5000hit リクエスト企画
夢小説設定
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(※若干ですが単行本未収録の内容を含んでおりますので、ネタバレNGという方はご注意を)
「なまえ…寝てんのか?」
畳の上に横たわるなまえに声をかける。
返事はなくて、近づいても聞こえてきたのは寝息だけ。
「つまんねえな…」
やることもないのでなまえの隣に寝転がった。
「起きろよ。起きて俺様のことかまえ」
聞こえるか聞こえないか。そのくらいの大きさの声で呟くと、なまえが小さく唸った。
かと思えば、ふっと笑って俺の名前を呼んだ。
「ぃ…のすけ…」
「起きたか?」
「んぅ…」
「…起きてねえのかよ」
寝言だとわかって、もっとつまらなくなる。
頬をつついても起きる気配がない。
何したら目覚ますんだ?
髪を撫でる。
指の間をすり抜けて落ちていく髪が、はらはらと顔にかかって擽ったいのか、なまえがまた唸った。
手を握る。
この、あったかくてちぃせえ手が、刀を握ることはもうないだろう。戦う理由もなくなったんだから。
抱きしめる。
潰してしまわないように、壊してしまわないように、そっと力を込める。
何をしても起きない。
そうしているうちになんだか俺まで眠くなってきて、気づいたら夢の中だった。
なまえがいて、権八郎がいて、凡逸がいて。しのぶやギョロギョロ目ん玉、他のやつらも。それと、多分、母ちゃんも。
みんな、手を伸ばせば届くところにいた。
夢だってわかってるのに、ほわほわするから、醒めてほしくない。
だけど、夢だってわかってるから、お別れってやつをしなくちゃならねえんだ。
目を開けたら、なまえが心配そうな顔で俺のことを見つめていた。
「…ん」
「伊之助、起きた?大丈夫?」
大丈夫。
その言葉をかけられた意味がわからなくて、思わず首を傾げた。
「泣いてるから…」
「…ぁ……」
なまえの言う通り、目のまわりを触ったら指が濡れた。舐めるときっとしょっぱいやつだ。
「嫌な夢でも見たの?」
「…わからねえ」
「そっか…嫌な夢だったら思い出さないほうがいいかもしれないもんね」
嫌な夢ではなかったと思う。だけど、死んじまったやつは土に埋めたって何したって戻って来ないってわかってるから、夢の中で会えたことが余計に辛い。
それに、なまえもいつか、夢の中でしか会えなくなっちまうかもしれないって思うと怖くなる。
「私はね、凄く幸せな夢を見たの」
「幸せな夢?」
「伊之助がね、私のために花を摘んでくれて、髪に挿してくれたんだ。私も伊之助にお返ししたら、その花に蝶々がとまったの。しのぶさんやカナヲちゃんの髪飾りみたいで可愛かった」
夢じゃなくても、花なんていつでも摘んでやるし頭に飾ってやるのに。なまえが嬉しそうに言うもんだから、自分がなんで泣いてたかなんてどうでもよくなる。
「それに、起きたら伊之助にぎゅうって抱きしめられてたから、嬉しかった…ちょっとびっくりしたけど」
照れくさそうになまえが笑う。
そうだ。ずっと笑っててほしいんだ。
傍で、笑って、一緒に飯食って、一緒に寝て、死ぬまで一緒がいい。
なまえとなら、俺もなまえも生きてるから、心臓がちゃんと動いているから、全部叶えられる。
「なまえ、出かけるぞ」
「え、急に?どこに行くの?」
「近くの川。花咲いてただろ。摘んで頭に飾ってやる」
「ホント?正夢だ!」
「ほら、行くぞ」
そう言って手を差し出すと、「うん」と元気よく返事をしたなまえが、俺よりもひとまわり小さな手を重ねてきた。その手を強く握り返して走り出した。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
リクエスト内容、「お相手伊之助で甘」「原作最終回のあとの話」とのことでした。
「夢主も鬼殺隊員」とのことだったので、鬼のいない世界で夢主が「刀を握ることはもうない」と伊之助は思っています。
原作最終回のあとって感じがそこまで出てないですし、ものすごく短いお話しになってしまいました…申し訳ありません…。
原作204話後の大正時代の伊之助たちが何をしてるか、いろいろ考えてみたんですけど、穏やかに余生を過ごしてくれたらなと思うばかりです。
伊之助は炭治郎みたいに持ち家がないので、どこかで家を借りるとかして夢主と暮らしてたりするのかなあ…それとも炭治郎の家でかまぼこみんなで仲良く暮らしてるか…こればかりは、本当にいろんな可能性が考えられますね。
リクエスト、ありがとうございました。
「なまえ…寝てんのか?」
畳の上に横たわるなまえに声をかける。
返事はなくて、近づいても聞こえてきたのは寝息だけ。
「つまんねえな…」
やることもないのでなまえの隣に寝転がった。
「起きろよ。起きて俺様のことかまえ」
聞こえるか聞こえないか。そのくらいの大きさの声で呟くと、なまえが小さく唸った。
かと思えば、ふっと笑って俺の名前を呼んだ。
「ぃ…のすけ…」
「起きたか?」
「んぅ…」
「…起きてねえのかよ」
寝言だとわかって、もっとつまらなくなる。
頬をつついても起きる気配がない。
何したら目覚ますんだ?
