素直になるまで1cm
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1000人斬りの悪女
名前
懸賞金9600万ベリー
年齢26歳 北の海出身
「姐さん26だったんすか!?」
「なに?喧嘩売ってんの?」
「いやいやいや!そんなつもりじゃ!!通りで大人の色気が…」
「嘘をつくならバレないようにつこうね。」
ニッコリと微笑む女にひぃと男は声を上げた。
潜水艦の話題は昨日この船に新しく乗った女の話題で持ち切りだった。旗揚げして2年のこの海賊団とは違い、彼女は航海暦10年の大先輩。加入してわずか2日で懸賞金は船長をも超える額なのだから、彼女の強さは誰もが認めるものだ。
「あの―…キャプテンとは何かあったり…」
「あるわけないでしょ。あんな子供。」
「で、ですよねー!」
昨日は船長の部屋へ呼ばれたっきり、名前が部屋から出てくることは無かった。クルー一同その様子をソワソワしながら見守っていた。翌朝当然の様に船長室から出てきた彼女にクルー達は目を見開いた。この船で船長よりも彼女の監視をするのに適任な人物はいないのだが、まさか本当に一夜を過ごしたんでは無いのかと、誰しもが少しは頭を過ったのだから。
「姐さんからするとキャプテンは子供なんですか?」
「いや…別に…。でも若いでしょ?」
「俺は19でキャプテンは18です!」
「ふーん。シャチの方が年上なんだ?」
ニヤニヤと微笑む女にシャチはぐっと拳を握った。よく言われる事ではあったが、面と向かって言われると中々哀しくなるものがあったらしい。
「そんな事よりこれはいつ外れるの?」
じゃらりと垂れる鎖はまだ彼女を縛り付けていた。
「船長の許可が降りれば!」
「はぁ…。5日はコレを着けてるけどそろそろ限界。」
テーブルに頭を着けぐだっと倒れる女にクルーは駆け寄った。彼女は能力者だし、海楼石に不快感を抱くのは仕方の無い事だ。
「やっぱ海楼石って辛いのか?」
「うん。体の力が抜ける感じ。って言うかこの船潜水艦でしょ?これが無くても逃げれないよ。」
名前はじっとペンギンに視線を送るがその視線はふいっと逸らされた。この中のメンバーだと彼に言うのが正解だと思ったがどうやら違うらしい。
「えーと、ベポ君?だっけ?」
「あ、あいあい!なんかすみません。」
「打たれ弱!!ってかお前だけなんで君付け!!」
「…可愛いから?」
キョトンと女は首を傾げると、おずおずとベポの身体に触れた。クルーとの接触は良しとされていなかったけど、好奇心には勝てなかったようで、もふもふを堪能する女の表情は今までとはまるで違う満ち足りた表情をしていた。
「やっぱベポは女にモテんなー。」
「俺メスのクマがいい。」
「えー…クマクマの実食べればよかったかなぁ〜。」
一見ほのぼのとした癒し空間と化したこの船内だが、女はお尋ね者。新聞で見たことのある情報しか落としていない女をほのぼのと見る者はいない。バタンと荒いドアの開閉音に一同が目を向けた。
「テメェ、ベポを誑し込むンじゃねぇ!!」
「触ってただけじゃん。それに振られたけど?」
「いいからテメェは部屋に籠ってろ!!」
「なんで?船長さんの部屋退屈だから嫌だ。」
ピクピクと青筋を立てる船長にクルーは声を上げた。姐さん落ち着けって!と声をかけた所、どうやらこの女も怒りを孕んだ表情をしている。
「そろそろこれ外してよ。」
「駄目だ。外したら能力使うだろテメェは。」
「海の中に潜ってんのになんの能力使うってのよ!!あーもう!この鎖だけでいいから取ってよ!!あと頼むから掃除でもさせて!この船退屈!!」
