1000打記念
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ご都合スタンド能力「20年後の自分と入れ替わる能力」
※20歳と40歳が入れ替わる
--------
「なまえ!」
「承太郎っ…!」
ボフン!と音を立てて、目の前の承太郎は白い煙に包まれた。私に向けられた攻撃を、承太郎が庇ってくれてマトモに受けてしまったのだ。
「承太郎…!承太郎っ!」
「なまえ…。」
徐々に晴れていく煙の中の人影に目を凝らし名前を呼ぶと、確かに承太郎の声が私の名を呼ぶが…少し、違和感を感じた。
「承太郎、無事なの…?じょうた、ろ…、…えっ?」
「なまえ、か…?」
思わず承太郎の方へと歩み出していた足を止めた。
目の前にいるのは承太郎であって、いつもの承太郎ではない。誰がどう見たって、言い方は悪いが、老けている。
「あぁ、あの時の…。大丈夫だ。あの敵は、若い頃の私が既に倒している。」
「あ…えっ、"私"…?あの、えーと…承太郎、さん…?」
「ん?」
か、かっこいい…!オラオラしてる今の承太郎と違って、ものすごく大人な雰囲気を醸し出している承太郎さん。これが大人の魅力か…!と思わず見蕩れてしまうほどである。
「とりあえず、SPW財団に連絡を頼む。話はその後だ。」
「は、はい…!」
さっき承太郎さんが言った通り、敵のスタンド使いは向こうで倒れている。慌てて携帯電話でSPW財団へ電話をし事情を説明するとすぐに向かってきてくれて、大人の承太郎さんと何やら話をしていた。仕事をしてる姿も、かっこいい…。
「帰ろう、なまえ。」
「はい…!」
間違いなく今の私は、目がハートになっている事だろう。
「承太郎さんは、今おいくつなんですか?」
「40だ。君からしたら、もうおじさんだな。」
「そんな事ないです…!落ち着いてて大人で、その…とっても素敵です!」
「ふ…、ありがとう、なまえ。」
あぁもう、好き。承太郎には若干の申し訳なさがあるが、承太郎さんは承太郎なのだから許してほしい。むしろ成長が楽しみすぎる。
「あの、承太郎さん…。聞きたい事があるんですけど…。」
「…未来に関する事は答えられないが、それでも良ければ。」
今も一緒にいるのか聞きたかったが、それは聞くなと釘を刺された。それもそうかと、もうひとつ気になっている事を聞く事にした。
「20歳の承太郎は、私の事、好きですか?」
「…なぜそんな事を聞く。君達は付き合ってるだろう?」
「えぇと…承太郎、好きとか言葉にしてくれないから…。」
本人を目の前にして言うのは失礼だっただろうか。しかし、承太郎に直接聞く勇気は私にはない。もうこの際だから、よく分からないこの状況に便乗して言ってしまえ!と勢いで言ってしまった。
「そうか…。…それは安心していい。君を好きだという20歳の頃の気持ちは、私もちゃんと覚えている。」
きゅーーん。何その言い方!かっこいい!
「う、嬉しいです…!それに承太郎、こんなに素敵な人になるなんて…20年後が楽しみです。」
「…君は昔も今も、変わらず愛らしいな…。」
スル、と手の甲で髪の毛を撫でられて、さすがにドキドキした。違うの承太郎。これは、承太郎がかっこよすぎて…!と心の中で謝罪しながら、頭では別の事を考えていた。昔も今も、という事は、20年後も一緒にいるのかな、なんて。
「おいで、なまえ。…君が嫌じゃあなければ。」
20年あればここまでお色気が出るなんて…!目の前の承太郎さんの甘い誘惑を断るなんて、私にはできない…!
おずおずと目の前まで行くと承太郎さんも距離感を測りかねているようで私の手、腕、肩と順番に触れてから控えめにその腕で私を包んだ。こんなの、頭は混乱するし心臓はドキドキするし、もうどうしていいか分からない。
「承太郎の、匂いがする…。」
「おじさん臭くないといいんだが…。」
「臭くなんかないですよ。安心します。」
「君は…甘い匂いがするな。」
「っ…承太郎さん、あの…!」
「ん?」
ついさっきまで様子を伺っていた承太郎さんはどこへやら。今度は遠慮なく首や耳の後ろに鼻を近づけて、今は私の背中に回された腕は力強くて逃げ出せそうにない。
あれ、これ、捕まった?
