19. You are very special to me: 3rd volume
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「もしかして、……もう私のことを嫌う『ふり』をする必要が無くなった?」
「!」ドラコはハッとした様子で反応した。「君は……。気付いていたのか?いつから……」
ドラコが戸惑う中、フォーラは立ち上がると彼に手を差し伸べた。ドラコは戸惑いながらもその手を取ると勢いに任せて立ち上がった。二人の手はどちらから離すこともなく、繋がったままだった。
「何となくそうかもしれないと思ったのは……私の実家でのクリスマスパーティの時。ドラコとダンスを踊って、貴方が私のドレスを似合うと褒めてくれたり、転びそうになった私を助けてくれたりした時よ。それまで随分私のことを嫌っている素振りだったのに、おかしいと思って……そこから、段々と確信に変わっていったわ。」フォーラが続けた。「だけど、五年生になって最初の頃から暫くは、本当に貴方に嫌われてしまったと思っていたわ。四年生の終わりに貴方の告白を断って傷つけてしまったこと以外に、原因は思い浮かばなかった。」
フォーラが当時のことを思い出し、少々俯いて表情に暗い影を落とした。ドラコはそれを見て、繋いだままの彼女の手を咄嗟にぎゅっと握り直した。そして彼女が驚いて顔を上げると、ドラコは彼女の眩しい瞳を真剣に見据えた。そして彼は言葉を発しようとしたのだが、自身が言おうとしていることが本当に今更で、自分には本来これまでのことを弁明する資格が無いことを実感した。
それだからドラコの手は罪悪感に微かに震えたし、胸の辺りがぐちゃぐちゃにかき回され、締め付けられるような感覚がした。そして目頭がじんわりと熱くもなった。
「今更、こんなことを言っても随分遅いが」ドラコが無理矢理絞り出した声は、緊張でかすれていた。「僕は、一度だって君を嫌ったことはない。それに、君に振られたことを恨んだこともない。一度も……」
ドラコの瞳からは、ぼたぼたと涙が零れていた。
「君に、今までのことを許してもらえるとは思ってない……だけど謝らせてほしい。君を何度も傷つけたこと、本当にすまなかった。何度謝っても足りない……。
本当は君を傷つけるその度に、いつも苦しかった。いや、そんな言い訳君には関係ないのに、僕は本当に何を今更」
フォーラはドラコがようやく本心を打ち明けてくれたことが本当に嬉しくて、彼を信じ想い続けて良かったと心の底から思った。それだから、彼女はそれを示すかのようにドラコに微笑んだ。彼女の瞳にも涙が浮かんでいた。
「ドラコったら、最近私の前ですっかり泣き虫さんだわ。」
フォーラは空いている方の片手で自身のローブの袖を使い、ドラコの頬を伝う涙を優しく拭った。
「何か、事情があったのよね?きっと……。」
ドラコは一瞬の戸惑いを見せた。ヴォルデモートやルシウスと、ドラコ自身の関係が頭を過ったのだ。自分たちが今、世間の大多数の魔法使いや魔女から後ろ指をさされていることはドラコ自身よく分かっていた。しかしこうなった以上、ドラコはフォーラに正直でならなければいけないと思った。だが……どこまで?
