5部 DIOの館
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「承太郎ーーッ!!!」
承太郎の姿を見つけると、走る勢いそのままに、承太郎へ抱きついた。
「グッ…!!」
承太郎は呻き声を漏らしながらもしっかりと受け止めてくれた。さすが、82kgあるだけはある。
「承太郎〜!会いたかったよ〜!」
「テメー…。」
ギロ、と一度私を睨むが、後から来る典明を見て表情を崩した。何よ、その差は!
「花京院!!!」
みんなが典明の周りに集まって復帰を祝っているのを見て、私も嬉しくなった。同時に、こんなにもみんなに慕われて、いつも私が彼を独占していたのを少しばかり申し訳なく思った。
「なまえ、テメー……重くなったか?」
突然振り返って何を言うかと思えば、承太郎、デリカシーがないんじゃない?
「花京院、どう思う。」
「えっ、なんで典明に聞くの!」
承太郎に言われるのは笑って済ませられるが、典明に「重い」と言われるのは絶対に無理!耐えられない!
話を振られた典明は「僕?…そうだなぁ…。」と顎に手を当てている。これは、なんと言えば傷つかないだろうかと考えている顔ではないだろうな…と嫌な予感に震えていると、
「かわいいと思う。」
と、楽しそうな笑顔でそう返ってきた。意外な彼の答えに、私はポカンとして彼を見上げる。周りのみんなも同じ反応をしている。…そ、そうか。どう思う、しか、聞かれてないから…。
「花京院…なまえに似て頭が悪くなったか?」
何度も失礼な事を言う承太郎には、キッチリ一発入れておいた。あとで承太郎には、デリカシーというものをきちんと教えてあげなければならない。
「んん?なまえ〜?この指輪はもしかして〜?花京院か〜?」
もう1人のデリカシーなし男、ポルナレフはニヤニヤ顔で、私の左手を掴んで周りに見えるように掲げた。薬指の指輪だ。
「はぁ…。そうだよ。」
めんどくさい態度を隠しもせずにそう言うと、ポルナレフはニヤニヤしていた顔をみるみるうちに歪め、なんと、涙を流し泣き始めた。
「えっ!?ちょっと、ポルナレフ!?」
ちょっと冷たくしすぎただろうか、と一瞬頭をよぎったが、私以上にみんなの方が彼には冷たいので、それはないだろう、とすぐに考えを改めた。では、なぜ…。
「おっ…お前らには…幸せになって欲しかったんだよぉ〜!!結婚式には呼んでくれよ…!?」
男泣きというに相応しく、大声を上げて大粒の涙を流すポルナレフに戸惑ったが、純粋に祝福してくれているのだと思うと嬉しくて、私も胸に熱いものが込み上げてきた。典明を見ると、優しい笑顔を浮かべてこちらを見守っていた。よく見るとジョセフさんも、薄らと涙を浮かべて目頭を抑えている。
「あ、ありがとう…みんな…。」
みんなが祝福してくれている。私と、典明の事を。
この旅で、何度も幸せな瞬間があったが、今が一番、幸せな時間かもしれないと、この時確かに思った。
少し、和やかな雰囲気に浸ってしまっていた。イギーが痺れを切らして歩き出したのを合図に、私達の周りに漂っていた空気が一気に切り替わる。もう、行かなければ。
「イギー、おいで。」
敵もいない状況で、無理をさせてはいけないと、少し強めの声でイギーを呼ぶと、少し視線を交わらせた後素直に私の腕の中へ来た。
先の戦いで、何か心境の変化があったのだろう。私を、私達を少しは信頼してくれている彼に、私は安心した。
イギーは、残った前脚で行くべき方向を指し示してくれている。私達はそれに従い、一歩一歩、歩みを進めていくと、段々と、周りの空気が、重く、物々しい雰囲気へと変わっていくのを体で感じた。そして、
「この館は…!」
ついに見つけた…DIOのいる館だ…!先程から威圧感を放っていたのは、この、建物だったのだ。
あまりの威圧感に、私達は足を止め、館を見上げた。
ここに、いる。DIOが。私の大嫌いな、DIOが。全ての、元凶が!!
目を閉じて深呼吸をすると、色々な光景が目に浮かんでは消えていく。
大好きだった家族。承太郎。聖子さん。ポルナレフ。そして、典明。嫌な思い出も、楽しかった思い出も、走馬灯のように私の頭を巡った。
DIO…。絶対に、殺す…!
中にいるであろうDIOに向けて、決意を胸に目を開いた。行こう。
左手の指輪を見ると、綺麗な紫色がキラキラと光っていて、まるで彼に見つめられているようだ。もう、大丈夫。
「つまり、ここでDIOをぶっ倒せば、全て丸く収まるって訳か。」
そうだ。承太郎の言う通り、みんな、各々色々な想い、後悔、覚悟があってここまでやってきた。それは、DIOを倒すことで、言葉通り丸く収まるのだ。
「覚悟はいいな!」
ジョセフさんの言葉に、みな、声には出さなかったが覚悟を決めた。
私が、みんなが、みんなで、DIOを倒す。必ず。