第3の任務 ポルナレフを探せ
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「承太郎は今、飛行機みたいね…電話が繋がらない。」
ポルナレフは生きていたと報告を入れようと思ったのに…仕方がない。メールを1通入れておこう。
カチカチとメールの本文を打ち込んでいくが、ポルナレフからの情報は一度に聞くには量が多すぎて気がつけば長文になってしまった。だがしかし、これは私が悪いのではない。ポルナレフが報告を怠っていたせいだ。連絡できる状況じゃなかったなんて言い訳していたが、そのせいで私も承太郎も忙しい中こうしてイタリアまで飛ぶ羽目になったのだ。本当、少しは学習するとかないのだろうか。
「…あ、アバッキオ。体はもう平気?念のためもう少し、横になってて。」
メールの送信ボタンを押して顔を上げると、アバッキオが虚ろに目を開けているのに気がついた。携帯電話を仕舞い近くへ寄ると視線がかち合い、ホッと胸を撫で下ろした。
「体温は…少し低いかな。ゆっくり瞬きして、私の指を見て。…うん、大丈夫そう。どこか痛みや、不快感はある?なければゆっくり起き上がって、お水を飲んで。」
「……随分、手馴れてるんだな…。」
「んー、いつもは大体、される側だけどね。見よう見まねだよ。はい。」
事前に冷蔵庫から出して常温になった水を差し出すと、アバッキオは素直に受け取り喉へと流し込んだ。顔色はもう、随分戻っている。
「手足の痺れとかもなさそうね。無事に生きてくれて、良かった。」
「…アバッキオ、なまえに惚れるなよ。」
「!…典明…何言ってるの?いくら私がかわいいからって。」
「そうだぞ。なまえはかわいいんだ。そんななまえに甲斐甲斐しく世話を焼かれたら、男なんてみんなイチコロだ。しかし残念だが、なまえは僕のもの。露伴は許したが、もうこれ以上許すわけにはいかない。本当なら、僕一人で独占したいんだ。」
「っ…!典明…もう一回言って。僕のものだって、もっといっぱい言って…!」
「……一体、何の話をしてるんだ?」
アバッキオは困惑したような呆れたような表情で私達を眺めた。
何の話って…、典明が私の事を大好きだって話?
「…あれ?私、寝てた…?」
「おはよう、なまえ。ずっと気になっていたんだけど、あなたっていつ寝てるの?いつ見ても起きてるけど。」
どのくらい眠っていただろうか。最近ずっと眠っていなかったから、体が無理やり睡眠を取ろうとしたらしい。寝起きに見た典明の微笑みが綺麗すぎて、ここは天国かと錯覚しそうになってしまった。
窓がないので今何時なのか検討もつかないが、まだローマに到着はしていなさそうだ。で、トリッシュへの返答、だが。
「私、寝ないのよ。寝なくても大丈夫というか…基本的に睡眠や食事を必要としていないというか…。」
「…どういう事?」
そういえば波紋についてはなかなか説明する機会がなく、今まで詳しく説明はしてこなかった。とはいえ寝起きの頭では順序だてて説明するのが面倒臭い。という事で、説明は私が面倒くさがっているのを察した典明に任せた。本当…気遣いのできる男性って、素敵。
「なまえって…すごいのね。28歳でそのお肌は、羨ましいわ。」
「えへへ…吐きそうになりながら猛特訓したのよ。典明や承太郎…兄が信じてくれたから、頑張れたの。」
「…ねぇ、もうひとつ質問してもいいかしら?なまえは花京院さんの、どんなところが好きなの?」
出た。ガールズトーク!それも私が一番、聞かれて嬉しい質問だ!
どんなところが好きか。それを聞かれて照れくさくなって話したくない子もいるようだが、私は逆だ。むしろ聞いてほしい。私の典明が、いかに素晴らしい人かを!