ドラコは彼女の質問に静かに頷いた。そして彼女の潤んだ瞳を見た後、自信なく視線を逸らした。
「君がその事情を知ってしまったら、温和で優しい君でも、きっと幻滅させてしまう。今以上に」
それに対してフォーラは首を横に振った。
「ドラコはもう知っている筈だけど、何度だって言うわ。
私ね、貴方のことが誰よりも特別で、大切だわ。だからどんな事情があったって、貴方に幻滅なんてしない。寧ろ……貴方を苦しめている何かがあるのなら、一緒に解決したいの。だからもうこれ以上、私のことを遠ざけないで。」
フォーラの言葉に、ドラコは思わず顔を上げた。目の前の彼女の瞳は、言葉に似合う強い意志を感じさせたし、先程のドラコのように涙を零れ落としていた。ドラコは自身がたった今顔を上げる直前まで、自分の置かれた状況をどこまで彼女に打ち明けていいものか躊躇っていた筈だった。それなのに、彼女のその表情を見た途端、彼は彼女を争いに巻き込むリスクを考えることなど、何処かへやってしまっていた。
そして後先考えることなく自分の意志が赴くまま、ドラコはフォーラをきつく抱き締めたのだった。
「!」
フォーラはドラコの行動に随分驚いた―――そして彼が締め付ける腕の力が幾らか強くて、震えていて……その腕伝いに、彼がこれまでの行いをどれだけ常に悔い続けてきたのかが伺い知れた。
「ごめん……」ドラコの涙声の音色がフォーラの耳元で微かに響いた。そして何回かすすり泣く音が聞こえた。「本当は、ずっと、ずっとこうしたかった。君に好きだと伝えてから今まで、一度も君への気持ちが変わったことはなかった」ドラコが切迫した様子で短く息継ぎした。「君に、何もかも打ち明けてしまいたかった」
フォーラは言葉にこそしなかったが、代わりにドラコを優しく抱き締め返した。フォーラの瞳から零れた涙が、ドラコの服を少し濡らした。ドラコは彼女から抱擁が返ってきたことに少々びくりと反応した後、落ち着きを取り戻そうと浅く長い息を吐き、ゆっくりと、恐る恐る、丁寧に彼女を抱きしめ直した。
「フォーラに受け入れられていることが、信じられない」
「私だって、ドラコとこうしていられるなんて、思ってもいなかったわ……。」
フォーラの声が随分慈愛に満ちた声色をしていたものだから、ドラコは堪らなく自分の気持ちを伝えたくて仕方がなかった。彼は彼女の顔が見えるよう、両手でフォーラの腰を抱いて少し身体を離した。そして彼女の瞳を見つめた。
「!」ドラコはハッとした様子で反応した。「君は……。気付いていたのか?いつから……」
ドラコが戸惑う中、フォーラは立ち上がると彼に手を差し伸べた。ドラコは戸惑いながらもその手を取ると勢いに任せて立ち上がった。二人の手はどちらから離すこともなく、繋がったままだった。
「何となくそうかもしれないと思ったのは……私の実家でのクリスマスパーティの時。ドラコとダンスを踊って、貴方が私のドレスを似合うと褒めてくれたり、転びそうになった私を助けてくれたりした時よ。それまで随分私のことを嫌っている素振りだったのに、おかしいと思って……そこから、段々と確信に変わっていったわ。」フォーラが続けた。「だけど、五年生になって最初の頃から暫くは、本当に貴方に嫌われてしまったと思っていたわ。四年生の終わりに貴方の告白を断って傷つけてしまったこと以外に、原因は思い浮かばなかった。」
フォーラが当時のことを思い出し、少々俯いて表情に暗い影を落とした。ドラコはそれを見て、繋いだままの彼女の手を咄嗟にぎゅっと握り直した。そして彼女が驚いて顔を上げると、ドラコは彼女の眩しい瞳を真剣に見据えた。そして彼は言葉を発しようとしたのだが、自身が言おうとしていることが本当に今更で、自分には本来これまでのことを弁明する資格が無いことを実感した。
それだからドラコの手は罪悪感に微かに震えたし、胸の辺りがぐちゃぐちゃにかき回され、締め付けられるような感覚がした。そして目頭がじんわりと熱くもなった。
