triad
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どこか少し変わったお付き合いをはじめた3人。
付き合うと言っても、今まで通り3人で学校生活を過ごすことに変わりはなく、何か恋人らしいことをしたかと問われれば、お昼休みになまえが炭治郎にせがまれてお弁当のおかずを口に運んだり、「眠い」と欠伸をする伊之助に膝枕をしてあげたりするくらいだった。
夏休みを目前にしたある日の放課後。3人は、彼らの他に誰もいない教室で机を囲み、話し合いをしていた。
事の発端は炭治郎の一言だった。
「俺たち付き合いはじめたのに恋人らしいことってしてないよな?」
恋人らしいこと、とは。
なまえと伊之助の頭に疑問符が浮かんだ。
恋人らしい以前に、そもそも3人で付き合っている自分たちが、世間一般で言われる「恋人らしい」ことを果たしてできるのだろうかとなまえは思ったが、口には出さなかった。
「なんだよ、恋人らしいことって」
「うーん…そうだな、例えば……手を繋ぐ、とか?」
炭治郎の提案をうけて、試しになまえを真ん中にして手を繋いで並んでみた。
「なんか…これじゃあ私、親に手繋いでもらってる子どもみたいになってない?」
なまえは自分が置かれている状況と、両親に手を引かれて歩いていた幼い頃の自分の姿を重ね合わせた。
「俺と健太郎の間じゃ子どもできねえだろ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「そうだな…そうなるとなまえじゃなくて伊之助が真ん中のほうがいいのか?」
炭治郎が真面目な顔で答える。
「確かに…伊之助が1番子どもに近いかも」
炭治郎の言葉になまえが頷く。
「……ハア!?言っとくけど、この中で誕生日くるの俺様が1番早いんだからな!?」
「それとこれとは関係ないじゃん」
すっとぼけた顔でなまえが答えた。
「関係あるわ!!生まれた順で言ったら、俺は健太郎と同じ長男ってやつだぞ!!」
子どもと例えられたのが余程気に食わなかったのか、伊之助がぷんぷんと怒りはじめた。
「ま、まあ、伊之助が子どもっぽいかどうかは別として…3人で手を繋いで歩くのはやめておこう」
小さな子どもならまだしも、高校生の炭治郎たちが手を繋いで歩けば、おそらくすれ違う人々の目も彼らに向けられるだろう。人前で手を繋ぐことは諦めざるを得なかった。
「うん…そうだね」
「人の話聞けよ!!」
まだ尚怒っている伊之助を気にもせず、なまえは炭治郎の意見に同意するのだった。
手を繋ぐことを諦めた3人は恋人らしいことを他にも書き出してみた。
なまえも少女漫画で読んだことのあるシチュエーションを思い出しながら呟いていく。
デート。
膝枕。
ハグ。
添い寝。
一緒にお風呂。
『キス』と書いてノートにメモをとっていた炭治郎の手がとまった。
「炭治郎…?」
「その先は?キスの先はどうするんだ?」
「そ、その先って、えっと…というか、その…さ、先?」
「子供つくるアレか?」
「伊之助、間違ってはないけどなんというか…うーん…」
炭治郎が苦笑いする。
「じゃあなんて言えばいいんだよ」
「そうだなあ…なまえはなんて言えばいいと思う?」
「え!?と、というか、そもそも、その…ぇ…え、えっちって、さささ3人で、できるの…!?」
急に話を振られ顔を真っ赤にして訴えるなまえを見て炭治郎は、なまえは性行為のことを「えっち」と言うのかと、密かに思った。
「できるかどうかは俺もわからないけど…」
「ならやってみっか?」
「へっ!?そんな、き、近所のコンビニ行くみたいな感じで、言わないでよ!」
「んなこと言ったってやってみねえとできるかどうかわかんねえだろ」
「で、でで、でき、で、できなかったら、ど、どうするの!?」
「声でけえな…テンパりすぎてかみかみになってんぞ。できなかったらできるやり方を考えりゃあいいだろ」
伊之助となまえの2人がぎゃいぎゃいと言い合っているのを聞いていた炭治郎が口を開いた。
「なまえの家はおじさんもおばさんも共働きだから平日のお昼だったら家にいないよな?大丈夫か?」
