3部 インドからエジプト上陸まで
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下へ降りると、承太郎が宿の店主、エンヤ婆を倒し終わったところだった。
エンヤ婆は泡を吹いて倒れているし、ポルナレフは泣いているし、なぜかホル・ホースはいるしで何が何だか分からない。
とりあえず足を怪我した承太郎の手当てをしていると、ホテルがホテルではなくなっていた。廃墟だ。それも、建物の形も保っていない。外の街も跡形もない。みんなで呆然としていると、車のエンジン音が聞こえ、見るとホル・ホースが私達の車に乗って去っていくところだった。
あぁ、また私達の移動手段が…宿が…と、涙が出そうになった。
「なまえさん、これ。」
花京院くんが、落ちていた私の荷物を見つけて持ってきてくれた。それと、さっき描いていた絵も。
「あ、ありがとう…。」
先程の会話を思い出し、少し気まずい。花京院くんも同じようで、なにか言いたげな顔をしている。
「大丈夫、言いたくなったらでいいよ。」
なんだか可哀想になってしまい、安心させるように笑顔でそれだけ伝えた。
「待ってるよ。ずっと。」
もし、私が期待している言葉だったなら、いつまでも待つ。それこそ、ずっと。
「…ありがとう、なまえさん。」
花京院くんは安心したような表情を浮かべている。けど、なんだか、申し訳なさそうな顔。本当に、かわいらしい表情をいくつも持っている人だな…。
その後仕方なく、行ける所までは徒歩で移動し、まさかの馬車でカラチまで移動することになった。
まさかこの旅で、馬車に乗る事になるなんて、思いもしなかった。
「なまえさん。君には、僕がああいう風に見えているのかい?」
馬車に乗っている間、花京院くんは私が描いた絵の話を始める。さっき荷物を拾った時に彼から受け取ったので、見たのだろう。
「え、似てないかな?どう?ポルナレフ。」
逆隣に座るポルナレフに見せるも、「よく描けてるとは思うが…こんな顔見せるのはアンタにだけだと思うぜ。」と参考にならない事を言われた。何、つまりどういう事?
「参考にならない。」不満げに漏らすと「お前らのイチャイチャに俺を巻き込むな!」とポルナレフに怒られ、しまいには「やかましい。」と承太郎にも怒られた。なんでだ。納得いかない!
唇を尖らせていると花京院くんが小さく吹き出したのが分かって、軽く睨みつけた。
「ごめんごめん。かわいくて。」と笑う花京院くんはちっとも申し訳なさを感じなかった。
「そういえば、最近DIOの夢を見ないな、と感じてるんだけど。」
思い出したかのように、私は話し始める。
みんな前を向いているが、話を聞いてくれているのを感じた。
最近、DIOの夢を見ていない。喜ばしいことだが、見る時と見ない時で、なにか共通点があれば対策できるのに…と思っていたのだ。そして、ある仮定が一つ思い浮かんだのだ。
「今まで、最初の頃は夜に見る時もあったけど。ここ最近は、日中うたた寝をしている時に見ていると思ってて…。」
ダークブルームーンの時も、列車の時も、車の時も、どれも日中、疲れて眠った時に夢を見ている。
しかも、DIOは吸血鬼だ。日中眠り、夜起きているだろう。
「同じ時間帯に眠っていれば、夢を見るって訳か。」
承太郎が私と同じ考えを口にする。
時差の関係もあり、完璧とはいえないがその可能性はあるだろう。
だからDIOは「よく来たな。」と言っていたのだろう。いつでも、DIOの意思で呼んでいた訳ではなかったのだ。だから、私が現れるとあんなに嬉しそうにしていたのか。
ハァ…とため息が出る。これでは、毎日きちんと夜に眠らなければいけないではないか。当たり前の事だか、この旅では中々厄介だ。なんとも面倒な事をしてくれる。
「じゃあ、これからは夜はちゃんと寝ないとね。なまえさん。」
と花京院くんは言うが…それができていたら、今までだって見ることはなかったのだ。
「ハァ…花京院くんの肩で寝るの、好きだったのにな。」
「そう?夜の移動中なら、いつでもどうぞ。」
できることならベッドで眠るのが1番だが、移動中眠るなら花京院くんの肩で眠るのが1番だった。花京院くん、いい匂いするもん。
「だから!お前ら!ところ構わずイチャイチャすんのヤメロ!!」
「やかましい!」
すでに今眠いから話したのだが、仮説が正しければ、まだ日が出ているので眠れなくない。しかもうるさい。ポルナレフが。
「ほんと、うるさいよ。ポルナレフ。」
そう言うと、花京院くんが笑いだし、みんなに伝染した。眠いのに眠れないのは困るが、静かだと耐えられないのでこうやって笑っていてくれると助かる。
ポルナレフは怒っているが、密かに心の中で、感謝を述べた。