3部 インドからエジプト上陸まで
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「承太郎!花京院くん!ポルナレフ!」
3人は、ホイールオブフォーチュンの攻撃を食らってしまった。だが、どうやって攻撃したのか、全然見えなかった。
突進してこようと向きを変えているのを見て「岩と岩の間に逃げ込め!」とジョセフさんが指示し、全員走り出した。しかし、車はドリルのようなパーツで無理やり入ってくる。今度は上へ逃げるようだ。
「なまえさん。おいで。」
承太郎は転んでしまったアンちゃんを拾いに行っている。花京院くんは怪我をしているのに、私のフォローをしようとしているらしい。さすがにため息が出る。
「花京院くん。1人で登れるよ。」
そう言ってぐい、と先に上へ登りきり、花京院くんへ手を差し出す。
「はは、なまえさんは本当に、かっこいいな。」
花京院くんはなぜか残念な顔をしながらも、私の手を取った。
「俺も引っ張りあげてくれよ〜。」とポルナレフが言うが「嫌よ。ポルナレフ重そうだもん。」と断った。花京院くんだから手助けしたのだ。勘違いしないでほしい。
「花京院くん。ちょっと、傷口見せて。」
花京院くんの傷口をよく観察すると、キラキラ光っているように見える。液体のようだ。それに、このニオイは…。キラキラした液体。車…。
「これ…ガソリン?」
試しにスタンド能力で"ガソリン"を掴んでみると、手の中に残った。これは、ガソリンを飛ばして攻撃したらしい。
「承太郎!敵はガソリンを飛ばして攻撃してくる!気をつけて!」
花京院くんの傷口から、ガソリンを取った。
このままにしていると、何かしら体に害がありそうだったから早めに取っておいた方がいいだろう。
同様の攻撃を受けたポルナレフも、同じようにガソリンを取った。残るは承太郎だが…。
承太郎は崖を昇ってくる車の相手をしている。
承太郎は車の腹を攻撃しようと、一人、前に出ていた。そこへホイールオブフォーチュンは、車の電気をショートさせ、承太郎の体へと火花を散らした。
「じ、承太郎…っ!承太郎ーーっ!!」
ジョセフさんと一緒に、私も承太郎を呼んだ。
承太郎が…燃えている…!!!
このままでは、いくら承太郎でも、死んでしまう…!
「承太郎ーー!!!」
そんなのダメだ。私には、承太郎がいてくれないと困る。聖子さんにも。ジョセフさんにも。
「なまえさん!近づいちゃダメだ!!」
花京院くんの静止を振り切り、私は承太郎へ駆け寄った。"掴む"のは承太郎だ。熱くない。
「承太郎…こんなとこで、死なないで。いなくならないで…!」
涙を流し、懇願する。私が、家族を失った時の恐怖が蘇り、手が震える。怖い…嫌だ。怖い。
「いなくならねぇ。泣くな。」
ハッと顔を上げる。小さかったが、今、承太郎の声がした。空耳でないのなら。
その直後、突如視界は真っ暗闇になった。
「それで誰がこの、空条承太郎の代わりを務めるんだ?まさかテメーの訳はねえよな?」
次に視界が開けた時には、このセリフが聞こえてきた。承太郎の声だ。
「承太郎…っ!!」
いる。生きている。怪我をしているが、確かにここにいる。私はそれが嬉しくて、安心して、承太郎を抱きしめる。抱きしめる、というのには、腕の長さが全然足りないが。それでも、存在を確認したくて、私は精一杯腕を伸ばした。
「おい。いい加減泣きやめ。それから、そろそろ離しな。」
承太郎はため息をついてそう言うが、私は嫌だ、と首を振った。まるで駄々をこねる子供のように。
私のスタンド能力は解除していない。私は今、承太郎にしか触れないし、触れられる事もない。
承太郎はその特性を思い出し、諦めたようにまた、ため息をついた。
「おい。いつまで泣いてる。いい加減、うっとおしいぞ。」
ホイールオブフォーチュンの本体を倒したあとも、私の涙は止まらなかった。
あの時、本当に承太郎が死んでしまうと思ったのだ。
「だって…私、承太郎が死んじゃうと思って…。」
戦ったあとで疲れたのか、はたまたスタンドを解除した私を抱いているのに疲れたのか、承太郎は地面に座り、私は未だに引っ付いている。
「わ、私、承太郎がいないと、生きていけないからっ。」
そう言うと、承太郎の体が一瞬固まった。そして、
「オイ、花京院。勘違いするんじゃあねえぞ。」と続けた。なんの勘違い?
「承太郎、本当に…いなくならないよね?」
私はついに、少しだけ顔を上げて承太郎を見た。承太郎の瞳は私を映している。青色の瞳の中に、私が見えた。
「あぁ。いなくならねえ。前にも言ったはずだ。」
呼吸の乱れを整えるように、承太郎の手が私の背中を撫でた。優しい手つきで。
「うぅ……承太郎が…死ななくて良かったぁ〜〜!」
私はやっと安心して、最後のひと泣きをした。みな、心配そうに様子を伺っていたが、周りも安心したようだった。
「なまえさん。」
承太郎の胸に寄りかかり、スンスンしていると、花京院くんがハンカチを差し出してくれる。
「うぅ…花京院くん、拭いてほしい…。」
たくさん涙を流したからか、みんなに甘えたくなってしまって、花京院くんにも無茶振りをしてしまった。
だが花京院くんは、優しい笑顔を浮かべて、優しい手つきで、涙を拭ってくれた。
その優しさに、少しだけまた涙がでた。