バチバチと火花飛ぶ勢いで話す2人に船員はアワアワと身振り手振りするものの、潜水し娯楽のないこの船にとってはちょっとしたスパイスになる。名前が船に乗ってまだ2日目だと言うのに、それを面白がる船員がポツリと出始めたぐらいだ。
「お前の能力は何だ。詳しく話せ。」
「え?知らなかったの?」
「確かに!姐さん何の悪魔の実食ったんだ!?」
「えぇ。シャチも知らないの?ほんとなんで私を船に乗せたの。へー知らないんだ。ふふどうしようかなぁ。」
どかっと椅子へ座り、長い脚を組みイライラを身体中で表す男を見て名前はニヤニヤと笑っていた。恐らくこの船で船長であるこの男にこのような態度を取れる者はこの女ぐらいであろう。
「さっさと話せ。テメェの心臓がどうなってもいいのか。」
「船長さん今心臓持ってないじゃん。それに貴方はそんな事しなさそう。」
ギロリと睨みを効かせるローに名前は乾いた笑いを落とす。この船のクルーは皆年下ばかりで可愛いリアクションをとるというのに、船長である彼の堅物ぶりには可愛げの欠けらも無いのだから。
「ハイハイ話すから。すぐ睨むのやめてよ。私はミツミツの実の蜜人間。」
「蜜人間?蜂蜜でも出てくんの?」
「毒も出せるよ〜。中毒症状が出たら死ぬかも♡」
「ひぃ!!ぜったい駄目!!それ!外さない!!」
「だからそんなの使わないって。使ったとしてもそこにお医者さんがいるから死ぬ事はないわよ。」
手をクロスさせ断固反対の姿勢を示すクルーに女は溜息をついた。毒は出せても速効性のものでは無いし、こんな操縦の仕方も分からない船で馬鹿な真似などしないと言うのに。
「能力は?」
「んーそのまんまだよ。正直この能力に殺傷力は無いから。」
「甘くて美味いだけの力ってこと!?」
「ふふ。花ってなんで蜜を出すか知ってる?」
キョトンとハテナを浮かべる船員と、知ってる!!と声を上げる船員
「虫に運んでもらうためだろ!」
「そう!受粉する為に呼び寄せるの。だから、そういうコト。」
「…え、まさか…1000人斬りって…ほんと…?」
「さぁね?ね、話したから鎖だけでも取ってよ。周りの部分はそのままでいいから。」
じゃらりと垂れ下がる鎖をローに見せれば、ローは眉を寄せる。1呼吸置きはァとため息をつけば彼はソファに肘を掛けた。
「…外してやれ。ただし鎖だけだ。枷はそのまま着けておけ。」
「ほんと!?ありがとう!これで身体を自由に伸ばせる!」
いつの間にかローの掌に現れた鍵をペンギンが受け取れば、カチャカチャと動かしガシャンと鎖が外れた。外れたのは鎖だけで、海楼石は未だ腕に着いているものの腕の可動範囲が広まる事に女は喜んだ。グイッと身体を伸ばし、ストレッチをし始める女に大変だったな〜とクルーは話を続ける。
「ありがとう。ペンギン!やっぱ腕が自由なのって最高…ねっ!」
「ッ!」
「船長!!!」 「キャプテン!!」
「ヘェ。死の外科医の名は伊達じゃないのね。」
名前はストレッチを終えると、すぐに拳をソファに腰かけていたローに振り下ろした。恐らく彼女の動きに反応できたクルーはいない。鈍い音ともに次の瞬間船長に殴り掛かる女が視界に映ったのだから、船員は慌てて警戒態勢を取る。
視界に移る楽しそうな顔をした女にローはニヤリと笑った。数秒いや、その次元では無い。極僅かにでも反応が遅れていれば拳は脳天を直撃していた。ミシミシと腕に伝わるそれはここ最近では感じたことのない強者の拳だ。じわりと汗が流れるのは彼女が加減をし、攻撃を直撃させる意思はなかった事を拳を受けてから理解したからだ。
「ただの仲良し海賊団かと思ってたけど、皆結構良い動きするのね。」
チラリと戦闘態勢に入るクルーを見て名前はニッコリと笑った。懸賞金の高さは彼女のこういった戦闘スキルも加味してのもの、という事実にクルー一同固唾を飲んだ。