「擽ったいです、承太郎さん…!それに、恥ずかし…っ!」
「そうか…それじゃあ、もっと顔をよく見せてくれないか?」
あぁ、この人は間違いなく承太郎だ、と思った。
承太郎は今でも、私が恥ずかしがると「隠すな」と腕を掴んで私を見下ろしてくるのだ。
それが20年経っても変わらないなんて、と思ったら、胸の奥がきゅんとした。
「あの……承太郎さん、今、私とそういうコト、しようとしてますか…?」
「……君が受け入れてくれるのなら。」
「っ…、わた、私とそんな事して、いいんですか?その、20年後も私と承太郎さんは一緒にいるんですか…?」
「…そうだな。ひとつだけ、未来の事を教えてあげよう。20年後の君は、私の妻だ。」
「!」
嬉しい事実を告げた承太郎さんは、おまけに私の首にキスをひとつ落とした。
本当は聞いちゃいけなかったのかもしれないが、嬉しいのと安心したのとで思わず口角が上がった。
「嬉しい…よかった。」
「ふ…、本当に愛らしい。」
通りで、私に触れるのに躊躇いがないわけだ。
問題は解決したと言わんばかりに頬を撫でたりさり気なく首や頬にキスをしたりと、愛されているのがハッキリと分かる。
「…20年後の私は、ヤキモチを妬いたりするんじゃないですか…?」
「どうだろうな…。それは、君の方が分かるんじゃあないか?」
きっと、ヤキモチを妬くだろうな。結局最後には、許してしまいそうだが。
「でも…承太郎はもしかしたら、ヤキモチを妬くかもしれません。…その辺はどうですか?承太郎さん。」
「…そうかもしれないな。」
やや考える素振りを見せた承太郎さんはややあって「ふぅ」と小さく息をつき「では、せめて可愛がらせてくれ」と再び腕の中へと私を閉じ込めた。
「承太郎さん。私、20年後も一緒にいられて嬉しいです。」
「そうだな…私も嬉しい。」
「朝になったら、元に戻っちゃったりしますか…?」
「君が寝ている間にな。」
「そうなんですね…。」
では、今のうちに伝えたい事は伝えておかなければ。
「私、承太郎の事、大好きです。」
「私も、君の事を愛している。」
「!あ、愛…、そ、そういうのは、20年後の私に言ってください!」
「あぁ、そうだな。帰ったら伝えるよ。」
"愛してる"なんて、今までただの1度だって言われた事なんてない。20年も経てば、こんなにサラッと言うようになるものだろうか?
「あと、あと…、20年後の承太郎さんも、ほんとに素敵です。20年後の承太郎さんに会えるのを、楽しみにしてます。」
その時まで、ずっと愛してください。
「君に出会えてよかった。…別れが惜しいな…。」
「承太郎さんには、20年後の私がいるんでしょう?私の愛だけじゃ、足りないですか?」
「…いや、そうだな…。君はずっと、真っ直ぐに愛を伝えてくれるからな。」
触れ合いながらお話していたら、段々と眠くなってきて、承太郎さんとの別れが近づいてきているのを悟った。もう少し、一緒にいたかったけど…もう、限界かも…。
「承太郎、さん…。」
「ん。そろそろ眠ろう。おやすみ、なまえ。」
意識が落ちる寸前、おでこにキスをされたような感触を感じた、気がする。
朝起きたら隣に承太郎さんの姿はなく寂しく思ったが、代わりにいつもの承太郎が眠っていて、無事に元に戻ったのだと理解した。
そのままスリ、と擦り寄ると薄く目を開いて「なまえ…?」と私を呼ぶ声は確かに承太郎の声だった。
「承太郎、好き。ちゃんと戻ってきてくれて、よかった。」
「…そうだな…。…なまえ。」
「なに?」
「……俺も、テメーの事…好きだぜ。」
「!」
もしかして承太郎も、20年後の私に、何か言われたのだろうか。本人は不本意そうな顔をしているが、それでも、嬉しい。
「ん〜!承太郎、好き好き〜!」
「…おぅ。」
大人な承太郎もかっこよかったけど、今の私にはやっぱり、この承太郎じゃなきゃダメだ。
「結婚しよう、なまえ」と突然のプロポーズをされたのは、くっ付いてもう一眠りして起きてすぐだった。なんでも「どうせずっと一緒にいるんだから、いつ結婚したって変わんねぇだろう」という事らしい。
ムードもへったくれもないセリフではあったが、よく考えたら私も、承太郎とずっと一緒にいられればなんだってよかった。
「承太郎、おじさんになってもかっこよかったよ。」
だからずっとそばで、おじさんになるまで愛してください。