眠り姫




伏黒は本を片手に廊下にいた釘崎に声をかけた。

「釘崎、夢見なかったか？部屋から返事がなかった」

「ん？今日オフだから虎杖と出かけたんじゃない？」

あ、そうかと恵は本をぷらぷらと手に持っている。

「それ返すの？」

「ああ、これ返して下巻借りようと思って」

「部屋に置いておけば？」

「さすがに勝手に部屋に上がるのは…」

私置いてきてあげるよ、と野薔薇は本を手に取り夢の部屋へと向かうので恵も後を追う。

野薔薇が夢の部屋を開けると、夢のベッドで悠仁が夢を腕枕をしてぴったりとくっつき寝ていた。

野薔薇と恵はその光景を目にして野薔薇がさっとドアを閉めた。

見間違え？虎杖が夢のベッドで寝てた？今服着てた？二人だよね？見間違い？
と二人が顔を見合わせて野薔薇がもう一度ドアをそっと開ける。

今度は悠仁が夢を包み込むようにして熟睡している。布団をめくって寝ている悠仁が上下スエットを着ていているのが見え、野薔薇はずかずか部屋に入っていく。

「おらっ！お前ら一緒に寝てるなら部屋鍵かけとけ！」

「うーん、夢まだ…眠い…」

寝ぼけた悠仁がゴロゴロと隣の夢にくっつくと、ふわふわのパジャマの夢が眠い目をこすり、目をあけた。

「ぅんー、おはよ野薔薇ちゃん………野薔薇ちゃん！？」

「夢…どした……」

大あくびをして悠仁が目を覚ますと目の前に野薔薇がいた。

「あっ」

「鍵っ！かけろ！」

本で悠仁の頭を叩くと野薔薇が出てき、廊下で待っていた恵があきれて一言漏らした。

「あいつら添い寝なんてしてんのか」

「取り込み中じゃなかったのがせめてもの救いだわ」

「やめてくれ……想像しそうになった」





眠り姫　ー　END