1万打記念
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私の彼氏は、王子様みたいな人。
不良がそこら中に彷徨いているこの時代には珍しく優雅な佇まいで、煌びやかで、中性的で、でもたまに男らしくて、かっこいい人。
どのくらいかっこいいかというと、待ち合わせ場所に向かってくる彼をすぐ見つけられるくらいにはオーラを放っていて、そして周囲の女の子の視線を集めるくらいには、目立っている。
「なまえさん、ごめんね。待たせちゃったかな?」
「花京院くん!大丈夫、全然待ってないよ。」
嘘。実は30分以上前から待ってた。その前だって早く着きすぎたと思ってカフェで待ってたのにソワソワしすぎちゃって、頼んだカフェラテもすぐに無くなってしまってここに来た。ちなみに朝も、いつもより早起きして準備した。
「本当に?…いいや、手が冷たくなってるじゃあないか。早く、どこかに入ろう。」
ぎゅ、と私の両手を握る彼の手は大きく、そして温かい。こういう事をサラリとやってのける花京院くんは、きっと前世は王子様だったに違いない。
私の手を引いて歩き出した花京院くんの足はとても長いはずなのに、私を気遣って歩幅を合わせてくれて…もう、気遣いの塊。こんなの落ちない女の子なんていないはず。
「花京院くんって…王子様みたいだね…。」
「…なんだい、急に。そう言われると少し照れるな…。反応に困る。」
「困らせるつもりはなくて…。花京院くん、かっこいいから、どうして私と付き合ってくれたんだろうって思って。選びたい放題なのに。」
「選びたい放題って…、その僕が選んだのが君なんだよ。全く…お世辞がすぎるな。」
花京院くんは、自分が女の子にモテている自覚がないみたい。今や学校ではJOJO派か花京院派かで派閥ができているというのに…。JOJOもそういう事は気にしていないみたいだし、本当にモテる人ってみんな、そうなのだろうか?
でもそれにしたって、この花京院くんの仕草や表情がモテを意識していないというのだから、驚きだ。
「少し…不安になっちゃうな。周りはみんな、綺麗な子ばかりだから…。」
「綺麗な子って…、化粧をしたり髪を染めたりしている子達の事かい?」
「うん。みんなオシャレに気を遣ってて、すごいなぁって。」
「僕は、そのままの君が好きだよ。特に髪の毛は…染めたりなんかしないでくれ。…なんて、君がどうしても染めたいというのなら、止めはしないけど。」
「…っ、そんな風に言われたら、染められないよ…。」
本当にどうして、私なんかをこんなに大切なもののように扱ってくれるのだろう。今までこんなに誰かに優しくされた事なんかなくて、いとも簡単にドキドキしてしまうのが恥ずかしい。周りの子達は「彼氏ができた」だの「先月別れた」だのとしょっちゅう話しているというのに、私は未だに花京院くんのかっこよさには慣れないし恋愛にも慣れる兆しすらない。
「…まだ少し、緊張するね。…ふふ…君が僕の彼女だなんて、夢みたいだ。」
「えっ…、違うよ。それは私の台詞だよ。」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。…情けないかもしれないけど、君に見合った人間になろうと、実は少し、頑張ってるんだ。」
「そう、なの…?じゃあ、私もがんばらなきゃ。」
「どうしてそうなるんだ。君にはそのままでいてほしいって、言っただろ?」
うーん…完璧。完璧すぎる。この隙のない王子様の振る舞いに、私が釣り合っているとは到底思えない。
「じゃあ…花京院くんががんばるのをやめてくれる?」
「…それは、どういう…。」
「花京院くんだけががんばるのは、申し訳ないから。それに、もっと花京院くんの事、知りたいから。」
私にがんばらなくていいというのなら、花京院くんにだってがんばってほしくない。
「がんばらない花京院くんも、見てみたいな。」
私のささやかなお願いを、花京院くんは聞いてくれるだろうか。
少し戸惑ったような表情を浮かべた花京院くんは、やがて口元を手で隠して「ずるい言い方だなぁ…」と一言。瞳の奥は優しいので、お願いを聞いてくれるという事なのだろう。
「そうだな…。じゃあまずは手始めに、ゲームセンターに付き合ってもらおうかな。」
「?ゲームセンター?良いけど…花京院くん、好きなの?」
「見たら分かるよ。」
そう言って連れてこられたゲームセンターでは、私には到底何が起こっているのか分かりっこない光景を見せつけられて、興奮した。だって、花京院くんすごい上手!上手だなんて言葉が失礼に聞こえるくらい、上手。すごい。それに、画面を見つめる花京院くんの横顔が真剣そのもので、かっこいい。惚れ直した。
「…ゲーム好きの王子様なんて、台無しだな。」
「!…そんな事ないよ。相変わらず花京院くんはかっこいいし、上手だから見てるのも楽しい。」
「そう…良かったよ。」
そう言っていつものニコ、という王子様スマイルとは違う無邪気な笑みの花京院くんは初めてで、危うく気を失うところだった。
それがなんだか、少しだけ距離が縮まった証拠のような気がして。
「今度、花京院くんのお家に行きたいな。花京院くんがゲームしてるとこ、見たい!」
「……なまえさん、君…たまに大胆だよな…。…純粋ゆえか…。」
今度はなぜか花京院くんは、眉間に皺を寄せてブツブツと独り言を呟き始めたけど。
花京院くんは王子様だけど、ゲームが好きで、とても上手で、そんな王子様だって、いてもいいよね?