出会えて良かった
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土曜日の18時。私は毎週この時間に彼と会う約束をしている。平日は忙しいみたいだし、私も日常があるから、会えるのはこの時間だけ。付き合ってすぐに決めた約束だった。
仕事を終えて、時計を確認すれば、約束の時間までちょうど1時間を切ったところだった。今から向かえば余裕で間に合いそう。私は荷物をまとめると、意気揚々と職場を後にした。
電車に揺られて30分。電車を降りて、向かったのは神室町。最近はやたらと風俗店が増えて、ネオンがギラギラしてて、お金を持った若者が往来するようになっていた。私とはあまりにも無縁な街。
一生来ることなんてないんだろうな、なんてずっと思っていたけれど、今の彼は、主にこの町で生きている。
劇場前広場に隣接するボウリング屋の上の階。そこで彼、立華鉄は、不動産屋を営んでいた。
結局、約束の時間より少し早めに、劇場前広場にたどり着いてしまった。彼も待ち合わせ場所には時間よりも早く着く人って知ってたけど、どうやら彼はまだ着いてはいないみたい。
劇場前広場に置かれたベンチに腰をかけて、ほぅ…と息を吐く。日差しが強い。最近は一気に暑くなってきた。持ってきていたハンカチで、首元と額に当てる。日焼け止めを塗ってきたけど、それでも心配になってしまうような暑さ。
「ゆうさん」
その時、聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「待ちましたか?」
なんてそうこうしていたら頭の上から優しい声が聞こえた
「立華さん」
私が顔を上げて名前を呼んだら、彼の頬が緩んだのが分かった。可愛い
「全然待ってないです。今来たところですよ」
立ち上がって、スカートが捲れていないか、両手で確認し、片手は鞄。もう片方の手で立華さんの左手を握る。
「今日はどこに行きましょうか。行きたいところはありますか?」
なんて聞かれたのだけれど、正直神室町は立華さんと行きつくしてしまったからなぁ。うんうんと唸って考えていたら、ふんわりと優しい香りが私の鼻腔をくすぐった。
「あっ」
この香りはもしかして。
劇場前広場の、ちょうど立華さんの会社の真正面にあたる通りに隣接した開けた広場に、不定期でたこ焼きの屋台を見かけることがあった。
香りのを追って視線を移せば、大正解。そこにはこじんまりとした小さなたこ焼きの屋台があった。
「……たこ焼きですか?」
私の視線に気づいたのか、立華さんが首を傾け、耳打ちをするように訪ねてくる。
「はい! よかったら一緒に食べませんか?」
私の問いかけに、彼の目尻が優しく緩む。
「いいですね。最近めっきり食べていなかったので、久しぶりに頂くとしましょうか」
「やったー!」
ありがとうございます! とお礼をすると、あっと立華さんは驚いた表情で立ち止まる。思わず私が首をかしげると、
「すみません、オフィスに財布を忘れてきたかもしれません。取りに行って来ますので、ちょっとお待ちいただいてもよろしいでしょうか……?」
なんて。眉を下げて言うもんだから、思わず笑っちゃった。
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土曜日の18時。私は毎週この時間に彼と会う約束をしている。平日は忙しいみたいだし、私も日常があるから、会えるのはこの時間だけ。付き合ってすぐに決めた約束だった。
仕事を終えて、時計を確認すれば、約束の時間までちょうど1時間を切ったところだった。今から向かえば余裕で間に合いそう。私は荷物をまとめると、意気揚々と職場を後にした。
電車に揺られて30分。電車を降りて、向かったのは神室町。最近はやたらと風俗店が増えて、ネオンがギラギラしてて、お金を持った若者が往来するようになっていた。私とはあまりにも無縁な街。
一生来ることなんてないんだろうな、なんてずっと思っていたけれど、今の彼は、主にこの町で生きている。
劇場前広場に隣接するボウリング屋の上の階。そこで彼、立華鉄は、不動産屋を営んでいた。
結局、約束の時間より少し早めに、劇場前広場にたどり着いてしまった。彼も待ち合わせ場所には時間よりも早く着く人って知ってたけど、どうやら彼はまだ着いてはいないみたい。
劇場前広場に置かれたベンチに腰をかけて、ほぅ…と息を吐く。日差しが強い。最近は一気に暑くなってきた。持ってきていたハンカチで、首元と額に当てる。日焼け止めを塗ってきたけど、それでも心配になってしまうような暑さ。
「ゆうさん」
その時、聞き覚えのある声が私を呼んだ。
「待ちましたか?」
なんてそうこうしていたら頭の上から優しい声が聞こえた
「立華さん」
私が顔を上げて名前を呼んだら、彼の頬が緩んだのが分かった。可愛い
「全然待ってないです。今来たところですよ」
立ち上がって、スカートが捲れていないか、両手で確認し、片手は鞄。もう片方の手で立華さんの左手を握る。
「今日はどこに行きましょうか。行きたいところはありますか?」
なんて聞かれたのだけれど、正直神室町は立華さんと行きつくしてしまったからなぁ。うんうんと唸って考えていたら、ふんわりと優しい香りが私の鼻腔をくすぐった。
「あっ」
この香りはもしかして。
劇場前広場の、ちょうど立華さんの会社の真正面にあたる通りに隣接した開けた広場に、不定期でたこ焼きの屋台を見かけることがあった。
香りのを追って視線を移せば、大正解。そこにはこじんまりとした小さなたこ焼きの屋台があった。
「……たこ焼きですか?」
私の視線に気づいたのか、立華さんが首を傾け、耳打ちをするように訪ねてくる。
「はい! よかったら一緒に食べませんか?」
私の問いかけに、彼の目尻が優しく緩む。
「いいですね。最近めっきり食べていなかったので、久しぶりに頂くとしましょうか」
「やったー!」
ありがとうございます! とお礼をすると、あっと立華さんは驚いた表情で立ち止まる。思わず私が首をかしげると、
「すみません、オフィスに財布を忘れてきたかもしれません。取りに行って来ますので、ちょっとお待ちいただいてもよろしいでしょうか……?」
なんて。眉を下げて言うもんだから、思わず笑っちゃった。
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