2部 出国からインド上陸まで
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ジョセフさんの部屋へ入ると、直後爆発音が聞こえた。
慌てて部屋へ入るとテレビの画面が割れていて、どうやら先程の爆発はこのテレビだったらしい。敵スタンドではないようで一先ず安心した。
「2人とも、なぜここに…。承太郎と共に出掛けたのでは?」とアブドゥルさんが目を細めて言う。なぜだか警戒をしているようだ。
「私は、寝坊しちゃって…」と話し始めると電話が鳴り、近くにいたジョセフさんが取った。
なんと電話の相手はアンちゃんだと言うではないか。
「そっちに花京院が!?」
なにがなんだかよく分からないが、アンちゃんと承太郎と一緒に、花京院くんもいるらしい。ここにいるのに。
アブドゥルさん、ジョセフさんと共に思わず花京院くんを見ると、彼も困惑した顔でこちらを見た。
「そっちの花京院くんは偽物だよ。って伝えてください。」
とジョセフさんにそう伝え、花京院くんの瞳を改めて見つめる。
「そうだよね、花京院くん。」
割と近い距離でしばしの間見つめ合った。
ジョセフさん達は電話の向こうに意識をやっているようでこちらを気にしてはいない。
「あぁ…。ありがとう、なまえさん。」
ニコ、と笑う花京院くんはやっぱりいつもの花京院くんだ。向こうの花京院くんを見ていないが、ここにいる花京院くんが偽物だなんて、とてもじゃあないが思えなかったのだ。
「それじゃ、どうする?承太郎の所へ行く?」
きっと戦闘が起こっているだろう。アンちゃんも近くにいるようだし、やはり向かうべきかと思っていると「そうだね、僕達も向かおう。」とジョセフさん達に背を向けて歩き出した。
「アブドゥルさん、私達、承太郎の元へ行きますね。」と声をかけ、私も花京院くんの背中を追いかけてホテルを出た。
「いた!承太郎ーー!!」
ケーブルカー乗り場でアンちゃんを保護し、承太郎が落ちたという地点までやってくると承太郎の姿があった。水に濡れていて、よく見ると傷だらけだが、もう戦闘は終わったらしく、傍には男が転がっている。
花京院くんはその男を見下ろして立つと、ハイエロファントグリーンを出し、男を海へと投げ捨てた。
意外にも、怒っていたらしい。
「承太郎、ホテルに戻ったら手当てしないとね。」
主に右手を怪我しているようだ。承太郎は戦う時に右手を使うから、丁寧に手当てをしなければ。
午後になると、私達は列車の乗り場へとやってきていた。
あの後チケットも無事購入し、なんとか今日中にインド行きの列車に乗る事ができた。
「なまえ、どうした。」
私が何かを探すようにキョロキョロしていると承太郎が声をかけてきた。忘れ物でもしたか?と言うが「いや、アンちゃんが見当たらなくて。」と答えると承太郎もそういえば、と辺りを見渡した。
少し心配だが、もしかしたら無事にお父さんと会えたのかもしれない。そう思い直し、承太郎を見ると、承太郎もそんなに心配してはなさそうだった。
「さぁ、なまえさん。荷物貸して。混み合ってるから気をつけて。」
いよいよ列車に乗るらしく、花京院くんが私達の元へきて、私をエスコートしてくれる。
毎度毎度照れくさいのだが、これは花京院くんの通常運転なのだろうと思うと"やめて"とも言えなくて、結局いつも我慢している。いや、我慢というと語弊があるが、嬉しいけど照れくさいという事だ。つまりは。
席までエスコートされ、窓側に座らされる。花京院くんは自然な流れで隣へと腰を降ろした。向かい側へは承太郎が座り、通路を挟んだ向こう側は大男3人が詰め込まれて不服そうだった。
いつも自然と、大人と学生に分かれてしまうのだ。これはもう仕方がない。
列車が出発し、軽食が運ばれてきたのをいくつか食べて一息つく。
「承太郎。そのチェリー、食べないのか?がっつくようだが、僕の好物なんだ。くれないか?」
承太郎の皿に残っているチェリーを、花京院くんが指さしている。好物だからと人のものを欲しがるなんて、なんだかとても意外でかわいらしい。
「サンキュー。」
そう言ってチェリーを一つ口に含むと、花京院くんはなぜか舌でチェリーを転がしだした。
「えっ?」
驚いて声が出るが、承太郎を見ると少し顔を顰めていて、その顔に思わず笑ってしまった。
「なまえさんもひとつ食べるかい?」
そう横から言われて花京院くんの方に視線を移すと、目の前にチェリーが差し出されていて思わず口を開けてチェリーを口に含んだ。
しまった。目の前の食べ物に思わず…。花京院くんを見ると少し驚いた顔をしていたが、すぐに柔らかい笑顔に変わった。良かった。引かれてはいないようだ。
「あ、ありがと。花京院くん、変わった食べ方するんだね。」
「そうかな?」
今まで人に指摘された事がないのだろうか?不思議そうな顔でこちらを見ている。
「うん。マナーに厳しいレストランでやったらきっと怒られちゃうよ。」
「そ、そうなのか。気をつけないと。」
花京院くんは思わず口元に手を当てているが、
「普段はいいんじゃない?好きに食べたらいいよ。」と言うと嬉しそうに、そうか、と納得したようだった。
頬に移動させていたチェリーをまたレロレロと舌で転がしだした。
承太郎はその様子を見て「やれやれだぜ…。」となぜかため息をついていた。