2部 出国からインド上陸まで
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「復活!」
お腹いっぱいになり身も心も元気になった。
食べかけの食事を我慢させたポルナレフに若干、いや、かなりの恨みがあるが、この後すぐに香港を立つらしい。食べ物の恨みは一生…。今度会ったらただじゃおかない…と闘志を燃やしていると、その機会は意外にもすぐやってきた。
「SPW財団にチャーターを依頼した船が既に港に入っている筈じゃ。」と言うジョセフさんの後を歩いていると、突如ポルナレフが姿を見せたのだ。話したい事があるらしく、ここで私達が来るのを待っていたようだ。すぐにでも恨みを晴らしたかったが、そんな空気でもないのでポルナレフの話を、みんなに倣って静かに聞いた。
話によると彼は、両手とも右手の男を探しているのだという。
両手とも右手?とよく分からない事を言っているが、彼の顔は嘘を言っているようには全く見えない。本当に、彼は両手とも右手の男を探しているのだろう。
続いた話は聞くに絶えない話だった。その、彼の話す両手とも右手の男に、妹さんが殺されたのだと言う。
思わず俯いてしまった。普通の、戦うすべを持たない、か弱い女の子を…殺す、なんて…。
更にポルナレフは、1年前にDIOに出会ったと言った。DIOは「友達にならないか?」と、「男を探し出してやる。」と、あの優しい声をかけ、結局は利用するだけ利用していたのだ。彼はDIOに裏切られたのだ。
DIO…本当に、最低なやつ…!
「なまえ。」
ポン、と肩に手を置かれる。承太郎だ。落ち着け、と言いたいのだろう。花京院くんも心配そうにこちらを見下ろしていた。
「ごめん。大丈夫。」
気持ちを切り替えて顔を上げると、2人はホッとした顔をし、視線を前に戻した。
ダメだな。DIOの話を聞くとすぐにムキになってしまう。落ち着こう…。
ポルナレフの話に意識を戻すと、「俺はアンタ達とともに、エジプトに行く事を決めたぜ!」と宣言した。
DIOを目指していけば、きっと妹の仇に出会える、と。
そうして、私達の一行にポルナレフが加わる運びとなった。
彼は先程のアブドゥルさんとの戦闘で充分すぎる強さを見せている。目的は違えど、目的地は同じなのだ。こちらも願ったり叶ったりだ。
「と・こ・ろ・で〜〜、ポルナレフ〜〜?」
話は纏まった。そろそろあの話をしていいだろう、と、私はポルナレフに忍び寄った。
「ワォ!女の子も一緒なのか〜!男まみれの旅かと思ってたが、こりゃ華があっていいね〜。」と浮かれているポルナレフの腕を掴みあげ、そのままギリギリと締め上げた。
「イデデデデデ…!!」悲痛な叫びをあげるも、誰も何も言わず静かに事の成り行きを見守っている。
「私、お腹空いて死にそうだったの。それを貴方は食事の邪魔をして、挙句の果てに外に連れ出して…!」
「えっ?」
何の話かと驚いているようだが、先ほどのできごとを思い出してなんの事か検討がついたらしい。「わ、悪かった!今度メシ奢るからよ。悪かったって!」と必死に謝罪を口にしている。
「その言葉、二言はないわね?」と念を押すと「もちろん!」と何度も頷いた。
「みなさん、聞きました?」と笑顔で後ろを振り返ると、「聞いた。」としっかり証言してくれた。
「ポルナレフ。」と再度ポルナレフを見て、今度は両手で、ポルナレフの手を掴んだ。私のその行動に、ポルナレフは安心した表情を見せている。
「今度私の食事を邪魔したら、その腕、へし折りますからね。」それだけ言って、私は手を離し、この話は終わりにした。恐ろしい宣言を聞いたポルナレフは、先ほどの笑顔を引き攣らせて固まっている。
「ポルナレフ。なまえは1人で10人前は食うぞ。」
彼の肩に手を置いてそう言ったジョセフさんは、ニヤニヤと笑っている。他のメンツも、よく見るとポルナレフを憐れんだり、苦笑いしたり。承太郎に至っては私を見てため息をついている。
「なにィィイーーー!!?」
青くキラキラ光る海辺に、ポルナレフの絶望の声が響き渡ったのであった。