1部 DIOとの出会いから出立まで
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聖子さんを起こして電話の内容を説明すると、珍しく取り乱した様子で着の身着のまま家を飛び出して行ってしまった。
パジャマ姿じゃなかっただけ良かったが、本当に何も持たずに行ってしまった。
警察にお世話になっているというのなら、引渡しの際に身分証などが必要だろうか?と逆に冷静になった頭で考えた。
とりあえず…必要かは分からないが、いつも聖子さんが買い物に出る時に持ち歩いているバッグを持ち、忘れずにきちんと戸締りをし、私も空条家を飛び出した。
息も絶え絶えで警察署に着いて案内された通りに進んでいくと、拘置所…牢が並ぶゾーンへ通された。
(拘置所ってこんななの!?承太郎、何したの〜〜!?)
横目でチラチラと辺りを盗み見ていると、突然、少し先から大きな音が聞こえてきた。
聞いたことがないから分からないが、今のは銃声、だろうか?
銃声かもしれない、と頭を過ぎって、小走りで進んでいくと聖子さんの姿が見えた。
聖子さんの視線の先に、承太郎がいるのだろう。
「承太郎!」
承太郎の姿を視界に入れると、珍しく帽子を脱いでいるよ。
そして2本足で立っている。立っているという事は、承太郎は怪我をしていないのか。
「良かった…。」
そう思ったのもつかの間。承太郎の腕の周辺が、紫色にぼやけている。気がした。
もしかして……。この現象は、もしかしてもしかして……!
「なまえ。おふくろも。それ以上近づくんじゃあねぇ。帰んな。」
そう言う承太郎の腕…いや、背後には、やはり紫色の何かが見える。
私と色は違うが、恐らく同じものだ。
「承太郎!待って!話したいことがあるの!」
そう言って牢に近づいた私から、承太郎は距離を取った。
だが、右手はしっかりと承太郎の腕を掴んだ。
肩が牢の格子にめり込んでいる。ように見えるだろう。承太郎からは。
背中を向けている警官や聖子さんからは死角になっているが、承太郎の方からはハッキリ見えるはずだ。
「なまえ…!お前…!?」
さすがの承太郎も驚きを隠せないようだ。
咄嗟に腕を掴んでしまったが、これを警官に見られるのは何となくだが面倒な気がして承太郎を掴んでいた右手を離し、一歩後ろへ下がった。
どうしたら承太郎とゆっくり話せるだろうか…?と顎に手を添えて考える。
承太郎を説得しないと牢から出てくれないのだろう。しかし説得するための時間が欲しい。だが説得するにも、人前で話せる案件ではない。
一人でうんうん唸って考えた末に、ひとつの結論に行き着いた。
「そうだ。これしかない。」
そう呟きつつ警官の方へ振り返った。
そして「聖子さん、ごめんなさい!」と精一杯の謝罪と共に、近くにいた警官の顔を思いきり殴りつけた。
「えっ?えぇ〜〜〜!?」
「なまえ!テメー阿呆か!!」
聖子さんの驚いた声と、承太郎の怒号が響いた。
警官さんもごめんなさい。その後ちょっとした騒ぎになりながらも、予定通りに承太郎のいる牢の中に入れたのであった。