思わずよろめいた。だってまさか、さっきまで元気だったナランチャが死んだなんて、そんなの到底信じられない。いや、信じたくない。ナランチャは、ギャングにいるのが不思議なくらい、いい子だ。たった数日の付き合いだった私にも分かるくらい、彼は純粋で、仲間思いで…かわいい子だった。遠い過去の記憶が、頭の奥の方から呼び起こされる感覚がする。
「…チャリオッツ、お願いだから、止まって。私はもう…戦いたくない…!」
今まで気付かないフリをしていたが、アバッキオの姿だって、しばらく目にしていない。アバッキオやナランチャだけでなく、露伴や康一くん、そして典明が息絶えていくシーンが一気に頭の中を駆け巡って、体が動かなくなった。
「なまえ!!」
パァン!と乾いた音がすぐ側で聞こえてきて、遅れて痛みがやってきた。どこが痛いのか分からなかったが、これまた遅れて脳に伝達された情報によると痛むのは左頬で。ゆっくりと視線を巡らせると、目の前の私が右手を左手で包んでいるところが視界に映った。
「てん…、めい…。」
いま私に触れられるのは、典明しかいない。
「しっかりしろ!なまえ!!」
典明が、怒っている。私に。私の頬を叩いたのも、典明だ。
「こんな時に弱音を吐くな!僕が愛したみょうじなまえという子は、強くてかっこいい子なんだ!」
「…典明…。」
「僕は常々、君の強くてかっこいいところが好きだと言ってきただろう?それがなんだ、今の君は!」
「花京院さん、少し言い過ぎでは?」
「初流乃は今、黙っててくれ!」
堪らず割って入った初流乃を一蹴する典明は、滅多に見ない程に頭に血が上っているようで逆にこちらが冷静になる。典明にそういう意図はないはずだが、効果は覿面だ。
「典明…ごめんね…。今からでもがんばったら、また好きになってくれる…?」
「!!…違うんだ、なまえ!僕はどんな君でも、愛している。」
「分かってる…。けどね、私が何より恐れているのは、典明に見放される事なの。だからね、このままだと典明に見放されるかもしれないって思ったら、さっきの恐怖を上回ったの。」
「っ!…なまえ…、すまない。酷い事を言った。それに、君を叩いてしまった…。」
さっきとは打って変わって、途端に慌て始める典明。謝りながら私の頬を撫でる表情は今にも泣きそうで、今度は私が典明を慰めなければという思いにさせる。
「弱い私は、奥底に押し込めておくから…だから典明、ここからは、強くてかっこいい私だけを見ててね。」
ぎゅっと抱きしめた私の体は、自分の体のはずなのに典明の匂いがした気がしてゆっくりと息を吸い込んだ。…魂だけだから、呼吸器官があるかどうか怪しいのだが。
今は目の前で起こっている事だけに集中して、他の事は一切、無理やり頭の隅に追いやった。
「ここからも何も…もうずっと、君しか見てないよ。」
「はぁ…、典明、本当に王子様…本当に好き…。ありがとう、典明。」
「…上手く収まったのなら、何よりです。」
「なまえ、花京院。続きは終わってからにしてくれるか?今はチャリオッツレクイエムを何とかしないといけないんだが。」
急にポルナレフの声がしたと思ったら、どうやら初流乃の腕の中に収まっていたらしい。私達のイチャイチャを邪魔してくるのは、相変わらずのようだ。
「それだけど。…次にチャリオッツの手から矢が落ちたら、ポルナレフ。あなたが矢を拾って。」
「!…俺が、か…?……!なるほど…試してみる価値はあるかもしれないな。」
色々試してみて、まだ試していない手がある事に気がついた。これが上手くいく保証はないが、試さないわけにもいかない。
「諦めずに、食らいついてやる…!」