1000打記念
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ご都合スタンド能力「触れ合ったところがくっ付く能力」
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「あ。」
「?なんだ。離せ。」
「……いや、離したいのは山々なんですけど…無理。くっ付いてます、これ。」
露伴先生とすれ違いざま、体がぶつかりそうになり咄嗟に手を出したら右手が先生の体に触れ、そのままくっ付いてしまった。まるで、接着剤でも付いているかのように離れなくて、何とか取ろうとしてもどんどん密着していくばかりである。
「はぁ?ふざけてるのか、君」と先生が右手を伸ばしてくるのを「待って。スタンド攻撃かもしれないので、不用意に触れないでください」と直前で止められたのはいいが…ここからどうしたものか。
「もしもスタンド攻撃だった場合、本体を倒すには先生のヘブンズドアを自由に使えた方がいい。万が一私にくっ付いたら先生はヘブンズドアを使えなくなりますし、とりあえず先生の右手は死守しましょう。」
私の右手は、もうダメだが。
「君…ずいぶん冷静だな。」
「いや…。先生は触れられているだけで分かりづらいかもしれませんが、私の方は異常事態が起きてるんです。なのでほんとは混乱してますけど、こういう時は落ち着いた方がいいと思うので、落ち着いてるフリをしてるだけです。」
「そのようだな。そんなに喋る君は、初めて見た。」
「それで、ここからどうしましょう。敵を探すなら外に出なきゃいけませんけど…物に触れても大丈夫でしょうか?」
チラ、と先生の家のドアを見る。外に出るには、ドアを開けなければならない。そしてできる事なら、承太郎さんに電話してこの事を伝えたい。
私の左手と露伴先生の左手しか残っていないこの状況で、いま、どうするのが最善だろうか。
「ドアノブに触れて手がくっ付いたらアウトだな。」
「そうなんですよねぇ…。」
であれば、この部屋にある物でまず持ち運びしやすい物に触れて確かめるしかない。
部屋の中を見回して何か使える物はないかと視線をさ迷わせると、いい物を見つけた。
「露伴先生、ティッシュ。」
「あぁ、それでいいな。」
ティッシュの置いてある棚へと近づいて手を伸ばすと「おい、なんで当たり前のように君が触ろうとしてるんだ」と私が触れるよりも先にティッシュを1枚手に取る露伴先生。やだ、今の先生かっこいいかも。
「でも露伴先生。敵の攻撃を食らっているのは私だけかもしれませんよ。という事で、私も触ります。」
露伴先生は手にしたティッシュを当然のようにゴミ箱へと捨てられたが、私にはできないかもしれない。そうなれば必然的に、スタンド攻撃を食らっているのは私という訳で。
先生は至極嫌そうに顔を顰めたが、やがて諦めたように「…君も取れよ」とティッシュの箱を差し出した。
なんの迷いもなく1枚取ると当たり前だが普通のティッシュで、ぎゅ、と握って開くと私の手から離れていった。警戒していたので若干拍子抜けである。
「露伴先生。もう承太郎さんに電話しましょう。携帯電話、この部屋にありますか?」
「あぁ。この辺りに……あった。」
「…先生、むやみに辺りの物に触れないでくださいよ。」
「触れても大丈夫だと思ったから触ったんだ。おい、そんな目で見るんじゃあない!」
危機感とかないのか、この人は。私は一刻も早く、それも被害を最小限に抑えて解決をしたいのだが。
露伴先生と一緒では、それは不可能なのではないかと思うと軽く目眩がした。
「で、被害は今のところ、君の右手だけか。」
「はい。」
露伴先生の突然の呼び出しに承太郎さんはいち早く応えてくれ、10分程で駆けつけてくれた。ついでに花京院さんも連れてきてくれて、これでもう安心だ。
「凄いね、なまえさん。無闇矢鱈に動き回らず冷静に対処できて。SPW財団にスカウトしたいくらいだ。」
「…褒め言葉としては嬉しいですけど、過労で倒れたくないのでお断りします。」
「はは、残念だなぁ。」
薄ら目の下に隈を作っている花京院さんと承太郎さん。揃いも揃ってどう考えても過労であるが、今この2人を帰す訳にはいかない。
「そんな事より、早くスタンド使いを見つけましょう。本体さえ分かれば、露伴先生のヘブンズドアで何とかできると思うんですけど。」
「そうだね。どうする、承太郎。」
「…この事態が発覚してから、何分経った。」
「15分程、でしょうか?」
15分も経ってしまっていては、本体はもう遠くへ行ってしまっただろうか。しかしこの状態のまま外に出るわけにもいかなかったのだ。
「何もしない。」
「は?何もしないって、何かしてくれないと、いつまでもこのままじゃあ困るんだが。」
承太郎さんの何もしない発言には、それまで口を閉ざしていた露伴先生もさすがに口を開いた。承太郎さんの考えは分からないが、露伴先生の言う通りこのままでは不便すぎて正直困る。
「承太郎。そんな言い方だと伝わらないぞ。」
「ム…そうか…。」
私と露伴先生の顔を見て花京院さんが少し眉を下げて承太郎さんに言及し、承太郎さんが僅かに考える素振りを見せる。つまり、何?どういう事?
「敵はここに戻ってくるはずだ。そこをハイエロファントの結界で…」「結界?」
「…ハイエロファントの結界で、敵の接近を知る事ができる。」「いや、結界ってどういう物なんだ?」
「……ハイエロファントの触手を張り巡らせてだな……。」
「…花京院さん、承太郎さんが困ってますよ?」
いいんですか?と花京院さんを見るとニコニコと笑顔を浮かべて承太郎さんの様子を眺めており、「いいんだよ。言葉足らずなのは承太郎の悪い癖だ」と一言。
花京院さんは爽やかに見えて、意外と腹黒らしい。
「要約すると、僕のハイエロファントの触手を家の周りに張り巡らせておいて、怪しい奴が来たら君らに知らせるって事だよ。って事で、解決するまでお邪魔するぞ、露伴。」
「…それって、いつまで…。」
「さぁね。」
「まじかよ…。」
花京院さんはなぜこの状況でニコニコしていられるのだろうか。それは当事者ではないからだ。花京院さんはこの状況を、楽しんでいる。絶対に。
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