第3の任務 ポルナレフを探せ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「敵だ!敵がいるぞ!スープの中に、サメがいる!」
「!トリッシュ、亀の中へ。」
次の目的地への移動経路の相談中、ナランチャが敵の襲来を告げた事で全員、戦闘態勢に入る。初流乃がいち早く亀を手にしたおかげで、最速と言っていいスピードでトリッシュを中へと避難できた。しかし油断はできない。ベイビィ・フェイスのように気付かぬうちに亀の中へと侵入されては元も子もないと、私も亀の中へと入った。たまにはこういう役回りも、やらなくては。
なんだか、静かだ。外で何が起こっているのだろう。典明に「外の様子を見てくる。典明はトリッシュのそばにいて」と声をかけ、そっと亀の外へと体を出す。しかし予想していたような戦闘は起こっておらず、ブチャラティ、アバッキオ、ミスタは先ほどのテーブルを囲み何やら話し合っているようだった。
「…初流乃と、ナランチャは?」
「しまったァー!!逃げられたァー!!」
「!?」
ナランチャの声は、トイレの方から。男性用トイレか知らないが、体が先に動いて中を覗き込むと首から血を流した初流乃が、床へと沈み込んで行くところであった。
「クイーン!」
ガシ、と初流乃の服を掴む。この能力を使うのは、久しぶりだ。すぐに視界が暗くなって、やがてドボンという音と共に水の中へと落ちた。これは、どういう能力なのだろうか。咄嗟に初流乃についてきたが、初流乃は、無事なのだろうか。
「初流乃…いま、取るからね…!」
クイーンの手で初流乃の首に引っ付いている魚を掴み、剥がした。しかし、ここからどうする。と考えている間にナランチャのエアロ・スミスがやってきて、魚のスタンドを撃ち抜いた。…クイーンの能力を発動していて、良かった。
ナランチャのおかげで、レストランの厨房に出る事ができた。なるほど、水から水へ瞬間移動ができる能力。素早いが、移動できる距離はとても短いと。そこまで分かれば、あとはきっと大丈夫。
初流乃はいま、スタンドを出せないほどの怪我をしている。まずは治療をしなければ…!と治癒の波紋を流し込む。だが仗助は治癒の波紋の効きがよかったのに対し初流乃は効きが悪いようで、いつもの手応えが感じられない。なんというか、波紋のエネルギーが分散してしまうような感覚だ。それでも、諦めるわけにはいかない。全く効かないわけではないのだから、流し続ければいい。
バシッ
「…私の大事な初流乃を狙うなんて…よっぽど死にたがりなの?」
そういえば長らく使っていなかったから忘れかけていたが、波紋というものは水と相性が頗る良い。という事は。
「波紋疾走!!」
バチバチ!と激しい音を立てて、魚が飛び跳ね水の中へと逃げ込んだ。…やはり本体に使わなければ、本来の力は発揮できないらしい。
「ナランチャ、本体を探して。あなたなら絶対に見つけられる。頼んだわよ。」
今のでいくらかは、ダメージを与えられたはず。きっと本体は今、撤退しようと動き出しているはずだ。その敵を見つけ出して倒す。ナランチャなら、できるはずだ。
「なまえさん…もう、大丈夫です。」
「初流乃…!良かった…。」
治癒の波紋を流し続ける事、数分。やっと少し傷が塞がってきたかという頃、ようやく初流乃のゴールド・エクスペリエンスが姿を現した。ホッとして波紋を流すのをやめるとみるみるうちに自身の傷を治癒し、元通りになった初流乃の姿。いつものキラキラした笑顔を見てようやく、肩の力が抜けた。
「攻撃が始まってからの時間はどのくらいだ?4、5分か?とにかく、組織の追っ手が今このヴェネツィアにいるとはとても思えない。ガラ空きになったはず。」
また、全員でボートでの移動が始まった。トリッシュはまた、亀の中だ。パッショーネに追われているため仕方のない事だが…こんなに天気が良くて気持ちのいい日にずっと室内に閉じ込められるなんて、可哀想だ。
「なまえ…。気を遣わなくていいのよ。」
「うん…そうなんだけど…あっちにいても、居心地悪いしさ。私、彼らとはなんの関係もないし。」
「そう…。」
それは、本当だ。彼らとの繋がりは、初流乃の存在あってこそ。アバッキオ以外は気軽に話してくれるようにはなったが…年齢が離れている上に性別も違うし、やはり、お互いに気を遣ってしまう。それに、別に無理に仲良くする必要はないのだ。
「なまえ、爪かわいいわね。」
「これ?かわいいでしょ。露伴にやってもらったんだ。」
「あぁ、確か岸辺露伴と知り合いなんだっけ。」
突然のガールズトークが嬉しくて、前のめりになって反応してしまった。だってなんだか、ようやく心を許してくれたみたいで、嬉しい。
「トリッシュも露伴の事知ってるの?イタリアでも知名度があるなんて、負けてられないなぁ。」
「なまえはその岸辺露伴と、仲がいいの?ネイルアートをしてもらうなんて相当仲がよさそうだけど。」
「うん、仲良しだよ。これを描いてもらった時も"動くな"とか"触るな"とか口煩かったけど、合間にお菓子を食べさせてくれたし。」
「…思ってたよりも仲良しね。」
「あはは、うん。喧嘩するほど仲がいい、っていうしね。」
尤も、それは私と露伴よりも、私と承太郎の方が合っているのかもしれないが。
…そういえば承太郎に報告をしなければと思い出し携帯電話を取り出すと、ちょうど電話がかかってきたところでノータイムで通話が始まった。相手は承太郎ではなく、露伴だ。
「もしもし露伴?どうしたの?」
「どうしたの、じゃあない。昨日は途中で切りやがって…!」
「えぇと…それはごめん。というか露伴、そっち今何時?夜中じゃないの?」
「…君が昨日これくらいの時間にかけてきたから、この時間なら繋がりやすいと思ったんだが。」
えーかわいい。あの露伴が気遣いを見せるなんてと、思わず母性本能を擽られてきゅんとしてしまった。典明にはそれが伝わってしまって「ふふ」ととびきりの笑顔を向けられて…視覚的にも聴覚的にも幸せすぎる。
「ありがとう、露伴。でも、夜更かしは体に悪いからちゃんと寝てね。」
「おい、子供扱いするんじゃあない。第一、君がこまめに連絡してくれればこうしてこっちから電話をかける必要もないんだ。」
「えぇ…。」
なんだか、今日の露伴はちょっと拗ねてないか?いや、元々こんなだった気もするが。なんにしても、素直に寂しいと言わないのが逆にかわいい。本当に。
「君、いまどこにいるんだ?」
「んーとね、今はボートの上で、これから空港に行くみたい。ヴェネツィアからサルディニア島へ移動するところよ。」
「へぇ、ヴェネツィアか。さぞ綺麗な風景だっただろうな。」
「うん。ねぇ、この一件が終わったら知らせるから、露伴もこっち来てよ。一緒に旅行しよ。」
「悪くないな。久しぶりに僕も、初流乃に会いたいし。」
「うん、約束ね。」
なんとか、露伴の機嫌は直ったらしい。しかしまた「初流乃は近くにいるのか」と言うので「今はちょっと」と言葉を濁すと「やっぱり面倒事じゃあないか!」とお小言が始まりそうだったので結局途中で切る事になった。面倒事に巻き込まれるのは私だが、それに首を突っ込むのはいつも露伴の方だというのに!