24. I hope you are safe. (完)
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それからの数日、ドラコだけでなく死喰い人を親に持つドラコの友人たち―――クラッブもゴイルも、セオドールもあまり周囲と言葉を交わさなかった。彼らはドラコ同様、日に日にハリーやその友人らへの恨みを強くしているようだった。
クラッブたちの恨みの理由は彼らの父親たちが捕まったことだけではなかった。日刊預言者新聞はこの一年、ハリーとダンブルドアを嘘つきの異常者扱いしていた。しかし魔法省にヴォルデモートが現れたのを多くの魔法使いや魔女が目撃したことで、二人の意見が正しかったことを報じたのだ。
フォーラは新聞を通じて、あの夜ハリーたちの身に何があったかほんの一部だけを把握した。そして彼女はその次の日にはスネイプから呼び出され、事の詳細を聞いたのだった。
ハリーはロンやハーマイオニー、ネビル、ジニー、レイブンクローのルーナ・ラブグッドと共に魔法省の神秘部に乗り込んだ。何故神秘部だったのか説明は伏せられたが―――その場所で彼らはシリウスを探したが、当然見つからなかった。そしてハリーたちを待っていたのは両手で数えられる程の死喰い人たちだった。それから戦闘が始まって間もなく、不死鳥の騎士団も現場に到着した。その戦いの結果、その場にいた死喰い人はルシウス含め全員拘束されたという。但し、騎士団員と共に応援に駆け付けたシリウス・ブラックの死を代償にして。
フォーラはスネイプからシリウスの死を聞いた時、当然哀しみ、そして涙を流した。特にハリーの心境を思うとやるせない気持ちになった。しかし彼女は実のところ、それ以外の感情も自身の心の奥底で感じ取っていた。それはまるで心臓を燻られるような感覚だった。
その感情の答えが出ないまま数日が過ぎた。魔法省に向かったハリーたち学生メンバーは、あの夜の戦い以降医務室での治療が続けられていた。とはいえみんなすっかり元気に会話はできているらしい。そしてもう一人、行方不明になっていたアンブリッジはダンブルドアによって禁じられた森の中から見つけ出されたそうで、彼女も医務室で療養していた。しかしアンブリッジはショックを受けたせいで放心状態となり、何があったのかを誰にも一言も話していないらしかった。
何れの情報も『らしい』に留まっているのは、フォーラが医務室へ誰の見舞いにも行っていないからだった。彼女は今学年に入ってからハリーたちとは合意の上であえて距離を置いていた。そのためそれは何の違和感もないことだった。しかし彼女は正直言ってその建前よりも『行きたくない』という気持ちの方が勝っている気がした。それは数日前のもやもやとした燻られるような感情に結びついているように思った。
さて、それからほんの数日後の日曜日のこと。この日は大変天気が良く、生徒たちの殆どは城の外に出て試験から解放された休日を楽しんでいた。そのため城の中は静かだった。その静寂な城の玄関ホールでたった今、ドラコ、クラッブ、ゴイルの三人と、ハリーが偶然鉢合わせた。
互いを認識するや否やどちらも歩みが止まり、辺りに一層の静けさが漂った。聞こえるのは開け放した正面扉から流れ込む、校庭の楽し気な叫び声や笑い声、水の跳ねる音だけだった。
ドラコはハリーを見ていると、沸々とした怒りがあっという間に自分の身体を満たすのを感じた。こいつだけは許さない。そんな感情がひしめいた。ドラコはサッと辺りに誰もいないのを確認すると、ハリーに視線を戻して低い声で言った。
「ポッター、お前は死んだ」
「変だな」ハリーが軽く眉を吊り上げた。「それなら歩き回っちゃいない筈だけど……」
ハリーのその返答に、ドラコは今までに無いくらいの形相でハリーを睨みつけた。一方のハリーはその様子にどこか冷めた満足感を得たようだった。
「つけを払うことになるぞ」ドラコが殆ど囁くような低い声で言った。「僕がそうさせてやる。お前のせいで父上は……。だから僕が父上の仇を討ってやる」
しかしハリーは動じなかった。彼は皮肉たっぷりに言った。
「そうか。今度こそ怖くなったよ。お前たち三人に比べればヴォルデモート卿なんてほんの前座だったな。―――どうした?」
ドラコたち三人はその名前を聞いて一斉に衝撃を受けた顔をした。ハリーはその反応を鼻で笑った。
「あいつはお前の父親の友達だろう?怖くなんかないだろう?」
「何様だと思ってるんだ。ポッター」ドラコがクラッブとゴイルと共に、ハリーの方へ迫った。「見ていろ、僕はお前をやってやる。父上を牢獄なんかに入れさせるものか」
「もう入れたと思ったけどな」ハリーが言った。
「吸魂鬼がアズカバンを捨てた」ドラコは落ち着いて言った。「父上も、他のみんなも直ぐ出て来る……」
「ああ、きっとそうだろうな。それでも少なくとも今は、連中がどんなワルかってことが知れ渡った―――」
ハリーがそう言った瞬間、ドラコの手が杖に飛んだ。しかしハリーの方が早かった。ドラコの手がローブのポケットに入る前に、ハリーはもう杖を抜いていた。
「ポッター!」
