2部 出国からインド上陸まで
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「えー……っと、これは……。」
席に着くなり気を失うようにテーブルに突っ伏していた私は、食事が運ばれてきた気配に視線を上げた。
そしたらテーブルにどんどん料理が並べられていった、のだが。
「か、カエル……。」
それに見たこともない魚がそのままの姿で皿に乗せられている。
ジョセフさん以外の面々も呆気に取られている。
ん?いつの間にか知らない男がこのテーブルに付いているのに気づいたが、みなが気にしていない様子だったので気にしない事にした。
再度料理に目を移すが…見た目はアレでも、意外といい匂いがする。それにもう空腹が我慢できない…。
「案外食ってみれば美味いもの。」とジョセフさんが言ったのを合図に、私は「戴きます。」と手を合わせて食事を始めた。
いつものペースよりもかなり早く、口に食べ物が吸い込まれていく。ジョセフさんの言う通り、意外と美味しい!
私の食べっぷりを見て安心したのか、みんなも箸を持ち、一足遅く食事を始めた。
食文化が全然違うので戸惑いはしたが、きちんとしたレストランで出てくるものなのだから、食わず嫌いをしなければ大抵のものは美味しいのだと、改めて勉強になった。
私の知らない男、フランス人観光客を見ると、彼は星型の人参を箸で掴み、「手間暇かけてるなぁ。」と目の前に掲げた。どことなく演技がかった話し方に、違和感を感じた。続いた「スターの形。なんか見覚えあるなぁ。」という言葉に、私達全員、警戒した。
スタンド使いだ!と思ったのも束の間、ジョセフさんがテーブルをひっくり返してしまった。ま、まだ食べてたのに…!
こんな状況でそんな事言ってられないかもしれないが、空腹でヘロヘロな状況でやっとご飯にありつけたのだ。私にとって死活問題である。
「下がって。」
私が床に散らばるご飯に絶望していると、花京院くんが手で、壁際へ下がるようにジェスチャーをする。
花京院くん越しに敵を見ると銀色のスタンドが見えた。アブドゥルさんと対峙している。先程飛行機でDIOの刺客と戦ったばかりなのに、もう次の刺客か…。
彼は華麗な剣さばきを魅せているが、アブドゥルさんは無事に勝利できるだろうか。
「全員表へ出ろ!」と男、ポルナレフはこちらに背を向けて店を出ていく。……私のご飯は…?と絶望していると承太郎が私の肩に手を置き「残念だが、お預けだな。」と。そ、そんなぁ……!
ポルナレフについて行ってたどり着いたのは"タイガーバームガーデン"という観光スポット。
こんな状況じゃなければ純粋に、見ているだけで楽しい場所だ。…こんな状況じゃなければ。
「危ねぇから、後ろに下がってろ。」と、承太郎が気遣ってくれ「僕の後ろにいて。離れないで。」と花京院くんは壁になってくれた。
お腹がすきすぎて気持ちが悪いが、2人の気遣いに感謝した。
ジョセフさんは私を座らせて自らも片膝を付き、「空腹に効くかは分からんが…。」と言いつつも、私の体へ右手を翳した。
何をしているのかは分からなかったがほんのりと温かく、少しだけ体が楽になった気がする。ジョセフさんはなにか、スタンド能力とは別に、不思議な力を持っているのだろうか?
ポルナレフとアブドゥルさんの戦いは、あまりよく見えなかった。
途中アブドゥルさんがやられてしまったかと思われたが、見事に打ち勝ち、2人目の刺客も倒し無事に勝利したようだ。
承太郎が肉の芽を取っているのを遠くから見たが、今回は腕に入り込んだりはしなかったらしく、ホッと胸を撫で下ろした。
「なまえさん。」
花京院くんの気遣う声に、重い頭を上げる。花京院くんは眉を下げて気遣うような視線を送っている。
「お腹すいた……。ご飯……。」
花京院くんの後ろで見ていた承太郎がため息をつき「飯だ。」と私を肩に担ぎ歩き出した。お、お腹に圧が…気持ち悪い…。と思ったが抗議する気力も起きず、半ば気を失っているような気分で、先程とは違うレストランまで運ばれた。
その後泣きながら「美味しい…美味しい〜〜……!!」と次々と皿を空にしていき、店員さんやジョセフさん達をドン引きさせたのだった。