「テメェ…手を抜きやがったな…!舐めやがって。」
ゆっくりと離れる拳を見つめローはピクピクと皺を寄せていた。彼女との実力差を目の当たりにし、今の自分では勝てない事は理解していながらも手を抜かれた事実はプライドを刺激する。
「あ、気付いてた?流石に船長を怪我させたらあとが怖いし。能力が無くても働けますよって言う意思表示かな。海賊は嫌いだけどこの船は結構気に入ったし。」
ジリッと足を動かす船員にローはまてをかける
「大丈夫だ。こいつももう妙な真似はしねぇよ。」
「っはぁ!!息が詰まるかと思った!!」
「名前姐さんかっけぇ!!」
緊張の糸が解けた船員達は口々に言葉を唱えた。実力を褒められるのは悪くないと、女は少し嬉しそうに微笑んだ。
「お前に仕事をやる。俺達に戦い方を教えろ。」
「戦い方を知ってどうしたい訳?目指す場所は?」
「目先の目標は偉大なる航路 。だが今はまだ時期じゃねぇ。おかげで実力不足なのも分かった。だから戦い方を教えてくれ。」
互いに真剣な瞳を交わらせ、ローと名前は顔を合わせていた。この男から頼み事をされるのは初めてだった。堅物でプライドの高い人の下に立つような男では無いこの男が、自分に頼み事をしたのだ。
「この船は偉大なる航路 へ行くの?」
「あぁ。海賊ならワンピースはこの目で見てェだろ。」
冗談では無い。真剣な瞳に名前の目も揺れた。彼らは遊びでも無く、友達ごっこをしている訳でもなく、真剣にこの海を航海するのだと彼の瞳を見れば理解出来たから。
「自己紹介、訂正するわ。私が嫌いなのは海賊ごっこをした腰抜け海賊団。先へ進むならあなた達に戦い方を教えてあげる。でも教えるからには加減はしない。」
「そりゃ光栄だな。歓迎するぜ?名前。」
「こっちこそよろしく。ロー船長。」
取り合った手に後悔は無いだろう。互いの腹の中もまだ知らぬ2人が、この海の先を知る為に手を結ぶ。
新しい仲間に浮かれるクルーは今後の修行の辛さに涙を流すことをになる。
名前
懸賞金9600万ベリー
年齢26歳 北の海出身
「姐さん26だったんすか!?」
「なに?喧嘩売ってんの?」
「いやいやいや!そんなつもりじゃ!!通りで大人の色気が…」
「嘘をつくならバレないようにつこうね。」
ニッコリと微笑む女にひぃと男は声を上げた。
潜水艦の話題は昨日この船に新しく乗った女の話題で持ち切りだった。旗揚げして2年のこの海賊団とは違い、彼女は航海暦10年の大先輩。加入してわずか2日で懸賞金は船長をも超える額なのだから、彼女の強さは誰もが認めるものだ。
「あの―…キャプテンとは何かあったり…」
「あるわけないでしょ。あんな子供。」
「で、ですよねー!」
昨日は船長の部屋へ呼ばれたっきり、名前が部屋から出てくることは無かった。クルー一同その様子をソワソワしながら見守っていた。翌朝当然の様に船長室から出てきた彼女にクルー達は目を見開いた。この船で船長よりも彼女の監視をするのに適任な人物はいないのだが、まさか本当に一夜を過ごしたんでは無いのかと、誰しもが少しは頭を過ったのだから。
「姐さんからするとキャプテンは子供なんですか?」
「いや…別に…。でも若いでしょ?」
「俺は19でキャプテンは18です!」
「ふーん。シャチの方が年上なんだ?」
ニヤニヤと微笑む女にシャチはぐっと拳を握った。よく言われる事ではあったが、面と向かって言われると中々哀しくなるものがあったらしい。
「そんな事よりこれはいつ外れるの?」
じゃらりと垂れる鎖はまだ彼女を縛り付けていた。
「船長の許可が降りれば!」
「はぁ…。5日はコレを着けてるけどそろそろ限界。」
