生存IF
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「無茶をするなよ。」
典明の念を押すような言葉を背に受け、私はSPW財団の車を飛び出した。背中に痛み止めの薬を塗ってもらって、少しはマシになった。
さぁ、ここからどうするか⋯。
騒ぎの方向はどちらだろうかと、高台から辺りを見回すと、空中を移動する2つの影が見えて、どう見てもDIOと承太郎が戦っているのだろうと予測できた。
互角にやり合っているという事は、ジョセフさんは無事、時計の針のヒントを理解し、それを承太郎へ教えたのだろう。
私が行って何ができるのかは分からないが、とりあえず向かおうと、私は大きく跳躍した。
というか承太郎、いつの間に空中を移動できるようになったのだろうか、とひとつの疑問が浮かんだが、それは私も一緒だったので考えるのをやめた。
とりあえず、承太郎と合流しなくては!
「なまえ!」
下から私を呼ぶ声に視線をさ迷わせると、ポルナレフの姿が目に入って慌てて引き返した。
「ポルナレフ!無事だったのね!」
久しぶりのポルナレフとの再会に、私は安堵した。
また足を負傷しているようだが、生きている。
「花京院とジョースターさんはどうした。」
私が1人でいることを不思議に思ったのだろう。ポルナレフは眉間に皺を寄せている。
「大丈夫。ジョセフさんとは途中で分かれてしまったけど、典明は負傷して、今治療中。ポルナレフも、治療してもらった方がいいと思うけど⋯。」
思わず彼の足を見る。つま先が、なくなっているのか。さすがにこの怪我は、見ているだけで痛々しい。
「いや、歩けるから大丈夫だ。後ででいい。」
歩けるか、歩けないか。ポルナレフも典明も、基準はそこなのか。本人が大丈夫だと言うのなら、信じるしかないか。
「それで、ポルナレフは今、何を?」
聞いた話によると、ジョセフさんと典明。承太郎とポルナレフ。二手に分かれて行動していたはずだが。
「承太郎が、ここで待機してろってよ。ここに誘導してくるみたいだぜ。」
なるほど。確かにポルナレフは、素早く動けない。まして今、足を負傷しているから尚更だ。
「ふむ⋯分かった。私もここにいよう。」
空を見ると、段々とだが2人が近くまで来ているのが分かる。こちらから向かわなくともここに来るのなら、ここで待った方が早いだろう。
私はポルナレフと、DIOがこの広場に姿を現すのを、静かに待つことにした。
来た。DIOだ。空から承太郎が降ってきたと思ったら、その後、DIOも地面に降りてきた。
さぁ、どう動くのが効果的か⋯。
DIOの動きに注視しながら、私はその時が来るのを待ち続けた。
しばらく待ち続けていると、ポルナレフが先に飛び出して行ってしまった。DIOに奇襲を仕掛けるが、失敗し、壁に打ち付けられて気を失っている。
しかし今の攻撃⋯チャリオッツの剣で脳組織を掻き回して破壊できていれば、奴にとっては痛い攻撃になっていたようだ。なるほど⋯。
私はひっそりと、承太郎の後ろの建物へと回り込んだ。そして地面の中へクイーンを隠しながら、承太郎へ話しかける。
「承太郎。脳を破壊しよう。私も手助けする。」
「!なまえ!テメー、生きてたのか。今どこに。」
「すぐ後ろの建物に。タイミングが来たら合図して。」
ここでDIOは、承太郎の呼吸音、心臓の鼓動音を確認し始めたので、私も黙った。
私の鼓動音が邪魔になるかもしれないと、近くの空間を掴んで存在を隠した。
もうすぐだ。もうすぐ、近づいて来るはず!
「今だ!飛び出せ!」
承太郎の合図に、私は壁をすり抜けて外へ飛び出した。掴むのは、DIOの脳だ!
「何ィィイ!!?」
DIOは、スタープラチナによって掴まれている標識を見て、その後、こちらを見た。
もう、私のこの手は、奴の頭に触れている。
「なまえ⋯!ザ・ワールド!」
掴んだ!気持ち悪いが、そのまま外へ引っ張り出して地面に投げ捨てた。
その直後、時が止まっていたようで、気づいたらDIOは遠くに吹き飛んでいた。
思った通り、DIOは脳にダメージを受けて、立ち上がれなくなっているようだ。
「ポルナレフ!」
DIOは承太郎に任せて、私はポルナレフへ駆け寄る。
結構吹き飛ばされていた。きっとどこかしらの骨は折れているだろう。私はポルナレフを抱き抱えて、承太郎を見た。
「承太郎、サポートならできる。すぐ戻るから。」
簡潔に伝えたい事だけ伝え、私はまた、大きく跳躍した。
イギーの時といい、典明の時といい、私は救急車かなにかか。と思ったが、2人の戦いは、とてもじゃないがついていけない。せいぜい、さっきのように手助けができるだけだ。典明も言っていたが、邪魔になるのだ。それならば、下手に手を出さない方がいいだろう。こうやって、負傷した人を運ぶのだって大事な役割なのだ。と、自分に言い聞かせた。