3部 インドからエジプト上陸まで
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「なまえさん!」
「花京院くん!」
夢の中へ入ると、目の前に花京院くんがいた。
想像とは違い、敵の姿はないようだ。
ひとまず、ホッと息をつくと、花京院くんに抱きしめられた。夢の中だからか不思議な感覚がするが、あのいい匂いがする気がする。
「なまえさん、ありがとう。僕を信じてくれて。」
「ふふ、当たり前でしょ。」
そう言うと、花京院くんは笑ってくれた。いつもの優しい笑い方に、私は安心した。いつもの花京院くんに戻った!
「さぁ、行こうか。お仕置の時間だ。」
花京院くんがかっこいい。いつもそうなのだが、なんだか今日は、自信に満ち溢れている。
「花京院!」
みんな花京院くんのかっこいい登場を見て集まってくる。順に謝罪をしているが⋯。
「ウッ⋯⋯おいなまえ、そんな目で見るな。悪かったよ。」
全員にジトーっとした視線を送る。花京院くんがいなければ、全員死んでいたかもしれないのに⋯という意味を込めている。
「別に?花京院くんがいいなら私はいいですけどーー?」
花京院くんはクスッと笑うと「別にいいよ。」とアッサリ許してしまった。「なまえさんが信じてくれたから、別に構わない。」と言う花京院くんに思わずときめいてしまった。なんだか、愛情表現がオープンになっているような気がするのだが⋯元々か。
何気なく上を見上げるとデスサーティーンが雲を集めて何かをしようとしているところだった。
1ヶ所に集まった雲は実体化し、鎌でハイエロファントを切り捨てたように見えたが⋯。この戦い、ハイエロファントの勝ちだ。私もスタンドを連れてきたが、ハイエロファントだけで充分だった
「夢の中はなんでもアリだから、傷ぐらい治せるだろう?」そう言って傷を治させる花京院くん。案外ちゃっかりしている。
「⋯おはよう、なまえさん。」
朝日が眩しくて目を開けると、最初に見えたのはあの藤色の瞳だった。続く花京院の声に、段々と頭が覚醒してくる。
「おはよう。花京院くん。」
それにしても、随分至近距離ではないか?と思ったが、昨日寝る前の事を思い出して自分の手を見た。
やはり想像通りガッチリと花京院くんの手を掴んでいて、慌ててスタンドを引っ込めて手を離した。
「離しちゃうの?寂しいな⋯。」
花京院くんも今さっき起きたばかりだろうか?寝起きの甘えたような目と声がとてもかわいい。思わず手を伸ばして、頬をスリ、と撫でた。花京院くんは擽ったそうに笑って、目を細めた。
「なまえさん、好きだよ。」
じゃれ合っている流れで自然に言うものだから、聞き逃しそうになったし、聞き間違いかとも思った。
花京院くんを見ると、優しい顔で、だけど真剣さを含んでいて、私は息を飲んだ。
「なまえさん以外には考えられないくらい、好きなんだけど⋯。君はどう?」
不安げに眉が下げられているが、好きだと、愛おしいと言っている瞳は真剣なままだ。
「私⋯私も⋯⋯」彼の真剣な言葉に応えようとするのだが、頭が回らなくて言葉が出てこない。
「あのね、花京院くんは私にとって、王子様なの。」
もうなんと言っていいか分からないので、考えるのをやめた。そうすると、自然と言葉が流れてくる。
「かっこよくて、優しくて、守ってくれて⋯そんな理想の人、好きにならない方が難しくない?ずるいよ。」
「それに、かっこいいのにかわいいし綺麗で完璧。」と続けると「⋯それは本当に僕の事?」と疑っている。
「そうだよ。それが私から見た花京院くんだし、私に対する花京院くんの態度。なに?花京院くん、好きな人を疑うの?」
そう言ってじろ、と見ると「い、いや!疑ってないよ!」と慌てていた。かわいい。
「疑ってない、けど。なまえさんが僕を好いてくれてるのが、嬉しくて⋯。」
頬を赤らめ、口元に指を当てる花京院くんがかわいくて綺麗で、思わず涙が出そうだった。
「あ、あの。昨日なんだけど、」
花京院くんは覚えているだろうか?
「飛行機で私、花京院くんに勝手にキスしちゃって⋯ごめんね⋯!」
「えっ!?」
目を伏せてしどろもどろでそう言うと、花京院くんは驚いている。パニック状態だったから、覚えていなくても無理はない。
「そ、そこでなんだけど!⋯あの、もう一度、してほしい、んだけど⋯⋯。」
花京院くんの唇は、何かを言おうと動いている。
数秒そうして黙ったあと、花京院くんは体を起こし、シュラフから上半身を出した。引かれただろうか。色々と。私も同じように起き上がると、
「なまえさん⋯目を閉じてくれる⋯?」と彼は言う。
その意味を理解して、瞬き数回のあと、そっと瞳を閉じた。
「本当に君は、かわいすぎて困る⋯。ふふ、かわいい⋯。」
唇が触れ合う直前、そんな言葉が聞こえた。私からすれば、花京院くんがかっこよくて、かわいくて困っている。そんな苦労を、彼は知らないのだろう。
「⋯⋯もう1回⋯。」
そう言ったのは、どちらだっただろうか。
2回、3回と唇を重ねていると、気がついたら朝日が登っていた。そろそろみんなが起きてしまうかもしれない。
「そろそろ、ご飯の支度をしよう。手伝ってくれる?」
そう言った彼の笑顔は美しく、目が離せなくなりそうだったが、大人しく彼の言葉に従い、今度こそ身を起こしたのだった。