「典明は、王子様なの。私の、私だけの、王子様。」
「なまえ…。人に聞かれて一言目にはそう答えるのは、やめてくれないか?どういう顔をしたらいいのか困る。」
「典明は困った顔も素敵で魅力的だから、そのままでいて。それに私にとっては大事な事なの。私はずっと王子様を待ってて、やっと現れたのが典明だったんだから。」
「……狡いな、君は…。」
王子様が現れるのを待っている私の前に突然現れた、花京院典明という人。男の子よりもよく食べ、男の子よりも力のあった私を唯一、女の子扱いしてくれた奇跡みたいな人。それを説明するのに、王子様に例えないでどう説明しろというのだろう。
「私はね、典明に出会うまで誰かに守られたり、女の子扱いをされた事がなかったの。子供の時から大食いで、力持ちだったから。だから初めて女の子扱いされた時…とても嬉しかったの。それに典明はいつも私を守ってくれて…そんなのもう王子様じゃん!って、気がついたら好きになっててね。それからもう、ずっと好き。私を当たり前のように守ってくれて、その上尊重もしてくれて…これが愛なんだなぁって、典明と過ごしていく中で、初めて知ったの。」
「…なまえ…本当にかわいい…。キスしてもいいかい?」
「〜〜!!こういうところも好きなの!!立ち振る舞いも優雅で笑顔も素敵で品があって優等生かと思いきや、たまに口が悪かったり案外すぐ手が出るとことか!もう全部好き!!」
「そ、そう…。分かったわ、ありがとう。」
「典明〜!好き好き〜!」
空気を読んで視線を逸らしてくれたトリッシュには申し訳ないが、私に対する愛おしさを隠しもしない、典明の優しい笑顔を見せられてはキスしないわけにはいかなかった。ブチャラティ達についてきてから数日、全然二人の時間が取れなくて典明不足で死んでしまいそうだった。典明、好き!!
「コイツはスタンド攻撃だ!待ち伏せされてるぞ!」
「何っ!?」
私と典明の穏やかで幸せな時間をぶち壊す、ミスタの一言。…というより、敵の出現、か。
今度は一体、どんなスタンド使いが現れるだろうか。杜王町の時といい今回といい、次から次へとスタンド使いが現れてきて、そろそろうんざりなのだが。
「状況を説明しろ!ミスタ!」
「いきなり吹き出しやがった…!くっつけられた瞬間は見えなかった!カビみてーなものが…肉がグズグズになるものが、俺の皮膚の下から出てきたように見える…!!」
ミスタからの状況説明を聞きながら、顎に指を当て、敵の能力について考える。
スタンド使い相手の戦闘で一番大事なのは、何を差し置いても敵のスタンド能力を知る事だ。こちらのスタンド能力はすでに、敵に知られている可能性が高い。なら、一刻も早く敵スタンドの能力を分析しなければ。
「…敵は…すぐ近くにはいないかもね。それに広範囲攻撃ができて一般人まで巻き込むという事は、敵は手段を選ばない卑劣な性格ね。そういうタイプは頭が切れる奴だと厄介だけど…どうかしらね。なんにしても、敵本体の位置が分からない以上、私やブチャラティは無闇に動けない。」
「上陸は出来ねぇ!沖に逃げよう!」
「!待って、ナランチャ!」
どうすべきか考えている最中だというのに、ナランチャはボートの船首から操縦席へと降り、ミスタと同様の攻撃を受けてしまった。しかし、やはり何をされたのかは分からないらしい。カビ……。ナランチャは今、何をしただろうか?
動いたナランチャの体から突然、カビの胞子のようなものが吹き出た。この状況を元に、早い段階で発動条件を突き止めなければ。
「なまえ…!ハァ…全く君は…。」
亀の中にいたって外にいたって、きっと状況は変わらないだろうと、一人亀の外へと体を出してみる。何も言わずに出たものだから、典明は呆れたようにため息を吐いて私の後ろをついてきた。
しかし外に出てみたところで敵の姿は見えず、まずは攻撃を受けたナランチャの元へと向かった。
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