生存IF
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ポルナレフも無事にSPW財団へ引き渡した。じきに目覚めるだろう。
私はまた高台へ登り、騒ぎの中心を見つけ、そこ目掛けて飛び出した。決着は、未だついていないようだ。
しばらく跳んでいくと、2人の姿を視界に捉えて着地する。承太郎は地面に倒れていて、DIOは⋯、すると視界の端捉えていたはずのDIOが、急に目の前に現れた。様相が、変わっている⋯!
「なまえ〜。花京院はどうした?アイツは殺さないとなぁ?そうだろう、なまえ。」
そう言って私の頬を撫でるDIOに鳥肌が立った。気持ち悪い。
「私の宝物は、大事に大事に、隠してるよ。誰かに盗られたり、壊されでもしたら大変だもの。」
笑顔でそう返すと奴は「そうか。まぁいい。花京院の奴は後回しだ。」とあっさりと引き下がった。
「え⋯⋯?」
恐らく、時を止めたのだろう。
今背を向けたばかりのDIOが、遠くの方で足から血を流して倒れていて、突然現れた大きな重機の上に、承太郎が立っている。完全に置いていかれている。状況が理解できない⋯。なんにしても、きっと今が勝機だ。承太郎はDIOの傷がくっつくまで待つと言うが、私は待たない。地面を蹴って飛び出し、思いきりDIOの足を蹴り飛ばした。足は千切れ飛び、海の中へと落ちていった。
「ウッ⋯!グァァァアア⋯⋯ッ!!!なまえ!!!貴様!!!」
「なまえ、テメー⋯。やれやれだぜ⋯。」
承太郎はため息をひとつ吐き、改めてDIOに向き直る。
「運が悪かったなDIO。テメーが、コイツを殺さなかったのが運の尽きだったようだ。」
スタープラチナがオラァ!と渾身の一撃を叩き込むと、DIOの体は裂けて、弾け飛んだ。DIOの断末魔とも言える、咆哮を響かせて。
「倒した⋯⋯。承太郎!」
動かなくなったのを確認して、承太郎を見る。
「テメー、邪魔しやがって⋯。今すぐ奴の足を⋯いや、泳げねえんだったな⋯。」
承太郎は海を指さしたのち、額に手を当ててやれやれだぜ⋯と項垂れた。
「いや、今なら行ける。大丈夫。」
承太郎の意図を察して、私は海に飛び込んだ。
「なまえ!」
承太郎は心配そうに私を呼ぶが、本当に大丈夫なのだ。空間を掴める今、水を掴むのなんて容易い。息を止めさえすればいいのだ。
あった。DIOの足。私は足を2本抱えて、水面へと戻った。そのまま宙を歩き、地面へ着地した。
拾ってきた足は念のため、体とは離れた場所へ置く。
「無茶しやがって⋯。花京院が聞いたら、アイツ相当怒るぜ。」
「えっ嘘!典明には内緒にして!ねぇ、承太郎!」
思わず承太郎の服を掴み体重をかけると「ウッ⋯。」と承太郎がよろめいた。しまった。DIOとの戦いで怪我をしてないわけがなかった。慌てて手を離すと、やれやれだぜ⋯といつものセリフ。
よかった⋯これで、いつもの日常に戻れる⋯。
「承太郎、お疲れ様。SPW財団の車まで、連れてくよ。」
断られるかと思って軽く聞いたのだが、「あぁ、頼む。」と言われて悲鳴を上げそうになった。
承太郎は、典明やポルナレフとは比べ物にならないくらい、重いのだ。それに大きい。
しかし、いつもだったら絶対に断るであろう提案を受け入れたのだ。それほど、体が痛むのだろうと思うと、やっぱり自分で歩け、なんて言えないだろう。
覚悟を決めて、私は承太郎を肩に担いだ。
「なまえ!?」
「典明!」
松葉杖をついた、学ランではないワイシャツ姿の典明が、SPW財団の車のそばで私を出迎えてくれた。
「君⋯本当に強くなったね⋯。」
私の肩の承太郎を見て、典明は唖然としている。
私は承太郎を降ろし、少し休憩しようとしゃがみ込んだ。
「典明、怪我の具合はどう?」
隣に立つ典明に聞くと「やっぱり、足が折れてたよ。それから肋骨が何本か。」と予想通りの答えが返ってきた。
「生きてて、よかった⋯。」
DIOは典明を殺そうとしていた。最後まで。それなのに生きている。嬉しい。
「なまえ、キスがしたい。立って。」
足を負傷してしゃがめないのだろう。典明の嬉しいお願いに、私は素直に立ち上がって、彼を見上げた。
「なまえ。生きて帰ってきてくれて、ありがとう。」
典明の瞳は真っ直ぐ、私を見つめている。私も、彼の目を真っ直ぐ見つめ返した。
「典明も。生きててくれて、ありがとう。」
その言葉を合図に、私達は口付けを交わした。
「オイ、車を出す。DIOの体とジジイを回収に行くから満員だ。テメーらは、向こうにある車に乗りな。」
承太郎はそれだけ言ってドアを閉めた。直後、車は本当に、私達を置いて走り去ってしまった。
あまりに突然の出来事に、2人、顔を見合せて笑いだした。
「はは!置いてかれちゃったな。」
「本当に置いてくなんて⋯ふふ。」
一頻り笑ったあと、近くのSPW財団の車を目指して、2人で歩き出した。
他愛ない会話を、2人で楽しみながら。