2部 出国からインド上陸まで
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翌日、朝起きると部屋には1人きりだった。
「あれ?アンちゃんは…?」
というか、今何時だろう。と時計を探すと、サイドテーブルのメモが目に入った。
"なまえさん、起こしても起きないから置いていくからね!"と恐らくアンちゃんの字で書かれている。
思わず飛び起きた。チケットを買いに行く事になっていたんだった!と顔を青くさせ、改めて時計を見る。今の時刻は10時。待ち合わせは9時半。ついさっき、承太郎達はここへ来て、アンちゃんを連れて部屋を出ていったようだ。
「寝坊したーー。」
と大きい独り言を呟き、ベッドへと倒れ込んだ。
昨日ジョセフさんに教わった呼吸法の自主練をしていたら思いがけず夜更かししてしまったのだ。
気づいたら夜中の3時で慌てて眠ったのだが…やはり間に合わなかったらしい。
コンコン、と静かなノックの音に、静かに体を起こす。
待ち合わせていた承太郎達が行ってしまった今、この部屋を訪れる人は居ないはずだが…。と警戒心を出してドアに近づきスコープを覗くと、ドアの前にいたのは花京院くんだった。
「えっ、花京院くん!?」
承太郎達と一緒に行ったと思っていたが、なぜこんなところに。
すぐにドアを開けると「あぁ、良かった。」といつもの笑顔だ。
「おはよう。なまえさん。承太郎来てる?」
「承太郎?もう行っちゃったよ。私、今起きたとこで…」と言いかけたところで気づいた。私、寝起きそのままの姿だった!と。
「うわっ。ご、ごめん、花京院くん。私、寝起きだから、ちょっと待ってて!」
とりあえず部屋へと招き入れ、昨日準備しておいた着替えを引っ掴み、洗面所へ駆け込んだ。こんな姿、花京院くんには見せられない…!
「いいよ。ゆっくり準備して。」
部屋の方から、花京院くんの声が聞こえてくる。待ってくれているらしい。
「花京院くん、承太郎達と一緒に行ったんじゃなかったの?」と聞くと「そうなんだけど…席を外している間に、部屋からいなくなってしまったんだ。」と言う。
だから待ち合わせ場所である私達の部屋にやってきたのか。でも、承太郎が花京院くんを置いて行ってしまうなんて、ありえるのだろうか?充分ありえるのかもしれないが、なんだか違和感が残る。
「お待たせ。」
爆速で歯磨き、洗顔、着替えを終わらせて洗面所を出ると、花京院くんが笑顔を浮かべ「待ってないよ。」と気遣いの言葉を吐いた。
「なまえさん、今日もかわいいね。」と彼は朝からフルスロットルの褒め言葉を浴びせてくる。花京院くんは実はイタリア人か何かなのではないかと疑ってくる。
「その服、やっぱりとても似合ってる。それから、ピアスも。」
思わず耳に手を触れる。いつもしている聖子さんに頂いたピアスを外し、昨日花京院くんに貰ったピアスをしてみたのだ。
送ってくれた本人の前で着けるのは勇気がいったが、予想通りに褒めてくれてなんだか照れくさい。
「ありがとう。」
またしても小さい声しか出なかったが、なんとかお礼の言葉を絞り出すと「どういたしまして。」と優しい声が返ってきた。
「なまえさん、朝食がまだだろう。好きそうなものをいくつか頼んでおいたよ。」
と花京院くんはルームサービスのメニューを閉じて棚に戻した。この男、気遣いの塊だな…!と感心するような、悔しいような、なんとも不思議な気分になった。
運ばれてきた食事を食べている間、花京院くんは紅茶を飲みながらニコニコと私を見ていた。私が食べているのをいつも笑顔で眺めているが、なにが楽しいのだろうか。
「あぁ、待って。髪の毛が。」
パサ、と落ちてきた横の髪の毛に私よりも先に気づき、耳へとかけてくれる花京院くん。あまりに王子様すぎて、心臓に悪い!!
「た、食べ終わったら、ジョセフさんの部屋に行こう。」
花京院くんの顔が見られないくて、目を逸らして無理やり話題を出した。
「うん。ゆっくり食べて。」
と花京院くんは相変わらずニコニコしていて、やっぱり悔しかった。