テーブルに頭を着けぐだっと倒れる女にクルーは駆け寄った。彼女は能力者だし、海楼石に不快感を抱くのは仕方の無い事だ。
「やっぱ海楼石って辛いのか?」
「うん。体の力が抜ける感じ。って言うかこの船潜水艦でしょ?これが無くても逃げれないよ。」
名前はじっとペンギンに視線を送るがその視線はふいっと逸らされた。この中のメンバーだと彼に言うのが正解だと思ったがどうやら違うらしい。
「えーと、ベポ君?だっけ?」
「あ、あいあい!なんかすみません。」
「打たれ弱!!ってかお前だけなんで君付け!!」
「…可愛いから?」
キョトンと女は首を傾げると、おずおずとベポの身体に触れた。クルーとの接触は良しとされていなかったけど、好奇心には勝てなかったようで、もふもふを堪能する女の表情は今までとはまるで違う満ち足りた表情をしていた。
「やっぱベポは女にモテんなー。」
「俺メスのクマがいい。」
「えー…クマクマの実食べればよかったかなぁ〜。」
一見ほのぼのとした癒し空間と化したこの船内だが、女はお尋ね者。新聞で見たことのある情報しか落としていない女をほのぼのと見る者はいない。バタンと荒いドアの開閉音に一同が目を向けた。
「テメェ、ベポを誑し込むンじゃねぇ!!」
「触ってただけじゃん。それに振られたけど?」
「いいからテメェは部屋に籠ってろ!!」
「なんで?船長さんの部屋退屈だから嫌だ。」
ピクピクと青筋を立てる船長にクルーは声を上げた。姐さん落ち着けって!と声をかけた所、どうやらこの女も怒りを孕んだ表情をしている。
「そろそろこれ外してよ。」
「駄目だ。外したら能力使うだろテメェは。」
「海の中に潜ってんのになんの能力使うってのよ!!あーもう!この鎖だけでいいから取ってよ!!あと頼むから掃除でもさせて!この船退屈!!」
バチバチと火花飛ぶ勢いで話す2人に船員はアワアワと身振り手振りするものの、潜水し娯楽のないこの船にとってはちょっとしたスパイスになる。名前が船に乗ってまだ2日目だと言うのに、それを面白がる船員がポツリと出始めたぐらいだ。
「お前の能力は何だ。詳しく話せ。」
「え?知らなかったの?」
「確かに!姐さん何の悪魔の実食ったんだ!?」
「えぇ。シャチも知らないの?ほんとなんで私を船に乗せたの。へー知らないんだ。ふふどうしようかなぁ。」
どかっと椅子へ座り、長い脚を組みイライラを身体中で表す男を見て名前はニヤニヤと笑っていた。恐らくこの船で船長であるこの男にこのような態度を取れる者はこの女ぐらいであろう。
「さっさと話せ。テメェの心臓がどうなってもいいのか。」
「船長さん今心臓持ってないじゃん。それに貴方はそんな事しなさそう。」
ギロリと睨みを効かせるローに名前は乾いた笑いを落とす。この船のクルーは皆年下ばかりで可愛いリアクションをとるというのに、船長である彼の堅物ぶりには可愛げの欠けらも無いのだから。
「ハイハイ話すから。すぐ睨むのやめてよ。私はミツミツの実の蜜人間。」
「蜜人間?蜂蜜でも出てくんの?」
「毒も出せるよ〜。中毒症状が出たら死ぬかも♡」
「ひぃ!!ぜったい駄目!!それ!外さない!!」
「だからそんなの使わないって。使ったとしてもそこにお医者さんがいるから死ぬ事はないわよ。」
手をクロスさせ断固反対の姿勢を示すクルーに女は溜息をついた。毒は出せても速効性のものでは無いし、こんな操縦の仕方も分からない船で馬鹿な真似などしないと言うのに。
「能力は?」
「んーそのまんまだよ。正直この能力に殺傷力は無いから。」
「甘くて美味いだけの力ってこと!?」
「ふふ。花ってなんで蜜を出すか知ってる?」
キョトンとハテナを浮かべる船員と、知ってる!!と声を上げる船員
「虫に運んでもらうためだろ!」