「今更、こんなことを言っても随分遅いが」ドラコが無理矢理絞り出した声は、緊張でかすれていた。「僕は、一度だって君を嫌ったことはない。それに、君に振られたことを恨んだこともない。一度も……」
ドラコの瞳からは、ぼたぼたと涙が零れていた。
「君に、今までのことを許してもらえるとは思ってない……だけど謝らせてほしい。君を何度も傷つけたこと、本当にすまなかった。何度謝っても足りない……。
本当は君を傷つけるその度に、いつも苦しかった。いや、そんな言い訳君には関係ないのに、僕は本当に何を今更」
フォーラはドラコがようやく本心を打ち明けてくれたことが本当に嬉しくて、彼を信じ想い続けて良かったと心の底から思った。それだから、彼女はそれを示すかのようにドラコに微笑んだ。彼女の瞳にも涙が浮かんでいた。
「ドラコったら、最近私の前ですっかり泣き虫さんだわ。」
フォーラは空いている方の片手で自身のローブの袖を使い、ドラコの頬を伝う涙を優しく拭った。
「何か、事情があったのよね?きっと……。」
ドラコは一瞬の戸惑いを見せた。ヴォルデモートやルシウスと、ドラコ自身の関係が頭を過ったのだ。自分たちが今、世間の大多数の魔法使いや魔女から後ろ指をさされていることはドラコ自身よく分かっていた。しかしこうなった以上、ドラコはフォーラに正直でならなければいけないと思った。だが……どこまで?
ドラコは彼女の質問に静かに頷いた。そして彼女の潤んだ瞳を見た後、自信なく視線を逸らした。
「君がその事情を知ってしまったら、温和で優しい君でも、きっと幻滅させてしまう。今以上に」
それに対してフォーラは首を横に振った。
「ドラコはもう知っている筈だけど、何度だって言うわ。
私ね、貴方のことが誰よりも特別で、大切だわ。だからどんな事情があったって、貴方に幻滅なんてしない。寧ろ……貴方を苦しめている何かがあるのなら、一緒に解決したいの。だからもうこれ以上、私のことを遠ざけないで。」
フォーラの言葉に、ドラコは思わず顔を上げた。目の前の彼女の瞳は、言葉に似合う強い意志を感じさせたし、先程のドラコのように涙を零れ落としていた。ドラコは自身がたった今顔を上げる直前まで、自分の置かれた状況をどこまで彼女に打ち明けていいものか躊躇っていた筈だった。それなのに、彼女のその表情を見た途端、彼は彼女を争いに巻き込むリスクを考えることなど、何処かへやってしまっていた。
そして後先考えることなく自分の意志が赴くまま、ドラコはフォーラをきつく抱き締めたのだった。
「!」
フォーラはドラコの行動に随分驚いた―――そして彼が締め付ける腕の力が幾らか強くて、震えていて……その腕伝いに、彼がこれまでの行いをどれだけ常に悔い続けてきたのかが伺い知れた。
「ごめん……」ドラコの涙声の音色がフォーラの耳元で微かに響いた。そして何回かすすり泣く音が聞こえた。「本当は、ずっと、ずっとこうしたかった。君に好きだと伝えてから今まで、一度も君への気持ちが変わったことはなかった」ドラコが切迫した様子で短く息継ぎした。「君に、何もかも打ち明けてしまいたかった」
フォーラは言葉にこそしなかったが、代わりにドラコを優しく抱き締め返した。フォーラの瞳から零れた涙が、ドラコの服を少し濡らした。ドラコは彼女から抱擁が返ってきたことに少々びくりと反応した後、落ち着きを取り戻そうと浅く長い息を吐き、ゆっくりと、恐る恐る、丁寧に彼女を抱きしめ直した。
「フォーラに受け入れられていることが、信じられない」
「私だって、ドラコとこうしていられるなんて、思ってもいなかったわ……。」
フォーラの声が随分慈愛に満ちた声色をしていたものだから、ドラコは堪らなく自分の気持ちを伝えたくて仕方がなかった。彼は彼女の顔が見えるよう、両手でフォーラの腰を抱いて少し身体を離した。そして彼女の瞳を見つめた。