不意に玄関ホールにスネイプの声が響き渡った。その後はスネイプの仲裁があり、聖マンゴを退院して戻って来たマクゴナガルが偶然その場に居合わせたドラコとハリーは決闘を続ける雰囲気ではなくなってしまった。
クラッブたちの恨みの理由は彼らの父親たちが捕まったことだけではなかった。日刊預言者新聞はこの一年、ハリーとダンブルドアを嘘つきの異常者扱いしていた。しかし魔法省にヴォルデモートが現れたのを多くの魔法使いや魔女が目撃したことで、二人の意見が正しかったことを報じたのだ。
フォーラは新聞を通じて、あの夜ハリーたちの身に何があったかほんの一部だけを把握した。そして彼女はその次の日にはスネイプから呼び出され、事の詳細を聞いたのだった。
ハリーはロンやハーマイオニー、ネビル、ジニー、レイブンクローのルーナ・ラブグッドと共に魔法省の神秘部に乗り込んだ。何故神秘部だったのか説明は伏せられたが―――その場所で彼らはシリウスを探したが、当然見つからなかった。そしてハリーたちを待っていたのは両手で数えられる程の死喰い人たちだった。それから戦闘が始まって間もなく、不死鳥の騎士団も現場に到着した。その戦いの結果、その場にいた死喰い人はルシウス含め全員拘束されたという。但し、騎士団員と共に応援に駆け付けたシリウス・ブラックの死を代償にして。
フォーラはスネイプからシリウスの死を聞いた時、当然哀しみ、そして涙を流した。特にハリーの心境を思うとやるせない気持ちになった。しかし彼女は実のところ、それ以外の感情も自身の心の奥底で感じ取っていた。それはまるで心臓を燻られるような感覚だった。
その感情の答えが出ないまま数日が過ぎた。魔法省に向かったハリーたち学生メンバーは、あの夜の戦い以降医務室での治療が続けられていた。とはいえみんなすっかり元気に会話はできているらしい。そしてもう一人、行方不明になっていたアンブリッジはダンブルドアによって禁じられた森の中から見つけ出されたそうで、彼女も医務室で療養していた。しかしアンブリッジはショックを受けたせいで放心状態となり、何があったのかを誰にも一言も話していないらしかった。
何れの情報も『らしい』に留まっているのは、フォーラが医務室へ誰の見舞いにも行っていないからだった。彼女は今学年に入ってからハリーたちとは合意の上であえて距離を置いていた。そのためそれは何の違和感もないことだった。しかし彼女は正直言ってその建前よりも『行きたくない』という気持ちの方が勝っている気がした。それは数日前のもやもやとした燻られるような感情に結びついているように思った。
さて、それからほんの数日後の日曜日のこと。この日は大変天気が良く、生徒たちの殆どは城の外に出て試験から解放された休日を楽しんでいた。そのため城の中は静かだった。その静寂な城の玄関ホールでたった今、ドラコ、クラッブ、ゴイルの三人と、ハリーが偶然鉢合わせた。
互いを認識するや否やどちらも歩みが止まり、辺りに一層の静けさが漂った。聞こえるのは開け放した正面扉から流れ込む、校庭の楽し気な叫び声や笑い声、水の跳ねる音だけだった。
ドラコはハリーを見ていると、沸々とした怒りがあっという間に自分の身体を満たすのを感じた。こいつだけは許さない。そんな感情がひしめいた。ドラコはサッと辺りに誰もいないのを確認すると、ハリーに視線を戻して低い声で言った。
「ポッター、お前は死んだ」
「変だな」ハリーが軽く眉を吊り上げた。「それなら歩き回っちゃいない筈だけど……」
ハリーのその返答に、ドラコは今までに無いくらいの形相でハリーを睨みつけた。一方のハリーはその様子にどこか冷めた満足感を得たようだった。
「つけを払うことになるぞ」ドラコが殆ど囁くような低い声で言った。「僕がそうさせてやる。お前のせいで父上は……。だから僕が父上の仇を討ってやる」
しかしハリーは動じなかった。彼は皮肉たっぷりに言った。
「そうか。今度こそ怖くなったよ。お前たち三人に比べればヴォルデモート卿なんてほんの前座だったな。―――どうした?」
ドラコたち三人はその名前を聞いて一斉に衝撃を受けた顔をした。ハリーはその反応を鼻で笑った。
「あいつはお前の父親の友達だろう?怖くなんかないだろう?」
「何様だと思ってるんだ。ポッター」ドラコがクラッブとゴイルと共に、ハリーの方へ迫った。「見ていろ、僕はお前をやってやる。父上を牢獄なんかに入れさせるものか」
「もう入れたと思ったけどな」ハリーが言った。
「吸魂鬼がアズカバンを捨てた」ドラコは落ち着いて言った。「父上も、他のみんなも直ぐ出て来る……」
「ああ、きっとそうだろうな。それでも少なくとも今は、連中がどんなワルかってことが知れ渡った―――」
ハリーがそう言った瞬間、ドラコの手が杖に飛んだ。しかしハリーの方が早かった。ドラコの手がローブのポケットに入る前に、ハリーはもう杖を抜いていた。
「ポッター!」
不意に玄関ホールにスネイプの声が響き渡った。その後はスネイプの仲裁があり、聖マンゴを退院して戻って来たマクゴナガルが偶然その場に居合わせたドラコとハリーは決闘を続ける雰囲気ではなくなってしまった。