「そう!受粉する為に呼び寄せるの。だから、そういうコト。」
「…え、まさか…1000人斬りって…ほんと…?」
「さぁね?ね、話したから鎖だけでも取ってよ。周りの部分はそのままでいいから。」
じゃらりと垂れ下がる鎖をローに見せれば、ローは眉を寄せる。1呼吸置きはァとため息をつけば彼はソファに肘を掛けた。
「…外してやれ。ただし鎖だけだ。枷はそのまま着けておけ。」
「ほんと!?ありがとう!これで身体を自由に伸ばせる!」
いつの間にかローの掌に現れた鍵をペンギンが受け取れば、カチャカチャと動かしガシャンと鎖が外れた。外れたのは鎖だけで、海楼石は未だ腕に着いているものの腕の可動範囲が広まる事に女は喜んだ。グイッと身体を伸ばし、ストレッチをし始める女に大変だったな〜とクルーは話を続ける。
「ありがとう。ペンギン!やっぱ腕が自由なのって最高…ねっ!」
「ッ!」
「船長!!!」 「キャプテン!!」
「ヘェ。死の外科医の名は伊達じゃないのね。」
名前はストレッチを終えると、すぐに拳をソファに腰かけていたローに振り下ろした。恐らく彼女の動きに反応できたクルーはいない。鈍い音ともに次の瞬間船長に殴り掛かる女が視界に映ったのだから、船員は慌てて警戒態勢を取る。
視界に移る楽しそうな顔をした女にローはニヤリと笑った。数秒いや、その次元では無い。極僅かにでも反応が遅れていれば拳は脳天を直撃していた。ミシミシと腕に伝わるそれはここ最近では感じたことのない強者の拳だ。じわりと汗が流れるのは彼女が加減をし、攻撃を直撃させる意思はなかった事を拳を受けてから理解したからだ。
「ただの仲良し海賊団かと思ってたけど、皆結構良い動きするのね。」
チラリと戦闘態勢に入るクルーを見て名前はニッコリと笑った。懸賞金の高さは彼女のこういった戦闘スキルも加味してのもの、という事実にクルー一同固唾を飲んだ。
「テメェ…手を抜きやがったな…!舐めやがって。」
ゆっくりと離れる拳を見つめローはピクピクと皺を寄せていた。彼女との実力差を目の当たりにし、今の自分では勝てない事は理解していながらも手を抜かれた事実はプライドを刺激する。
「あ、気付いてた?流石に船長を怪我させたらあとが怖いし。能力が無くても働けますよって言う意思表示かな。海賊は嫌いだけどこの船は結構気に入ったし。」
ジリッと足を動かす船員にローはまてをかける
「大丈夫だ。こいつももう妙な真似はしねぇよ。」
「っはぁ!!息が詰まるかと思った!!」
「名前姐さんかっけぇ!!」
緊張の糸が解けた船員達は口々に言葉を唱えた。実力を褒められるのは悪くないと、女は少し嬉しそうに微笑んだ。
「お前に仕事をやる。俺達に戦い方を教えろ。」
「戦い方を知ってどうしたい訳?目指す場所は?」
「目先の目標は
互いに真剣な瞳を交わらせ、ローと名前は顔を合わせていた。この男から頼み事をされるのは初めてだった。堅物でプライドの高い人の下に立つような男では無いこの男が、自分に頼み事をしたのだ。
「この船は
「あぁ。海賊ならワンピースはこの目で見てェだろ。」
冗談では無い。真剣な瞳に名前の目も揺れた。彼らは遊びでも無く、友達ごっこをしている訳でもなく、真剣にこの海を航海するのだと彼の瞳を見れば理解出来たから。
「自己紹介、訂正するわ。私が嫌いなのは海賊ごっこをした腰抜け海賊団。先へ進むならあなた達に戦い方を教えてあげる。でも教えるからには加減はしない。」
「そりゃ光栄だな。歓迎するぜ?名前。」
「こっちこそよろしく。ロー船長。」
取り合った手に後悔は無いだろう。互いの腹の中もまだ知らぬ2人が、この海の先を知る為に手を結ぶ。
新しい仲間に浮かれるクルーは今後の修行の辛さに涙を流すことをになる。