5部 DIOの館
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やっと、ここまで来た。カイロだ。飛行機ではなくヘリコプターでここまでやってきたので現在地は不明だが、なんにしても、私達はカイロまでやってきたのだ。
もう、日が沈みかけている。今日はもう、無闇に出歩かない方がいいだろう。無事に眼鏡を受け取ったあと、SPW財団の方々と別れて私達はホテルに入った。SPW財団の方々は、この後の戦いに備えて、医療チームをカイロ周辺に待機させると言っていた。それを聞いて、いよいよ始まるんだな…と何度目かの緊張感が走った。
なんにしても、今日は移動だけで疲れた。明日に備えて、今日は早めに休んだ方がいい。と、思ったのだが…。
「えーっ……と。…典明?」
ホテルの部屋へ入って鍵を閉めると、彼は私の腕を掴んでベッドへと放り投げた。そして、私のお腹に顔を埋めて動かなくなったのだ。
これはもしかして、そういう……?
「やっと、君の顔が見られたのに…触れられなくて辛かった……。」
ここまで来るのに数時間かかった。その間、常にSPW財団と行動を共にしていたので思うように触れ合えなかったのだ。上げ膳据え膳、みたいなものだろうか。
「…典明。その体制じゃ、貴方の大好きななまえちゃんの顔が、見えないんじゃない?」
そう言うと典明はゆっくり体を離し、サングラスを外して私を見上げた。
「典明。これ、着けてくれる?貴方にとても、似合うと思うんだけど。」
バッグからケースを取り出して蓋を開け、典明に見せる。なんだかプロポーズの指輪を見せているようで、ちょっと照れくさい。
「眼鏡…。君が、見たいだけだろう?」
目だけでこちらをチラリと見る典明は挑発的な表情を浮かべていて、かっこよすぎて私の心臓が跳ねた。
「どう、かな。」
スッと迷いなくかけられた眼鏡は、さすが典明のためにデザインしたものだけある。かっこいい典明の顔にも、かわいい典明の顔にも、優しい典明の顔にも合うように何回も試行錯誤して書き直しただけある!
あまりに似合いすぎてかっこよくて、私は目を抑えてそのまま後ろに倒れ込んだ。ベッドで良かった。しかし、あまりの眩しさに、今度は私の目が見えなくなってやしないだろうか?と心配するほどには似合っていて、かっこよくて眩しい。
「そんなに良かった?」
いつの間にか立ち上がった典明は呆れたような声で私を見下ろしている。正直もう一生、その眼鏡以外着けないで欲しい。
「かっこよすぎて直視できない…!私、なんてすごい物を作ってしまったの…!」
「え?これ、なまえが?」
そう言って彼は、眼鏡を外してまじまじと見つめ始めた。そしてもう一度かけ直し、
「それを聞いたら、なんだかとても大事な物に思えてくるな。ありがとう、なまえ。」
と、最高の笑顔で感謝を述べた。
もう、私の彼氏最高すぎる!!思わず叫び出しそうになったくらいだ。
「せっかくだから、このまま君を見て、触れたいんだけどいいかな?」
そう言って顔を近づけてくる彼は、いいかな、と聞いたくせに勢いそのままに唇を重ねた。
本当に、彼は顔が良い。そしてやはり、眼鏡が似合う。目を閉じているのが勿体なくて途中で瞼を開けると、彼の瞳と目が合って優しく細められた。唇が離れて気がつくと、体にハイエロファントが巻きついていて驚いた。
「なまえ。…この前は、君の姿が見られなかったから……。今、このまま君を抱きたいんだけど、いいかい…?」
そう言う彼の顔は、懇願するような表情を浮かべていて…。そんなの、断れるわけ、ないじゃないか。
「うん…。私も、この前は…典明の瞳が見えなくて、寂しかった…。」
典明の首に腕を回してそう言うと「はぁ…。本当にかわいいな。君…。」と独り言のように呟いて強く抱き締め返してくれた。