エタバンをとめないで



 漆黒のヴィランズでリーンと出会ってから六八二日、二十二ヶ月と十二日が経ちました。
 そして希望の園エデン再生編実装から今日で三四一日、十一ヶ月と六日経ちました。
 クリア直後の「リーンが独りぼっちにならなくてよかった」「もうこれ俺が二人の間に入る隙間がないじゃん」「百合の間に挟まる男になりたくない」「今の状態がリーンにとって一番の幸せなんだから崩したくない」「グッバイ君の運命の人は僕じゃない」「ミトロンと酒飲んで傷の舐め合いしたい」という失恋に99.9%納得してしまった自分と、「俺だって…俺だってリーンの傍にいられるけど!?」という残りのみっともない未練を引きずったまま暁月の終焉を迎えることになり、いやこの感情はどうにか禊をしないとフィナーレも迎えられないだろう、と思い立って気付いたら自分の同人人生で一番分厚い本が出来上がりました。

 自己と夢主を完全分離させないと創作に落とし込めないタイプの人間なのですが、あまりにも自分の中のリーンへの感情をきゃめくんに託しすぎてしまっていて割り切るまでに時間がかかってしまい、まさか発売延期した暁月リリースの三週間前までかかるとは思いませんでした。延期してなかったら今週金曜アーリーアクセスだった。なんてこった。
 タイトルの「エタバンをとめないで」は某マイクの曲じゃなくて、COMPLEXの名曲「恋をとめないで」からのインスピレーションです。昔の曲なので歌詞を知ってる人がいないと思うんですが、誰かに恋の邪魔をされる歌じゃなくて一歩踏み出せない女の子に「恋をしようよ」って手を差し伸べる歌なんです。だからこの本の中で誰も二人の恋やエタバンをとめようとする人はいなくて、全員で「もうさっさと恋をしろよ」ってきゃめくんの尻を叩いてるわけです。
 「お嬢さんのつもりが臆病になってるだけ」って歌詞があるんですけど「リーンのことをお嬢さんだと思って守っていたつもりが自分(きゃめくん)が臆病になってるだけ」って変換できて気持ちいい~~これだからイメソン芸人やめらんねぇ~~ってなります。本家の曲を聞いたことがない人がいたらぜひ聞いて下さい。もしくは歌詞を検索してきゃめくんがヘタレ極めてる歌だと思いながら歌詞を読んで下さい。

 そして解禁したきゃめくんの本名。スクショとか配信とかでうっかり何回か映り込んでいたんですが、「カムイル」くんって名前なんです。リーン以外が呼ぶと泣いちゃうからスルーしてあげて下さい。アルファベットで表記すると「Cam-ell」で、どちらかというと「カムエル」だろってところなのですが、そこはおきゃめの名前ありきでスタートしたこととアジムステップ訛りということで目を瞑ることにしました。
 わりと早い段階から本名はぼんやり考えていて、でも設定が設定なので(タッカー君の真名しかり)一生表に出さずに終わる設定なんだろうな~って思っていたんですが、「好き」という言葉を使わずに想いを伝える手段としてこの本名ネタが使えると気付いてしまい、そしたらもう出しちゃえばいいやと思ってふっきれた次第です。もうここ以外では使いません。今時点では他にきゃめりんちゃん両想い時空を書ける気がしないので。
 本名ネタのついでに家出したときの話や例の悲しい事件のことも出しました。「リーンに話した」という説明だけで済ませちゃおうと思ったんですが、どうせ14できちんとした作品出すのも最初で最後だろうしやっちまえ、と放り込んだらページ数がとんでもないことになった気がします。以前から書き溜めていたものを突っ込んだだけなので作業時間は食っていないのですが「なんでこの文字数でまだ巡礼始まってないの?」と自分で首を傾げることになりました。

 あとは自機への愛ということで、自分の惨めな失恋にいつまでもきゃめくんを巻き込むのも可哀想になってきたのでちゃんと幸せにしてあげたくて。あくまでifだけど。暁月の発売前妄想ってことは正史シナリオじゃないから今回の話もおきゃめユニバースにおいて正史扱いにはしません。これを正史の基盤にできるくらいのリーンとの感動の再会そしてアリゼーちゃんくらいの脈ありフラグとかあったら考えます。

 ともあれ、この「蒲団 著:田山きゃめ」のような文章を最後まで読んでいただけた方がいたなら、本当にありがとうございました。基本的に地産地消のような夢作品ばかり書いておりますので、自分自身以外の読者はそれだけで奇跡のような存在です。

 今回の文章を書くにあたって取材と称した偽装エタバンに巻き込まれてくれたやくにる、本当にありがとう。貴方には成果物としてこの本を押し付けるのでカッターの下敷きとかにして下さい。


カナ
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