2部 出国からインド上陸まで
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…最悪。」
最悪の目覚めだ。
せっかく少し休めると思ったのに、これでは余計に疲れるだけではないか。
「ハァァァ………。」
長めのため息をつき、ゆっくりと起き上がる。
なんだか、外が騒がしい。気がする。
重い体をゆっくりと持ち上げ、私は船室を後にした。
外に出た私の目に映ったのは、いち早く私に気づいた花京院。そしてジョセフ、アブドゥル、ポルナレフ。
……承太郎は?そしてみな船の片側に集まって、海の方を見ている。まさか。
「承太郎!」
駆け寄って下を覗き込むと、ちょうど承太郎が水面に顔を出した。どうやら私が眠っている間に、スタンド使いと戦闘になっていたらしい。無事で良かった…。
花京院くんのハイエロファントで引き上げるのに手を貸して、承太郎の手をしっかりと掴んだ。承太郎の体は、思ったよりも重かった。
「なまえ。なんかあったか?」
承太郎の顔の傷を手当していると、承太郎がそんな事を言う。もしかして、顔に出ていただろうか。いや、絶対にそんな事はない。現に承太郎以外のメンツは頭に"?"を浮かべている。
いつも鈍感な彼だが、こういった類はすぐに気づくのだ。別に隠すつもりはないが、彼に隠し事はできないようだ。
「DIOが、」と私が話し出すと、みな一斉にこちらを見、険しい表情を浮かべている。ポルナレフは私の事情を知らないので「DIOが!?来たのか!?」とキョロキョロと辺りを警戒している。
「夢にDIOが出てきて…。最近見なかったから油断してて…。」
話してて思い出してきて、DIOが最後に口付けを落とした髪の毛をくしゃ、と握った。
「なにかされたんじゃあねえだろうな。」
そう言う承太郎は、今まで見た事がないほど険しい顔をしており、まるで今から討ち入りにでも行くかのような形相をしていて、思わず吹き出してしまった。
「大丈夫だよ、承太郎。」承太郎が疑わしいというような目つきで見つめている。ぼちぼち顔に穴でも開きそうなくらい。他のみんなも気遣うように私を見ていた。
「大丈夫だよ。私、もうDIOの事怖くないんだ。みんなが、私を守ってくれるから。それに…きっとみんなで、DIOを倒すから。」
頼れる人がいるだけで、こんなにも強くなれるなんて知らなかった。それを私に分からせてくれたみんなに、本当に感謝だ。
「私も、みんなを守るからね。」
そう言ってみなに笑いかけると、花京院くんは少し眉根を寄せた表情を見せる。が、すぐに微笑みを浮かべた。他のみんなも安心したように私を見ていた。
さっきの花京院くんの表情…見間違いかな…?
「元気そうで安心したぜ。」ホッとしたため息をつく承太郎はいつもの「やれやれだぜ。」と言いゆっくり立ち上がった。
「あ。でも聞いてよ!アイツ!私の頭にキスしてきたんだよ!」ほんと最悪!と怒っていると、一瞬にして空気が固まったのが分かった。
「おい花京院。今すぐハンカチ濡らしてこい。」
そういう承太郎は歯をギリリと鳴らして強く、私の頭を撫でた。
「ちょ、いたい!痛いってば!」
「承太郎。ハンカチを。」
私の叫び声を他所に周りは大騒ぎでさっきまで微笑ましくこちらを見ていたジョセフさんとアブドゥルさんも「うちのかわいい孫になんて事を…DIO!」
「ジョースターさん、すぐに消毒しましょう。」
などと眉間に皺を寄せて厳しい顔をしていた。
この時私の髪に大量の消毒液をかけた事により、しばらくの間私の髪は一部金髪に脱色されてしまったのだった。