「大丈夫って何が!?ぜ、全然、そんな、大丈夫じゃないけど!?それに平日のお昼って、わ、私たち学校、行って……あっ…」
「来週から夏休みだぞ」
「学校行く必要ねえな」
「う、嘘でしょ…」
勉強会を開く場所を決めるようなノリで話が淡々と進んでいくことになまえは頭を抱えた。
「なまえの家じゃ嫌か?」
困ったような顔で炭治郎が聞いてくる。
「え、い、嫌とか以前の、問題なんだけど…」
「俺の家だと弟たちがいるし、伊之助の家にはひささんがいるだろ?俺たちはまだ高校生だからホテルにも行けないし、学校でそういうことをするのは流石にまずいからな」
「うーん」と炭治郎が頭を悩ませる。
「炭治郎…な、なんで、そんな冷静なの?」
「だって大事なことだろ?」
「そ、そりゃ、大事は、大事だけど…」
「そうだろ?場所選びも大事だと思うんだ」
真剣な顔で見つめてくる炭治郎に、なまえは言い返すことを諦めた。
「……せ、せめて日にちくらいは、その、いつとか…そのくらいは決めとこうよ…こ、心の準備が…」
「なら健太郎が言うようになまえん家でいいのか?」
「だって、他に、その…で、できそうなところ、ないみたいだし…」
「じゃあこの日はどうだ?」と炭治郎がスマホのカレンダーを開き、希望の日付を指さした。
「その日なら…っていうか夏休みだし、何もすることねえから俺はいつでも大丈夫だ」
「そんなこと言いながら伊之助はいつも課題溜め込んでやってないじゃないか。することなんて沢山あるだろ?」
「宿題ならお前らが一緒にやってくれるからいいんだよ」
他人事のように言う伊之助に、炭治郎は「自分でやらなきゃ意味がないだろう」と注意したが、なまえはそれどころではなかった。
親にその日が本当に仕事なのかどうかを怪しまれずに聞かなければならないし、何より初めてのセックスを3人でするなんて一体どうしたらいいのか。キスだってまだしたことがないのに。順番がいろいろのおかしいのではないか。
なまえの頭の中は混乱を極めていた。
「というわけでなまえ、この日で大丈夫なのかおじさんとおばさんに確認してきてくれ」
「忘れずにちゃんと聞いてこいよ」
そう言ってのける炭治郎と伊之助に、なまえは消え入りそうな声で「わかった」と返事をした。
付き合うと言っても、今まで通り3人で学校生活を過ごすことに変わりはなく、何か恋人らしいことをしたかと問われれば、お昼休みになまえが炭治郎にせがまれてお弁当のおかずを口に運んだり、「眠い」と欠伸をする伊之助に膝枕をしてあげたりするくらいだった。
夏休みを目前にしたある日の放課後。3人は、彼らの他に誰もいない教室で机を囲み、話し合いをしていた。
事の発端は炭治郎の一言だった。
「俺たち付き合いはじめたのに恋人らしいことってしてないよな?」
恋人らしいこと、とは。
なまえと伊之助の頭に疑問符が浮かんだ。
恋人らしい以前に、そもそも3人で付き合っている自分たちが、世間一般で言われる「恋人らしい」ことを果たしてできるのだろうかとなまえは思ったが、口には出さなかった。
「なんだよ、恋人らしいことって」
「うーん…そうだな、例えば……手を繋ぐ、とか?」
炭治郎の提案をうけて、試しになまえを真ん中にして手を繋いで並んでみた。
「なんか…これじゃあ私、親に手繋いでもらってる子どもみたいになってない?」
なまえは自分が置かれている状況と、両親に手を引かれて歩いていた幼い頃の自分の姿を重ね合わせた。
「俺と健太郎の間じゃ子どもできねえだろ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「そうだな…そうなるとなまえじゃなくて伊之助が真ん中のほうがいいのか?」
炭治郎が真面目な顔で答える。
「確かに…伊之助が1番子どもに近いかも」
炭治郎の言葉になまえが頷く。
「……ハア!?言っとくけど、この中で誕生日くるの俺様が1番早いんだからな!?」
「それとこれとは関係ないじゃん」
すっとぼけた顔でなまえが答えた。
「関係あるわ!!生まれた順で言ったら、俺は健太郎と同じ長男ってやつだぞ!!」
子どもと例えられたのが余程気に食わなかったのか、伊之助がぷんぷんと怒りはじめた。
「ま、まあ、伊之助が子どもっぽいかどうかは別として…3人で手を繋いで歩くのはやめておこう」
