24. I hope you are safe. (完)
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(それなら、ホグワーツ特急で家に戻った後のドラコは、どうなってしまうの?)
そう思うとフォーラはザワザワとした強烈な不安に駆られ、思わずドラコを強く抱き締め返した。
「ドラコ……ドラコ」
フォーラの頬を多くの涙が伝った。ドラコが今回父親という盾を失ったことで、彼のギリギリのところで保たれていた安全が崩れてしまったのでは?それによって今後ドラコがヴォルデモートと直接やり取りすることが増えてしまうかもしれない。そうなれば、ドラコは強制的に死喰い人としてのレールを敷かれることになるかもしれない……。
フォーラは考えが纏まらないせいで、そのように悪い方悪い方へと考えを巡らせてしまっていた。それによって心を乱されたせいで、彼女はドラコに掛ける続きの言葉を何も見つけられなかった。『大丈夫よ』だなんて無責任な言葉は安易に口に出せない。彼女は唯々、ドラコの背に廻した腕で彼をきつく抱き締め返すことしかできなかった。
ドラコはフォーラがそのように身体を震わせながらも自分を一生懸命抱擁し、涙を流していることを彼女の腕の中で間近に感じていた。
(フォーラ……僕のせいでこんなにも取り乱している……僕がこんな風に不安がっているから、弱い姿を見せているから……。フォーラはきっと僕ら一家を心から心配してくれているんだ。だから彼女はこんなにも涙を流している……)
ドラコはそんな風に回らない頭で考えながらフォーラを抱き締め続けていた。そして彼は考えを巡らせていくうちに、霞かかっていた頭の中を次第にハッキリとさせていった。
(そうだ、僕がフォーラを不安にさせてどうする。僕が安心させないでどうする?父上の失敗はもう起こってしまったことで取り消せない。それなら僕がしっかりするしかない。僕が父上のしようとしたことを、魔法族のあるべき姿を取り戻せばいい。そうすれば家の汚名は返上されるし、フォーラを不安にさせることもない。そして全てが上手くいった暁には、彼女は純血の確固たる地位の中で安心して過ごすことができる……)
「フォーラ、」
ドラコはそっとフォーラの肩を抱いて彼女から身体を離した。彼の顔は涙の跡が目立って目元が光っていたが、もう涙を流してはいなかった。彼はフォーラの濡れて曇った瞳を見つめた。
「僕や家族を心配してくれて、本当にありがとう」
ドラコは幾らか落ち着きを取り戻した声色をしていた。彼はフォーラの頬を伝っていた涙をそっと拭い、彼女の唇に弱いキスを一つ落とした。
「フォーラ、僕は……僕がやるべきは父上の仇を打つことだと、そう思う。父上を貶めた奴らがやろうとしていることは間違っている。だから僕は、必ず功績を上げて父上の汚名を返上するし、奴らに何が正しいかを分からせてやる。……そして何より君を今のように不安にさせずに済むように、魔法界が野蛮なマグルにこれ以上侵されないためにも、僕は僕のやり方で正しいことをする……」
「正しいこと……」
フォーラの呟きにドラコは小さく頷いた。
「ああ。僕はホグワーツから家に帰ったら、死喰い人になることを申し出る」
「!」フォーラは驚いて言葉を発することができなかった。
「君は、試験前の最後に僕とキスを交わした日に、争いごとは大人に任せて僕に傍にいてほしいと言った。僕の幸せを優先してほしいと言った。僕はあの日から自分の幸せが何なのか、自分がどうすべきかずっと悩んでいたし、君の言うとおりにすべきかとも思っていた。
だけど、今回のことでそれじゃ駄目だと気付かされた。僕の家族や君を守るには、僕の幸せを優先するには、目先の幸せを追いかけるだけじゃ駄目なんだ。奴らを討つことがどうしても必要だ」
「ドラコ……」
フォーラにはドラコの瞳から彼の怒りと意志の強さを感じ取ってしまった。きっと今彼に何を言おうとその考えは曲がることはない……そのように確信できた。死喰い人になってほしくないと彼女が心から願った人が、たった今、目の前で彼女の意志とは逆のことを宣言してしまった。
しかしフォーラにはドラコの決意を拒否し説得することはできなかった。そうしたが最後、きっとドラコは彼女に本心を閉ざしてしまうだろう。そうなればフォーラはドラコの懐に居続けられなくなり、今後いざ彼に危険が迫った時に助けられなくなってしまう。
「君は、どんな僕でも応援してくれる。そうなんだろう……?」
フォーラは過去、確かにそのようなことをドラコに伝えた。彼女はドラコの懇願するような瞳から目を背けたくて仕方が無かったが、しっかりと彼を見据えた。
(そんな風に聞いてくるなんて、狡いわ。貴方は私が貴方のお願いを聞いて、首を横に振れないのを分かっているんでしょう?)
