5部 DIOの館
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「なまえ!離れろ!」
後ろを着いてきていたDIOの姿が突然消えたかと思うと、突然背後に回り込まれた。マズイ!と思ったのも束の間、私はジョセフさんに遥か遠くへと投げ飛ばされた。
「ジョセフ、さん…!!」
みるみる離れていくジョセフさんを見ると、彼の目は、承太郎と合流しろ、と言っている。
見えるかは分からないが、私は力強く頷き、受け身の体制を整えた。この勢いだ、相当痛いだろう。
予想通り、ドッ!ドンッ!ドゴォォン!と、数度跳ねて地面にぶつかった。
ズザァァアア!と地面を滑り、やがて止まった体は、少なからず私の動きを鈍らせた。足から着地できれば良かったのだが、勢いに負けてしまってできなかったのだ。
擦りむいて血塗れになった右半身に、治癒の呼吸を集中させて立ち上がると、先程の轟音を聞いて、承太郎とポルナレフが角を曲がってくる所に出くわした。
「なまえ!!」
2人が驚いて、私に駆け寄ってくるのを見て、安心して涙が出そうになったが…それを隠すように、2人を纏めて抱きしめた。
「ジョースターさんと花京院はどこだ!」
というポルナレフの声に、状況の説明をしなければと体を離したが、承太郎は、典明の魂を見て察してしまったようだ。
「ジョセフさんは、あっちでDIOと戦闘中。典明は……。」
私が言葉を詰まらせたのを見て、2人とも黙った。さすがのポルナレフにも、伝わったようでよかった…口にするにはあまりにも、……辛い。
「この、彼の魂に関しては、今は説明してる暇はないの。2人とも。典明が、DIOのスタンド能力の謎を解いたの。」
ジョセフさんへ説明した時と同じように、2人にも説明した。もちろん、最後の言葉も忘れずに…。
しばし、沈黙が流れる。ポルナレフは、堪えきれずに涙を零した。
ポン、と頭に感じた重みに顔を上げると、何かを決意したような、承太郎の顔があった。何も言わないが、絶対にDIOを倒してやると言っている気がして、「うん。」と返事を返した。
「テメーは、ポルナレフと行け。」
また、二手に別れると言うので承太郎について行こうとすると、承太郎にそう指示された。
確かに、承太郎はこれから、DIOの前に体を晒す。
そこへ私が行っても、何もできないのかもしれない。ましてや、満身創痍のこの体で。逐一、波紋で治療はしているが、そもそもこれは、劇的に回復するような代物ではない。大人しく、承太郎の指示に従おう。
「気をつけて、承太郎。」そう言って一度抱きしめると、彼は初めて、優しく抱きしめ返してくれた。それはまるで典明のようで、私は涙を誤魔化すように、スッと体を離して背を向けて歩き出す。
先程決めた、DIOを誘き寄せる地点へと。
「承太郎!!」
無数のナイフが刺さった承太郎が、空から降ってくる。ただでさえナイフが刺さっているのだ。あのスピードで地面に叩きつけられれば、いくら承太郎でも、死んでしまう…!!
「なまえ!」
ポルナレフの私を呼ぶ声に、私の体が既に飛び出している事に気がついた。もう、体を晒してしまった。仕方がない。そのまま、私は空間に足をかけて数歩登り、宙の上で、落ちてくる承太郎の体を待った。
「なまえ!!」
上空から、DIOが私を呼んだと同時に、私の腕に承太郎が触れた。このまま空中で耐えようと踏ん張ったが、腕や脚がミシ、と軋みそうな予感に、足のスタンド能力を解除した。
ドォォオオン!
「ウッ……!ッグ…!!」
足から着地できたはずだが、衝撃を吸収しきれずに最終的に承太郎の下敷きになった。典明を受け止めた時に、少々無茶をしたかもしれない…と思い当たったが、勝手に体が動いてしまったのだ。
「なまえ。動くな。死んだふりをしろ。」
上に乗っている承太郎が、スタープラチナ越しに私に指示する。私も、クイーン越しに会話を始めた。
「ごめん、承太郎…体が、勝手に……。」
怒られるのを覚悟して先に謝罪をすると、「ハァ、だろうな。」と諦めたような声が返ってきた。
「なまえ。死んだのか?かなり頑丈な体だと思ったが…花京院の時に無理をしたな…。」
花京院、というDIOの声に、しまった、と思い薄らと目を開けた。DIOにも、典明の魂が見えるのでは、と心配したのだが、心配とは裏腹に、彼の姿は見えなくなっていた。彼を掴んでいたスタンドの手は、未だ握りこまれている。離してはいないはずなのだが…とりあえず、これで万が一にもDIOに見られる心配はないのだと確認し、目を閉じた。
「絶対に、生きているとバレるなよ。」
DIOが攻撃しようと近づいてきたら、2人でDIOを叩くと言う事だろう。私は再び、心を無にしようと、静かに呼吸を循環させた。
DIOは意外にもすぐにトドメは刺さず、切り取った標識を使って首を切断すると言った。あれを使われては、距離が遠すぎる。
どうする、どうしようかと考えていると、DIOはお構いなしに斬りかかってきた。思わず体が動きそうになるが、承太郎は動くな!と再度念を押した。
薄らと目を開けると、ポルナレフが飛び出している姿が目に映った。ナイスタイミングだ。チャリオッツの剣先がDIOを貫く。が、次の瞬間には移動していた。時間を止めたのだ。クソッ!ポルナレフはそのまま吹き飛ばされていく。
このままだと、ポルナレフがやられてしまう…。これ以上、誰も死なせたくない…!
承太郎の手が思わずピク、と動いたのをDIOは見逃さず、ポルナレフへ向いていた意識をこちらへと戻した。ポルナレフは既に気を失っていて動けない。優先すべきは、こちらになったのだ。
しかし、ここからどうする…承太郎…。
「生きているな…。それとも、息を吹き返したか…。」
DIOはその場から動かず、こちらを注意深く観察している。そこへ一般人2人が拳銃を持って近づいてきて、「危ない!」と思った時には遅かった。弾は承太郎の脇腹に当たったように見えたが、スタープラチナで掴み取ったらしい。この状況でも、そんな事ができるなんて…やっぱり、承太郎はすごい。