1000打記念
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「君達って、家を行き来するほど仲がいいのか?」
特にする事というかできる事もなく、先生の仕事部屋で原稿を進める様子をボーッと眺めていたら唐突に花京院さんが口にした言葉。
仲がいいのかと言われると少し考えてしまうが、決して悪くはないだろう。
「仲は、別に普通ですよ。今日はたまたま、見たかった画集を先生が入手したとお誘い頂いたので来たんです。」
「へぇ…、そう。」
「…なんですか、その間は。」
「いや…その割には、機材が揃ってるなぁと思ってね。」
うーん、鋭い。花京院さんは見た目のイメージそのまま、観察眼が鋭く察しがいい。
チラリと花京院さんの視線が向けられたのは、私のカメラやメンテナンス器具が置いてある一角で、そこには何本かレンズも並べられている。
先程の言葉通りであれば、露伴先生の家にこれだけの機材があるのは少々おかしな状況だった。ましてや、リビングなどではなく露伴先生の仕事部屋に。
「ふぅ…。花京院さん、まさか、余計な詮索はしないですよね?」
「ふ…どうかな。君達を揶揄うくらいはするかもしれないな。」
露伴先生の言葉に、足を組んで頬杖をつき目を細めて笑う花京院さんはものすごく絵になっている。あぁ、今この瞬間の花京院さんを撮りたい!この人は、最高のモデルだ!
「花京院さん…この手が無事外れたら、花京院さんの事、撮らせてください。」
「僕?いいよ。」
「おい。僕の目の前で堂々とナンパするな。」
「はは。露伴、男のヤキモチはみっともないぞ。」
ヤキモチ。露伴先生がヤキモチなんて妬くだろうか。
ならば花京院さんと一緒にからかってやろうと思ったが、先生の眉間に皺が寄ってきたのでやめておいた。それでも笑顔を崩さない花京院さんは強い。
「!…来た。敵の本体だ。」
「えっ、本当ですか?」
笑顔から一変して真剣な顔で敵がいるであろう方向に視線を向ける花京院さん。どうやらこの真下の部屋の窓付近に敵がいるらしい。
「とりあえずハイエロファントの触手で捕らえてはいるけど……コイツ、まさか…。」
「とりあえず行きましょう、先生。」
「そうだな。一体何が目的なのか、読ませてもらおうか。」
言うが早いか、先生は2階の窓を開けて身を乗り出すので必然的に私も引っ張られた。私がいるからって、なかなかに無茶をする。
ブワッと風の渦を起こして着地するともう敵は目の前にいて「えっ」と目を見開いて、すかさず露伴先生のヘブンズドアが発動しドサ、と重力に従って地面に倒れた。
同時に、私の右手も先生の体から自然と離れた。
「あれ…女の子?」
「やっぱりそうか。」
遅れてやってきた花京院さんは、目の前で倒れている少女を見てどうしたものかと頭を悩ませているようだった。
こちらからしてみたら敵であるこの子には、敵意はなさそうであった。故に、この後の対処方を考えているのだろう。
「なんだ、コイツ…。」
「どうかしましたか、先生。」
ページを捲る先生の背中越しに開かれた文字を見て、私も露伴先生も理解できず顔を顰めた。
その顔に書かれていたのは、"この能力を使って、淡白なカップルを盛り上げたい"というものであった。
よく分からないが作戦のような物も書いており"触れ合ったところがくっ付く→慌てて動き回るうちに体の様々なところがくっ付く→なんやかんやあってイチャイチャする"と、作戦でもなんでもない事が書かれている。
私と露伴先生がお付き合いしているというのを最近知ったらしい彼女は、私達がそろそろ盛り上がってきた頃だろうと踏んでやってきたみたいだが…生憎、そんな馬鹿ではない。
「な、なんで右手しかくっ付いてないんですか〜!」
「…馬鹿なのか、君は。」
「まぁまぁ、何事もなく犯人を捕まえられて良かったじゃないですか。怪我人もいないし。お望みなら、目の前でくっつきましょうか?」
「そういうのじゃないんです〜!2人きりでイチャついてる所を覗きたかった…!」
「クソ…読む価値もなかったな。帰るぞ、なまえ。」
「そうですね。じゃあ花京院さん、あとはお願いします。」
先生も既に興味をなくしているようだし、事件が解決したならあとは花京院さんに任せればいい。
スタスタと足早に去っていく先生についていき玄関のドアを閉めると「なんかつまんないよなぁ」と先生が不満げな声をあげた。先生は好き勝手動けたから不便さはあまり感じなかっただろうが、私は利き手が使えなくて大変だったのに。
「先生、くっ付いてもいいですか?」
「は?さっきまでくっ付いてたろ。」
「そうじゃなくて。スタンド能力じゃなく、普通にくっ付きたいです。」
じっと先生を見つめて返事を待っていると、やがて照れたように視線を逸らし「わざわざ聞くな」と小さな声で返事が返ってきた。先生は私よりも年上なのに、こういう素直じゃないところがかわいい。
「ふふ…。このままくっ付いたら、大変そうですね。」
「…アイツには攻撃できないと書き込んだから、もう喰らう事はない。」
「それは、少し残念かもしれません。」
「くっ付きたい時は、こうしてくっ付けばいいだろう。」
「ふふ、はい。」
露伴先生のこういう所、好きだなぁと思う。
ベタベタするのが嫌いそうに見えて意外と受け入れてくれるとことか、むしろ実は好きだけど、それを表に出せないとことか、全部ひっくるめて、好き。
「…君、今日は泊まっていくだろう?」
触れ合ってると意外とすぐにその気になるところも、好き。