3部 インドからエジプト上陸まで
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しまった。ポルナレフの背中には、ナイフが刺さっている。本体を間違えてしまったのだ。
花京院くんがポルナレフに刺さったナイフを抜くと、今度こそ、J・ガイルが姿を現す。
この男、頭が良い奴だ。
彼は私達が金を恵んでくれるようだと大声でのたまい、人を集めた。
花京院くんとポルナレフは私を庇い、背中合わせになった間に私を入れた。
「待って。それじゃ私も見えない!」
2人の間から顔を出そうとするが「動くな!」と怒られた。なにか、策があるのだろうか?
しかし、私は無傷で、2人は小さくではあるが傷が増えていっている。このままでは…と思っていると、花京院くんが突然、取り出した金貨を空高く放り投げた。これは…!私は手を伸ばしかけたが、思い直して手を引っ込めた。この状況、私が手を出さない方が良いだろうと思ったからだ。
スタンドの軌道上にシルバーチャリオッツが姿を現した。そして、見事にハングドマンを切り裂いた。
倒した。あの、ポルナレフの妹の仇であるJ・ガイルを。私はこの時、殺された家族の事を思い出していた。同時に仇である、DIOの事も。私はなぜだか分からないが、涙が流れた。ポルナレフも、一筋の涙を流している。私のハンカチはアブドゥルさんの止血に使ってしまったので、花京院くんがハンカチを貸してくれたが断った。私の涙より、花京院くんとポルナレフの傷の方が一大事なのだ。帰ったらすぐに手当てをしなくては!
「待ちなァ。」
早く帰ろうと歩いていると、先ほど街中で出会った敵、ホル・ホースが現れた。銃のスタンド使いらしい。
彼はJ・ガイルを呼んでいる。が、彼はもういない。
ポルナレフがホル・ホースを挑発すると、彼は背を向けて走っていく。逃げるのだろう。この状況で逃げを選択するのだから、大したことはなさそうだ。
そう思っていると「ジョースターさん。承太郎。」と花京院くんが言った。
「承太郎!」
私は思わず顔を上げ、承太郎に駆け寄った。アブドゥルさんの容態が気になったのだ。
「ジジイ、ちょっと抜けるぜ。」
承太郎はジョセフさんにそう一言告げ、私を連れてみんなと距離を取った。
「え、どうしたの?アブドゥルさんは無事?」
なぜ、わざわざここまで…と思っていると「アブドゥルは無事だ。」とまず一言言った。続けて「だが、ポルナレフには死んだと伝える。」と言う。……なぜ?頭の中が「?」だらけになる。
「敵を欺くためだ。」と言うが、ポルナレフにも内緒にする意味とは、と考えて、納得した。
「なるほど…確かに…。」
ポルナレフは良く言うと素直だ。すぐに顔に出る。
急に納得した表情になった私の顔を見て、承太郎がフッ、と少し笑ったのが分かった。
「でも良かった。復帰はいつになるの?」
「分からねえ。だが、離脱している間に、いくつか仕事を頼むとジジイが言っていた。」
なら、しばらくは5人の旅になるのか。少し寂しいな。あまり話したことはなかったが、いなくなってしまったら寂しい。
「おい。なまえ。テメー、顔色が悪いが…」
アブドゥルさんの話の途中なのに、急に視界が傾いて、気がついたら承太郎の胸が目の前にあった。
「あぁ、朝ごはん、急いで食べたから、足りなかった……。」
今まで気を張っていたから気が付かなかったが、急に空腹がやってきた。
承太郎はひとつため息をついて、私をいつかの時と同じように肩に担いだ。
承太郎はすぐ肩に担ぐ…花京院くんなら、優しく抱き上げてくれるのに…。とストレングスの時の事を思い出した。
そのままみんなの所へ戻るとめちゃくちゃ心配されたが「アブドゥルの話を聞いて倒れた。」と承太郎は適当なことを言う。みんな信じたようで黙ってしまったが、本当は空腹で倒れたなんて、後で言えないじゃないか。
承太郎と私がみんなの所へ戻った時、ホル・ホースは既に逃げ出していたらしい。
逃げ足の速い奴だ。
ホテルに着いて、みんなで遅めの朝食、時間的には昼食を取る。
みんな最初は静かだったが、今は普通に食事を楽しんでいるようで安心した。
承太郎から帰り際「花京院にはテメーから言え。」と言われたので先ほど伝えたら「良かった…。」と目に少し涙を浮かべていて思わず抱きしめたくなった。
「なまえさん、もう大丈夫?」食事も終わりかけの頃、花京院くんがそう言うと、ポルナレフが気の毒そうな顔でこちらを見ていた。そうだ、私、アブドゥルさんが死んだショックで倒れたんだった。
「うん…。この旅に着いてきた時から、覚悟はしてたし…。もう大丈夫。」
少し眉を下げてそう伝えると、ポルナレフは目を閉じた。少しやりすぎただろうか。
なんだかポルナレフが可哀想だ。しばらくの間、少し優しくしてやろう。