髪を撫でる。
指の間をすり抜けて落ちていく髪が、はらはらと顔にかかって擽ったいのか、なまえがまた唸った。
手を握る。
この、あったかくてちぃせえ手が、刀を握ることはもうないだろう。戦う理由もなくなったんだから。
抱きしめる。
潰してしまわないように、壊してしまわないように、そっと力を込める。
何をしても起きない。
そうしているうちになんだか俺まで眠くなってきて、気づいたら夢の中だった。
なまえがいて、権八郎がいて、凡逸がいて。しのぶやギョロギョロ目ん玉、他のやつらも。それと、多分、母ちゃんも。
みんな、手を伸ばせば届くところにいた。
夢だってわかってるのに、ほわほわするから、醒めてほしくない。
だけど、夢だってわかってるから、お別れってやつをしなくちゃならねえんだ。
目を開けたら、なまえが心配そうな顔で俺のことを見つめていた。
「…ん」
「伊之助、起きた?大丈夫?」
大丈夫。
その言葉をかけられた意味がわからなくて、思わず首を傾げた。
「泣いてるから…」
「…ぁ……」
なまえの言う通り、目のまわりを触ったら指が濡れた。舐めるときっとしょっぱいやつだ。
「嫌な夢でも見たの?」
「…わからねえ」
「そっか…嫌な夢だったら思い出さないほうがいいかもしれないもんね」
嫌な夢ではなかったと思う。だけど、死んじまったやつは土に埋めたって何したって戻って来ないってわかってるから、夢の中で会えたことが余計に辛い。
それに、なまえもいつか、夢の中でしか会えなくなっちまうかもしれないって思うと怖くなる。
「私はね、凄く幸せな夢を見たの」
「幸せな夢?」
「伊之助がね、私のために花を摘んでくれて、髪に挿してくれたんだ。私も伊之助にお返ししたら、その花に蝶々がとまったの。しのぶさんやカナヲちゃんの髪飾りみたいで可愛かった」
夢じゃなくても、花なんていつでも摘んでやるし頭に飾ってやるのに。なまえが嬉しそうに言うもんだから、自分がなんで泣いてたかなんてどうでもよくなる。
「それに、起きたら伊之助にぎゅうって抱きしめられてたから、嬉しかった…ちょっとびっくりしたけど」
照れくさそうになまえが笑う。
そうだ。ずっと笑っててほしいんだ。
傍で、笑って、一緒に飯食って、一緒に寝て、死ぬまで一緒がいい。
なまえとなら、俺もなまえも生きてるから、心臓がちゃんと動いているから、全部叶えられる。
「なまえ、出かけるぞ」
「え、急に?どこに行くの?」
「近くの川。花咲いてただろ。摘んで頭に飾ってやる」
「ホント?正夢だ!」
「ほら、行くぞ」
そう言って手を差し出すと、「うん」と元気よく返事をしたなまえが、俺よりもひとまわり小さな手を重ねてきた。その手を強く握り返して走り出した。
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リクエスト内容、「お相手伊之助で甘」「原作最終回のあとの話」とのことでした。
「夢主も鬼殺隊員」とのことだったので、鬼のいない世界で夢主が「刀を握ることはもうない」と伊之助は思っています。
原作最終回のあとって感じがそこまで出てないですし、ものすごく短いお話しになってしまいました…申し訳ありません…。
原作204話後の大正時代の伊之助たちが何をしてるか、いろいろ考えてみたんですけど、穏やかに余生を過ごしてくれたらなと思うばかりです。
伊之助は炭治郎みたいに持ち家がないので、どこかで家を借りるとかして夢主と暮らしてたりするのかなあ…それとも炭治郎の家でかまぼこみんなで仲良く暮らしてるか…こればかりは、本当にいろんな可能性が考えられますね。
リクエスト、ありがとうございました。