2部 出国からインド上陸まで
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ポルナレフが襲われた。
花京院くんとのデートを終えて帰ってくるなり、承太郎にそう伝えられた。5分後にジョセフさんの部屋で待ち合わせているのだという。
「で、ポルナレフはまだ来てないの?」
そのまま承太郎とジョセフさんの部屋に行くと、当の本人はまだ来ていないらしい。なぜ…と思ったがみんな気にしていない様子だったので、私も気にしない事にした。
「ジョセフさん。波紋の修行、してもらってもいいですか?」
ただ待っているだけでは勿体ないと思いジョセフさんに尋ねると、快く承諾してくれた。
「一先ず、なまえには呼吸の仕方を体で覚えてもらうぞ。」
そう言って1枚のメモを渡された。
なになに?1秒間に10回の呼吸。10分間息を吸い続けて10分間息を吐く。呼吸法矯正マスクを着けて生活する。……これは…なかなかにハードそうだ…。気軽に教えてくれと頼んだ事をちょっぴり後悔した。
「あの、呼吸法矯正マスクって?」と聞くと、SPW財団に頼んで作ってもらっているということだ。さすが、準備が早い。
ジョセフさんが若かりし頃に行なった修行らしいが、これに加えて油が噴き出してくるツルツルした塔を身一つで3日で登ったりもしたらしく、正直引いた。
何はともあれ、このメモに書かれていることをひとつひとつこなしていくしかない。と1人意気込んだ。
「ちなみに…呼吸法を習得するとこんな事ができるぞ。」と言い水の入ったコップを逆さにした。
「わぁ!すごい!」水は零れていなくて、無重力というか、コップに張り付いているようだった。そしてジョセフさんはその水に指を入れると、そのまま抜き取ったが、今度はコップから水が離れ、指の周りをグルグルと回っているようだった。
「なんだか、手品みたいですね。」
と呑気な言葉が出てしまった。これを、私が。できるようになるだろうか。とりあえず、呼吸の仕方を体で覚えるしかない。
私は目を閉じて自分の呼吸に集中した。鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり息を吐く。
鼻から喉、気道そして肺へ。折り返して、肺から気道、そして口へ。意識しながら、呼吸を繰り返した。
「ふむ。なまえは素質があるかもしれんのォ。」
「素質?」
ただ意識して呼吸を繰り返しただけだ。それで素質があるとかないとか、分かるものなのだろうか?
「とりあえず、今の呼吸をトレーニングだと思って常にやっておくといい。最初はキツいかもしれんが、いずれ当たり前にできるようになる。」
ジョセフさんはそう言って、私の頭を撫でた。
なんだか少しだけ、家族を思い出してちょっぴり目が潤んだ。
「ポルナレフ。やっと来たか。」
アブドゥルさんの声に顔を上げると、ポルナレフがドアから入ってくるところだった。だが、血塗れだ。あまりにも。
みんなポルナレフの傷が見えないのか作戦会議を始めようとしており、ズルズルと座り込むポルナレフがさすがに可哀想に思い、仕方なしに手当てをしてあげた。
ポルナレフは「なまえ〜〜。お前、優しい奴だなぁ〜〜!」と涙を流して感動している。
いつも優しい花京院くんもポルナレフにはなぜか冷たいのだ。男なんだから自分でなんとかできるだろう?という事なのか。
未だ泣いているポルナレフを見て、これからはちょっとだけ優しくしてやるか…と少し思った。