1部 DIOとの出会いから出立まで
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「手当て終わり。キツくない?」
承太郎に手当てしてもらったあと、今度は私が花京院さんの手当てをした。
承太郎は……今は口をききたくない!
「ありがとう…ございます…。」
肉の芽に操られていたとはいえ、承太郎を殺そうと近づいてきたのだ。
手厚くもてなされて戸惑っている姿が、なんだかかわいらしく思えた。
「ねぇ、花京院さんいくつ?私高校1年の16歳なんだけど。その制服、この辺のじゃないよね?転校生なんだっけ?」
花京院さんの緊張を和らげようと、なるべく優しく話しかけた。
「僕は…高校2年生、17歳。昨日、転校してきたばかりなんだ。」
花京院さんはまだ若干ぎこちなくだが、笑顔を見せた。
「あ、私、みょうじ なまえです。空条家には訳あって居候させてもらって…」そういえば名乗っていなかったと自己紹介していれば、話の途中で聖子さんに遮られる。
「居候なんて言わないで!なまえちゃんは私の家族なのよ!私の娘!分かった?花京院くん。」
聖子さんの勢いに押されて花京院さんは「あぁ、はい…。」と戸惑っている。
やっぱりかわいらしい人。
「みょうじさん。改めて、ありがとうございます。」
周りが騒がしく会話している間に、花京院さんがお礼を口にした。
「私は何も大したことは…。」
肉の芽を取ったのは承太郎だし、始末したのはジョセフさんだ。
「大したこと、だよ。僕のために傷を負ってまで危険を犯してくれたんだ。本当にありがとう。」
そう言って、ふ、と微笑んだ花京院さんはとても綺麗だ。男の人なのに綺麗。周りに花が舞っているように見えて、目をパチパチと瞬いた。……気のせいか。
「さぁ。花京院さん、そろそろ休まないと。私お布団持ってきますね。」
酷い怪我をしているのだ。いつまでも床に座っていては、さぞ辛いだろう。
立ち上がって足早に部屋を出ていくと
「なまえ!テメー怪我してんの忘れてんのか!」と承太郎がついてきたが、さっき手当ての時に怒られたのを忘れてないんだからな。
返事をせずに怒ってますアピールをして歩き続ける。
私は先ほどの意見を変えるつもりはない。
客間の押し入れを開けて布団を掴む。
そのまま引っ張りだそうとすると、布団の上に承太郎の手が置かれた。
「拗ねてんじゃあねえ。」
拗ねてる?拗ねてるように見えるのか、承太郎は。
「拗ねてるんじゃあないよ。承太郎には私が拗ねてるように見える?」
振り返って承太郎を見上げる。
「なんで私がスタンドを出したか分かる?私は、承太郎が寄生されて、承太郎が承太郎じゃなくなるのが怖かった。あの触手が脳まで行っちゃったら、承太郎も、私のお父さんやお母さん、弟のように、いなくなっちゃうじゃない。」
あの肉の芽は、人を操ると言っていた。
それに承太郎が寄生されてしまっては、承太郎は承太郎ではなくなる。
そしていずれ死んでしまうのだ。
私のスタンドでも取り除けるのかもしれないが、承太郎を誰が押さえつけられるというのか。
そう考えたら、やっぱり承太郎の脳に寄生するのを阻止したのはやっぱり間違ってなかったと思う。
「お前だって、寄生されてたかもしれねえぜ。」
それはそうだ。それはそうだが。
「そしたら、承太郎が取ってくれる。でしょ?」
これは予測や推測ではない。確信だ。
それきり口を閉ざした私に、承太郎は長いため息を吐いた。
そして「頑固な所は変わらねえな。」と言い残し、布団一式を持ってみんながいる部屋へと戻って行った。