4部 エジプトから入院・退院まで
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目が覚めると、典明の顔がすぐ近くにあって驚いた。
包帯で隠された目は開いているのだろうか?…分からない。昨夜の情事を思い出して、誰に見られる訳でもないのに、赤い顔を隠すように目の前にある典明の胸に顔を埋めた。いつも開いているパジャマの胸元。その素肌が温かくて気持ちよく、思わず頬を擦り寄せて、典明の香りを吸い込んで、それからキスをひとつ。
特に反応もなかったので、鎖骨、首、顎へと上がっていき、最後に唇へ。そこまでいってやっと、典明の手が私の背中へ添えられた。
「君、朝からかわいすぎるな…。」
「ふふ、おはよう。典明。」
額に手を当てる典明の胸元へ、再び頭を戻す。温かくて気持ちいい。
「おはよう。あぁ、クソ。包帯が早く取れればいいのに。」
早く君の顔が見たいと、典明は私の頭に頬を擦り寄せている。
私だけが昨日の情事の光景を覚えている。昨日の典明は、最高にかっこよかったな…と回想モードに入りそうになるが、そろそろ朝食を食べなければ。
「まだこうしていたいけど……朝ごはん食べなきゃね。」
「そうだね。」
そうだね、と言って典明は、私を離す気はなく1ミリも動かなくて笑ってしまった。
「典明。好き。大好き。ありがとう。」
私も彼を抱きしめ返して、言いたい事を言った。
「うん。僕も愛してるよ、なまえ。」
2人同時に顔を見合わせて、どちらともなくキスをする。そこでようやく、体を離してベッドから出た。
「ご飯、お願いしようか。」
時計を見るともう朝の8時半を過ぎていた。
「典明、SPW財団の方から聞いたんだけど、明日には、包帯が取れるかもしれないって。」
「……そうか。」
典明は、そう言って少し下を向いた。一緒だ、私と。
やっと、みんなと合流できる!という嬉しさと、この2人だけの穏やかな時間が終わる事への寂しさと、DIOの元へと行かなくてはならないという重圧感。その全てが、胸の中で渦巻いているのだ。
「典明。私、典明を守るから。典明も、私を守ってね。」
私達は、お互い、戦いの場では言う事を聞かないと分かっている。だから、こう言う他ないのだ。
「うん。任せて。」
いよいよ、包帯が取れる。それは、戦いの場に向かう合図でもある。数日間の甘い日々は一度胸にしまって、私達は行かなければならない。DIOの元へ。
「これで…やっと君の顔が見られる。」
典明が息を吐いてそう口にする。そうだ、何も悪い事ばかりではない。
「私も、典明の綺麗な瞳が見られるのが楽しみ!」
私が、彼の体で何よりも大好きな部位だ。それを1週間ばかり隠されていたのだ。寂しくもなる。典明だって、大好きな私を1週間見られないなんて、可哀想である。
「それに、典明の学ラン姿が久しぶりに見れるのも嬉しい!」
そう。典明があの学ランを着ていると、とても優雅な雰囲気が出て大好きなのだ。
「はは、僕よりも楽しみにしているじゃあないか。」
典明が楽しそうに笑ってくれて安心した。やっぱり、典明には笑っていてほしい。そうすれば、私も幸せなのだ。
「それにそれに!やっと承太郎に会える〜〜!」
手を挙げてクルクル回っていると、ぎゅ、と典明に抱きしめられた。
「また承太郎の話をしたな。」
「あはは!ヤキモチ?典明も会いたいでしょ?」
「うん、会いたい。」
承太郎はモテモテだな〜なんて、2人で笑いあった。
きっと、明日包帯を取れば、検査の後、そのまま出発になるだろう。それまではもう少し、こうやって幸せな時間を過ごすのを、許してほしい。