そしてフォーラは心配の混ざった笑みを向けると、再び彼をきつく抱き締めた。
「大丈夫、大丈夫よ……。」
ドラコはフォーラのその言葉を肯定の意として受け取った。しかしフォーラは違った。ドラコの『応援してくれるか』という問いかけにイエスと回答できず、哀しみを噛み締めるように、自分に『大丈夫』だと言い聞かせて言葉逃れをするしかなかったのだった。
そう思うとフォーラはザワザワとした強烈な不安に駆られ、思わずドラコを強く抱き締め返した。
「ドラコ……ドラコ」
フォーラの頬を多くの涙が伝った。ドラコが今回父親という盾を失ったことで、彼のギリギリのところで保たれていた安全が崩れてしまったのでは?それによって今後ドラコがヴォルデモートと直接やり取りすることが増えてしまうかもしれない。そうなれば、ドラコは強制的に死喰い人としてのレールを敷かれることになるかもしれない……。
フォーラは考えが纏まらないせいで、そのように悪い方悪い方へと考えを巡らせてしまっていた。それによって心を乱されたせいで、彼女はドラコに掛ける続きの言葉を何も見つけられなかった。『大丈夫よ』だなんて無責任な言葉は安易に口に出せない。彼女は唯々、ドラコの背に廻した腕で彼をきつく抱き締め返すことしかできなかった。
ドラコはフォーラがそのように身体を震わせながらも自分を一生懸命抱擁し、涙を流していることを彼女の腕の中で間近に感じていた。
(フォーラ……僕のせいでこんなにも取り乱している……僕がこんな風に不安がっているから、弱い姿を見せているから……。フォーラはきっと僕ら一家を心から心配してくれているんだ。だから彼女はこんなにも涙を流している……)
ドラコはそんな風に回らない頭で考えながらフォーラを抱き締め続けていた。そして彼は考えを巡らせていくうちに、霞かかっていた頭の中を次第にハッキリとさせていった。
(そうだ、僕がフォーラを不安にさせてどうする。僕が安心させないでどうする?父上の失敗はもう起こってしまったことで取り消せない。それなら僕がしっかりするしかない。僕が父上のしようとしたことを、魔法族のあるべき姿を取り戻せばいい。そうすれば家の汚名は返上されるし、フォーラを不安にさせることもない。そして全てが上手くいった暁には、彼女は純血の確固たる地位の中で安心して過ごすことができる……)
「フォーラ、」
ドラコはそっとフォーラの肩を抱いて彼女から身体を離した。彼の顔は涙の跡が目立って目元が光っていたが、もう涙を流してはいなかった。彼はフォーラの濡れて曇った瞳を見つめた。
「僕や家族を心配してくれて、本当にありがとう」
ドラコは幾らか落ち着きを取り戻した声色をしていた。彼はフォーラの頬を伝っていた涙をそっと拭い、彼女の唇に弱いキスを一つ落とした。
「フォーラ、僕は……僕がやるべきは父上の仇を打つことだと、そう思う。父上を貶めた奴らがやろうとしていることは間違っている。だから僕は、必ず功績を上げて父上の汚名を返上するし、奴らに何が正しいかを分からせてやる。……そして何より君を今のように不安にさせずに済むように、魔法界が野蛮なマグルにこれ以上侵されないためにも、僕は僕のやり方で正しいことをする……」
「正しいこと……」
フォーラの呟きにドラコは小さく頷いた。
「ああ。僕はホグワーツから家に帰ったら、死喰い人になることを申し出る」
「!」フォーラは驚いて言葉を発することができなかった。
「君は、試験前の最後に僕とキスを交わした日に、争いごとは大人に任せて僕に傍にいてほしいと言った。僕の幸せを優先してほしいと言った。僕はあの日から自分の幸せが何なのか、自分がどうすべきかずっと悩んでいたし、君の言うとおりにすべきかとも思っていた。
だけど、今回のことでそれじゃ駄目だと気付かされた。僕の家族や君を守るには、僕の幸せを優先するには、目先の幸せを追いかけるだけじゃ駄目なんだ。奴らを討つことがどうしても必要だ」
「ドラコ……」
フォーラにはドラコの瞳から彼の怒りと意志の強さを感じ取ってしまった。きっと今彼に何を言おうとその考えは曲がることはない……そのように確信できた。死喰い人になってほしくないと彼女が心から願った人が、たった今、目の前で彼女の意志とは逆のことを宣言してしまった。
しかしフォーラにはドラコの決意を拒否し説得することはできなかった。そうしたが最後、きっとドラコは彼女に本心を閉ざしてしまうだろう。そうなればフォーラはドラコの懐に居続けられなくなり、今後いざ彼に危険が迫った時に助けられなくなってしまう。
「君は、どんな僕でも応援してくれる。そうなんだろう……?」
フォーラは過去、確かにそのようなことをドラコに伝えた。彼女はドラコの懇願するような瞳から目を背けたくて仕方が無かったが、しっかりと彼を見据えた。
(そんな風に聞いてくるなんて、狡いわ。貴方は私が貴方のお願いを聞いて、首を横に振れないのを分かっているんでしょう?)
そしてフォーラは心配の混ざった笑みを向けると、再び彼をきつく抱き締めた。
「大丈夫、大丈夫よ……。」
ドラコはフォーラのその言葉を肯定の意として受け取った。しかしフォーラは違った。ドラコの『応援してくれるか』という問いかけにイエスと回答できず、哀しみを噛み締めるように、自分に『大丈夫』だと言い聞かせて言葉逃れをするしかなかったのだった。