小さな子どもならまだしも、高校生の炭治郎たちが手を繋いで歩けば、おそらくすれ違う人々の目も彼らに向けられるだろう。人前で手を繋ぐことは諦めざるを得なかった。
「うん…そうだね」
「人の話聞けよ!!」
まだ尚怒っている伊之助を気にもせず、なまえは炭治郎の意見に同意するのだった。
手を繋ぐことを諦めた3人は恋人らしいことを他にも書き出してみた。
なまえも少女漫画で読んだことのあるシチュエーションを思い出しながら呟いていく。
デート。
膝枕。
ハグ。
添い寝。
一緒にお風呂。
『キス』と書いてノートにメモをとっていた炭治郎の手がとまった。
「炭治郎…?」
「その先は?キスの先はどうするんだ?」
「そ、その先って、えっと…というか、その…さ、先?」
「子供つくるアレか?」
「伊之助、間違ってはないけどなんというか…うーん…」
炭治郎が苦笑いする。
「じゃあなんて言えばいいんだよ」
「そうだなあ…なまえはなんて言えばいいと思う?」
「え!?と、というか、そもそも、その…ぇ…え、えっちって、さささ3人で、できるの…!?」
急に話を振られ顔を真っ赤にして訴えるなまえを見て炭治郎は、なまえは性行為のことを「えっち」と言うのかと、密かに思った。
「できるかどうかは俺もわからないけど…」
「ならやってみっか?」
「へっ!?そんな、き、近所のコンビニ行くみたいな感じで、言わないでよ!」
「んなこと言ったってやってみねえとできるかどうかわかんねえだろ」
「で、でで、でき、で、できなかったら、ど、どうするの!?」
「声でけえな…テンパりすぎてかみかみになってんぞ。できなかったらできるやり方を考えりゃあいいだろ」
伊之助となまえの2人がぎゃいぎゃいと言い合っているのを聞いていた炭治郎が口を開いた。
「なまえの家はおじさんもおばさんも共働きだから平日のお昼だったら家にいないよな?大丈夫か?」
「大丈夫って何が!?ぜ、全然、そんな、大丈夫じゃないけど!?それに平日のお昼って、わ、私たち学校、行って……あっ…」
「来週から夏休みだぞ」
「学校行く必要ねえな」
「う、嘘でしょ…」
勉強会を開く場所を決めるようなノリで話が淡々と進んでいくことになまえは頭を抱えた。
「なまえの家じゃ嫌か?」
困ったような顔で炭治郎が聞いてくる。
「え、い、嫌とか以前の、問題なんだけど…」
「俺の家だと弟たちがいるし、伊之助の家にはひささんがいるだろ?俺たちはまだ高校生だからホテルにも行けないし、学校でそういうことをするのは流石にまずいからな」
「うーん」と炭治郎が頭を悩ませる。
「炭治郎…な、なんで、そんな冷静なの?」
「だって大事なことだろ?」
「そ、そりゃ、大事は、大事だけど…」
「そうだろ?場所選びも大事だと思うんだ」
真剣な顔で見つめてくる炭治郎に、なまえは言い返すことを諦めた。
「……せ、せめて日にちくらいは、その、いつとか…そのくらいは決めとこうよ…こ、心の準備が…」
「なら健太郎が言うようになまえん家でいいのか?」
「だって、他に、その…で、できそうなところ、ないみたいだし…」
「じゃあこの日はどうだ?」と炭治郎がスマホのカレンダーを開き、希望の日付を指さした。
「その日なら…っていうか夏休みだし、何もすることねえから俺はいつでも大丈夫だ」
「そんなこと言いながら伊之助はいつも課題溜め込んでやってないじゃないか。することなんて沢山あるだろ?」
「宿題ならお前らが一緒にやってくれるからいいんだよ」
他人事のように言う伊之助に、炭治郎は「自分でやらなきゃ意味がないだろう」と注意したが、なまえはそれどころではなかった。
親にその日が本当に仕事なのかどうかを怪しまれずに聞かなければならないし、何より初めてのセックスを3人でするなんて一体どうしたらいいのか。キスだってまだしたことがないのに。順番がいろいろのおかしいのではないか。
なまえの頭の中は混乱を極めていた。
「というわけでなまえ、この日で大丈夫なのかおじさんとおばさんに確認してきてくれ」
「忘れずにちゃんと聞いてこいよ」
そう言ってのける炭治郎と伊之助に、なまえは消え入りそうな声で「わかった」と返事をした。