24. I hope you are safe. (完)
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その後は変身術の確認以外に、かつてスネイプがフォーラに用意すると言っていたマグルの血についても話した。
「本来ならマグルの病院から血を得てお前に提供すると約束していたが、それについては一先ず反故にする。我輩の薬品庫には、病院で亡くなる前のマグルの少女の血が30cc以上保存してあるが。元々その約束は、この魔法が本当に使えるか確認するためにしたものだった筈だ。既にお前には予定外とはいえ我輩の血を与えてしまった。二人以上の血を飲むことは、必要がないなら一度慎重になった方がいい」
「ええ、そうですね。分かりました……。」
ひとしきり話し終え、フォーラはスネイプの部屋をそろそろ出るかに思われた。しかし扉の側で動かずにいる彼女の様子にスネイプは違和感を覚えた。
「フォーラ、未だ何か気になることでもあるのか」
「!」フォーラは内心どきりとした。彼女の脳裏には、先日ハリーやシリウスに対して負の感情を抱いたことが思い出されていた。そのような気持ちは本来、騎士団側に属する身としては感じてはいけないものだと分かっていた。
フォーラはその感情をスネイプに打ち明けてしまいたい気持ちがあったが、それは何の解決や憂さ晴らしにもならないことを理解していた。寧ろ自分の嫌なところを曝け出した結果、余計に自己嫌悪に陥ってしまう気がした。スネイプにも呆れられてしまうかもしれない。
「……これから、ドラコやマルフォイ家の人たちは、私の大切な人たちはどうなってしまうんでしょうか?」
フォーラは全てを晒さず、最も重要な部分のみをスネイプに尋ねた。
「正直今後のことは分からない。アズカバンからルシウスが出戻ることは大いにあり得ると思うが……」スネイプはフォーラの暗い表情を見て、安心させようと後の言葉を付け足した。
「少なくとも、闇の帝王がマルフォイ家の失敗を理由に冷遇したとしても殺すことはないだろう。闇の帝王は純血に手を掛けることは避けるお方だからだ。
それに、お前が最も心配しているドラコにもし何か危険が及ぶことがあっても、我輩やダンブルドアが目をかけておく。何せドラコはダンブルドアが治めるホグワーツの生徒なのだから」
「!はい……。ありがとうございます。」
スネイプはフォーラがまだ何か悩みを打ち明けきっていない気がした。しかし一先ずは彼女の顔から少しの安堵が伺えたため、それ以上追及しないことにした。
(フォーラ、お前にはもっと自分を労わることも覚えてほしいものだ)
ところで、学期が終わる前日にアンブリッジはホグワーツを去って行った。夕食時にこっそり医務室を抜け出したらしい。彼女は誰にも気づかれずに出発したかったようだが、残念ながら途中でピーブズに出会ってしまった。ピーブズはフレッドのいいつけを実行する最後のチャンスとばかりに、ありとあらゆる物を使ってアンブリッジを殴り付けながら追いかけて、嬉々として城から追い出した。これには大勢の生徒が玄関ホールに走り出て、アンブリッジが小道を走り去るのを見物したのだった。
学校中がアンブリッジの件で喜びに満ちていた。フォーラはこの件が尋問官親衛隊にとって残念なことだったろうと思ったが、どうやらパンジーたち親衛隊にとっても幾らか喜ばしいことだったようだ。
「だって、アンブリッジは私たちのことをあまりにもこき使い過ぎたんだもの」パンジーが夕食の席でそのように話した。「幾ら内申点のためだったとはいえ、正直いなくなってくれてホッとしてるわ。それに……監督生の仕事に加えて親衛隊の仕事もしてたから、フォーラやルニーとあんまり一緒にいられなかったものね」
それを聞いたフォーラとルニーは、間に座るパンジーを撫でたり抱きついたりして存分に愛でた。パンジーが困ったように照れ隠しする姿がなんだか少し珍しくて、フォーラもルニーも、パンジーすらもだんだん可笑しく思えて、いつになく笑顔が絶えない夕食の時間となったのだった。
翌日、とうとう今学年最後の日がやって来た。この日は夏の青い空が広がって、強い日差しがくっきりとした木陰を作り出していた。本当に良く晴れていて、心地よい風が吹き抜ける素敵な日だった。
ロンとハーマイオニーは数日前に完治して退院していて、ハリーを含むいつもの三人は久しぶりに揃って校庭に向かっていた。するとちょうどその時、彼らの歩いている廊下の突き当りの方から偶然にも、ドラコとフォーラが仲睦まじく並んで言葉を交わしながらやって来るところだった。ドラコもハリーも先日同様、この天気のいい日に最も見たくない相手と出くわしたことに不快感を覚えずにはいられなかった。
そのためドラコの方はハリーたちがこちらに向かっていることに気付いた途端、一瞬歩みを遅らせた。そして程なくしてドラコは彼らに厳しい視線を向けると再び歩みを速めた。一方のハリーはどこか余裕を含んだ蔑むような表情をドラコに向けていた。互いにすれ違う間、一言も発しなかった。そして完全にすれ違って距離をとった時、フォーラとドラコの背中越しにハリーたちが何か話し始める声が聞こえた。きっとドラコのことを話しているのだろう。ドラコはハリーへの苛立ちで僅かに身体を震わせていた。
