3部 インドからエジプト上陸まで
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「なんか…やっぱり、この街、変な感じだね…。」
先程、飛行機でアンちゃんを香港へと返し、車を乗り換えてパキスタンへと向かっていた。
しかし辺りは崖が多い上に霧が濃く出ており危険と判断し、急遽、日没前だがホテルに宿泊しよう、となったのだ。
久々のホテル。なのだが、先程の外での出来事が頭から離れない上に、街全体の雰囲気が、なんだか陰鬱としていて落ち着かない。外の霧もさらに濃くなっている。
「そうだね。明日までの我慢、かな。」
最近ホテルに宿泊する際は、自然な流れで花京院くんと同室になっている。別に誰が同室でも構わないのだが、普段花京院くんと2人でいることが多いのでセットとして捉えられているようだ。
「なまえ。おるか?」
コンコン、とノックの音と同時に、声がかかる。ジョセフさんだ。なにかあったのだろうかとドアを開けると、ジョセフさんは私に話がある、と言い、中のテーブルセットへと腰掛けた。
ジョセフさんに倣って、席に着くと、
「なまえ。お主、既に呼吸が安定しているんじゃあないか?」
と話す。そう言われてみれば…。
「確かに。つい数日前までは、たまに、噎せていたのに…。」
思えば、承太郎の胸で泣いた時には噎せていなかった気がする。
「て、事はもしかして…。」
もしかしてもしかして!
「うむ。マスクを外しても良いじゃろう。」
「やったーー!!」
もう、マスクを着けなくて良いなんて!最高!
2人の顔を見ると、優しい眼差しで、余計に嬉しくなった。
「よく頑張ったの。どれ、外してやろう。」
ジョセフさんが立ち上がって私の後ろに回り込み、カチャカチャとベルトを外す。そしてついに、マスクが外された。
「なまえさん、頑張ったね。」
そう言った花京院くんは嬉しそうに笑っている。
最初は反対していたが、最終的には応援してくれた花京院くん。なんだか、花京院くんの応援に応えられた事が嬉しくて、自分を誇らしく思えた。
「ありがとう。花京院くん。ジョセフさんも。2人ともありがとう。」
頑張って良かった。本当に良かった!
「ここからは実践的な修行になる。なぁに。基礎を身につけたなまえなら大丈夫じゃ。」
ジョセフさんはそう、笑顔で言うが…マスクでの呼吸法矯正が中々キツい修行だったので思わず身構えてしまう。
「大丈夫じゃ。基礎ができていれば、あとは感覚で覚えるだけなんじゃ。」
ジョセフさんの顔は、適当を言っている感じではない。本当に、ジョセフさんが使っている波紋を、私が使えるようになるのだろうか?と、今更だが不安になった。自分が使っているイメージが湧かないのだ。
「花京院。コップと水を頼む。」