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お慕い申し上げますってなんだってさ。
そんなこと俺に聞くなよ。
若いっていいですね。まあ俺たちひとつしか歳違わないけど。
青い春ってやつですかね。青春ですかね。
はあ…俺にもいつかそんな人が現れたらいいなあ。
だいたいアイツ、顔が良すぎるんだよ。
それに、強いし。
意外と的を得たこと言うし。
なんだかんだで良いやつだし。
って何考えてんだ、俺。
それにしても、なまえちゃんってどっかで聞いたことある名前だ。
誰だ?会ったことあるっけ?
えっと…
そういえばあの日…
蝶屋敷の一室に丸められた紙が散らかっていた。
拾い上げて開いてみる。
「なまえ…?」
他の紙も開いてみたけど、全部に“なまえ”って殴り書かれてる。
なまえって誰だ?同じ鬼殺隊の人か?
それにしても下手クソな字だな。
呪いでもかけるつもりかよ。
「何やってんだよ」
「うわぁ!?……はあ…なんだ伊之助か…ビックリした」
急に声かけるなよ。
心臓飛び出るかと思ったわ。
「何って…この部屋酷く散らかってるからさ」
「ああ…それ、俺だ。今しのぶに紙を貰いに行ってた」
「紙?厠の?…ほらもう、何でもかんでも食べようとするから」
「ア?違ぇよ、腹下してねえわ!…練習してたんだよ」
「練習って……字の練習をしてたのか?」
「そうだ」
「お前、読み書きできないって言ってなかったか?」
「なまえに教えてもらってんだ」
「なまえ?誰それ?」
「俺様の子分だ!子分の名前くらい書けるようにしとかねえとな!」
そう言うと伊之助は紙を広げて筆を持った。
俺も伊之助の隣に腰を下ろして、横目で紙を見る。
綺麗とは言えないその字には不思議なあたたかさがあった。
「なまえって子は俺たちと同じ鬼殺隊なのか?」
「いや、違ぇ。なまえは…なまえはなんなんだ?」
伊之助が頭にはてなを浮かべながら俺を見た。
質問で返すなよ。
俺がお前に聞いてるんですけど。
「会ったこともない人のことわかるわけないだろ?」
「…そうだな」
「そうだろ?」
これでわかってたら俺超能力者だよ。
「なまえがなんなのかよくわかんねえけど、ちゃんと書けるようになったら絶対に喜んでくれるから」
「ふーん…」
「早く書けるようになって見せてやりてえ」
なんだ?
この音。
「なまえが喜んでると、ほわほわって…変な感じになる」
「ほわほわ?」
「ああ。でも、ほわほわするときもあるけど、ここが…胸んとこが、ぎゅって握り潰されそうなときもある」
「それって…」
不思議だ。
伊之助から「好き」って音が聞こえてくる。
そうなのか?
「伊之助…お前、その子とのこと…」
「どうだ?さっきより上手く書けたか?」
「え?…ああ!まあ、さっきのよりはいいんじゃない!?」
好きなんだな。
でも、伊之助。
お前はまだそのことに気づいてないんだ。
「紋逸?どうかしたか?」
「いや、やっぱなんでもない…俺そろそろ戻るわ」
「おう」
「てか、あんま散らかすなよな。あとでちゃんと片付けとけよ」
「んなことわかってるよ」
お前の好きな子が喜んでくれたら、俺もほんの少しだけ、本当に少しだけ…。
いや、凄く嬉しいからさ。
よかったなって思えるからさ。
「頑張れよ」
伊之助に聞こえないくらい小さな声でそう呟いて、俺は部屋を出た。
「そうか…」
なまえちゃん。
あのとき伊之助が練習していた名前の子だ。
ていうか、お慕い申し上げますって。
「両思いじゃんかよ」
そんなこと俺に聞くなよ。
若いっていいですね。まあ俺たちひとつしか歳違わないけど。
青い春ってやつですかね。青春ですかね。
はあ…俺にもいつかそんな人が現れたらいいなあ。
だいたいアイツ、顔が良すぎるんだよ。
それに、強いし。
意外と的を得たこと言うし。
なんだかんだで良いやつだし。
って何考えてんだ、俺。
それにしても、なまえちゃんってどっかで聞いたことある名前だ。
誰だ?会ったことあるっけ?
えっと…
そういえばあの日…
蝶屋敷の一室に丸められた紙が散らかっていた。
拾い上げて開いてみる。
「なまえ…?」
他の紙も開いてみたけど、全部に“なまえ”って殴り書かれてる。
なまえって誰だ?同じ鬼殺隊の人か?
それにしても下手クソな字だな。
呪いでもかけるつもりかよ。
「何やってんだよ」
「うわぁ!?……はあ…なんだ伊之助か…ビックリした」
急に声かけるなよ。
心臓飛び出るかと思ったわ。
「何って…この部屋酷く散らかってるからさ」
「ああ…それ、俺だ。今しのぶに紙を貰いに行ってた」
「紙?厠の?…ほらもう、何でもかんでも食べようとするから」
「ア?違ぇよ、腹下してねえわ!…練習してたんだよ」
「練習って……字の練習をしてたのか?」
「そうだ」
「お前、読み書きできないって言ってなかったか?」
「なまえに教えてもらってんだ」
「なまえ?誰それ?」
「俺様の子分だ!子分の名前くらい書けるようにしとかねえとな!」
そう言うと伊之助は紙を広げて筆を持った。
俺も伊之助の隣に腰を下ろして、横目で紙を見る。
綺麗とは言えないその字には不思議なあたたかさがあった。
「なまえって子は俺たちと同じ鬼殺隊なのか?」
「いや、違ぇ。なまえは…なまえはなんなんだ?」
伊之助が頭にはてなを浮かべながら俺を見た。
質問で返すなよ。
俺がお前に聞いてるんですけど。
「会ったこともない人のことわかるわけないだろ?」
「…そうだな」
「そうだろ?」
これでわかってたら俺超能力者だよ。
「なまえがなんなのかよくわかんねえけど、ちゃんと書けるようになったら絶対に喜んでくれるから」
「ふーん…」
「早く書けるようになって見せてやりてえ」
なんだ?
この音。
「なまえが喜んでると、ほわほわって…変な感じになる」
「ほわほわ?」
「ああ。でも、ほわほわするときもあるけど、ここが…胸んとこが、ぎゅって握り潰されそうなときもある」
「それって…」
不思議だ。
伊之助から「好き」って音が聞こえてくる。
そうなのか?
「伊之助…お前、その子とのこと…」
「どうだ?さっきより上手く書けたか?」
「え?…ああ!まあ、さっきのよりはいいんじゃない!?」
好きなんだな。
でも、伊之助。
お前はまだそのことに気づいてないんだ。
「紋逸?どうかしたか?」
「いや、やっぱなんでもない…俺そろそろ戻るわ」
「おう」
「てか、あんま散らかすなよな。あとでちゃんと片付けとけよ」
「んなことわかってるよ」
お前の好きな子が喜んでくれたら、俺もほんの少しだけ、本当に少しだけ…。
いや、凄く嬉しいからさ。
よかったなって思えるからさ。
「頑張れよ」
伊之助に聞こえないくらい小さな声でそう呟いて、俺は部屋を出た。
「そうか…」
なまえちゃん。
あのとき伊之助が練習していた名前の子だ。
ていうか、お慕い申し上げますって。
「両思いじゃんかよ」
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