「本来ならマグルの病院から血を得てお前に提供すると約束していたが、それについては一先ず反故にする。我輩の薬品庫には、病院で亡くなる前のマグルの少女の血が30cc以上保存してあるが。元々その約束は、この魔法が本当に使えるか確認するためにしたものだった筈だ。既にお前には予定外とはいえ我輩の血を与えてしまった。二人以上の血を飲むことは、必要がないなら一度慎重になった方がいい」
「ええ、そうですね。分かりました……。」
ひとしきり話し終え、フォーラはスネイプの部屋をそろそろ出るかに思われた。しかし扉の側で動かずにいる彼女の様子にスネイプは違和感を覚えた。
「フォーラ、未だ何か気になることでもあるのか」
「!」フォーラは内心どきりとした。彼女の脳裏には、先日ハリーやシリウスに対して負の感情を抱いたことが思い出されていた。そのような気持ちは本来、騎士団側に属する身としては感じてはいけないものだと分かっていた。
フォーラはその感情をスネイプに打ち明けてしまいたい気持ちがあったが、それは何の解決や憂さ晴らしにもならないことを理解していた。寧ろ自分の嫌なところを曝け出した結果、余計に自己嫌悪に陥ってしまう気がした。スネイプにも呆れられてしまうかもしれない。
「……これから、ドラコやマルフォイ家の人たちは、私の大切な人たちはどうなってしまうんでしょうか?」
フォーラは全てを晒さず、最も重要な部分のみをスネイプに尋ねた。
「正直今後のことは分からない。アズカバンからルシウスが出戻ることは大いにあり得ると思うが……」スネイプはフォーラの暗い表情を見て、安心させようと後の言葉を付け足した。
「少なくとも、闇の帝王がマルフォイ家の失敗を理由に冷遇したとしても殺すことはないだろう。闇の帝王は純血に手を掛けることは避けるお方だからだ。
それに、お前が最も心配しているドラコにもし何か危険が及ぶことがあっても、我輩やダンブルドアが目をかけておく。何せドラコはダンブルドアが治めるホグワーツの生徒なのだから」
「!はい……。ありがとうございます。」
スネイプはフォーラがまだ何か悩みを打ち明けきっていない気がした。しかし一先ずは彼女の顔から少しの安堵が伺えたため、それ以上追及しないことにした。
(フォーラ、お前にはもっと自分を労わることも覚えてほしいものだ)
ところで、学期が終わる前日にアンブリッジはホグワーツを去って行った。夕食時にこっそり医務室を抜け出したらしい。彼女は誰にも気づかれずに出発したかったようだが、残念ながら途中でピーブズに出会ってしまった。ピーブズはフレッドのいいつけを実行する最後のチャンスとばかりに、ありとあらゆる物を使ってアンブリッジを殴り付けながら追いかけて、嬉々として城から追い出した。これには大勢の生徒が玄関ホールに走り出て、アンブリッジが小道を走り去るのを見物したのだった。
学校中がアンブリッジの件で喜びに満ちていた。フォーラはこの件が尋問官親衛隊にとって残念なことだったろうと思ったが、どうやらパンジーたち親衛隊にとっても幾らか喜ばしいことだったようだ。
「だって、アンブリッジは私たちのことをあまりにもこき使い過ぎたんだもの」パンジーが夕食の席でそのように話した。「幾ら内申点のためだったとはいえ、正直いなくなってくれてホッとしてるわ。それに……監督生の仕事に加えて親衛隊の仕事もしてたから、フォーラやルニーとあんまり一緒にいられなかったものね」
それを聞いたフォーラとルニーは、間に座るパンジーを撫でたり抱きついたりして存分に愛でた。パンジーが困ったように照れ隠しする姿がなんだか少し珍しくて、フォーラもルニーも、パンジーすらもだんだん可笑しく思えて、いつになく笑顔が絶えない夕食の時間となったのだった。
翌日、とうとう今学年最後の日がやって来た。この日は夏の青い空が広がって、強い日差しがくっきりとした木陰を作り出していた。本当に良く晴れていて、心地よい風が吹き抜ける素敵な日だった。
ロンとハーマイオニーは数日前に完治して退院していて、ハリーを含むいつもの三人は久しぶりに揃って校庭に向かっていた。するとちょうどその時、彼らの歩いている廊下の突き当りの方から偶然にも、ドラコとフォーラが仲睦まじく並んで言葉を交わしながらやって来るところだった。ドラコもハリーも先日同様、この天気のいい日に最も見たくない相手と出くわしたことに不快感を覚えずにはいられなかった。
そのためドラコの方はハリーたちがこちらに向かっていることに気付いた途端、一瞬歩みを遅らせた。そして程なくしてドラコは彼らに厳しい視線を向けると再び歩みを速めた。一方のハリーはどこか余裕を含んだ蔑むような表情をドラコに向けていた。互いにすれ違う間、一言も発しなかった。そして完全にすれ違って距離をとった時、フォーラとドラコの背中越しにハリーたちが何か話し始める声が聞こえた。きっとドラコのことを話しているのだろう。ドラコはハリーへの苛立ちで僅かに身体を震わせていた。