23.Snape's blood
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
フォーラは物陰に隠れてスネイプ姿の変身を解き、黒猫の姿に変身し直すと城の外に続く廊下を駆け抜けて行ったのだった。しかし彼女が校庭を抜けて禁じられた森の入り口付近まで足を進めた時、突如、彼女の片方の太腿の辺りが熱を帯びるのを感じた。
「?」
フォーラはその場に立ち止まると、周囲に誰もいないのを確認した上でアニメーガスの変身を解いた。そして先程熱を感じた辺り―――スカートのポケットに手を入れると、中からカサリという紙が擦れるような音が聞こえた。取り出してみると、そこには以前フレッドとジョージがクリスマス休暇の時に『変化自在術』をかけた羊皮紙の切れ端が折りたたまれて入っていた。
変化自在術はマスターのアイテムに変化を加えると一方のサブアイテムが熱を持ち、遠隔で同じ変化をさせられる魔法だ。ただし変化を共有できるのはマスターのみに限られる。しかしこの羊皮紙は特別で、サブの羊皮紙もマスターの機能を有していた。そのため過去にはフォーラとハーマイオニーはそれを使い、尋問官親衛隊の動向についてリアルタイムで筆談したことがあったのだ。
ハリーたちが組織したダンブルドア軍団が解散してから随分経つが、それから今までこの羊皮紙が使われることはなかった。フォーラは突然の連絡に戸惑いつつも、折りたたまれた羊皮紙の切れ端を開いた。するとそこには恐らくハリーの筆跡で走り書きがされていた。
『フォーラ、スネイプに伝えてほしい事がある。今、シリウスの命が危ないんだ。ヴォルデモートに捕まってる。僕らは事情があって禁じられた森から魔法省にシリウスを助けに行く。スネイプは自室で僕らが来るのを待っているだろうから、そのことを伝えてほしいんだ』
「えっ……!?」
その文章を受け取ったフォーラは、何度も文字を目で追った。
(シリウスさんが捕まった?そんな筈ないわ。だって彼はたった一時間前に、鏡越しにセブルスさんとお話していたじゃない。一体どういうことなの?それにハリーたちは今アンブリッジ先生の監視下にいるんじゃ……?本当に、一体全体何が起こっているの?)
その時フォーラは、先程アンブリッジの部屋でハリーが言っていた『あの人がパッドフットを捕まえた!』の意味をようやく理解した。あの人とはヴォルデモート、そしてパッドフットがシリウスを指すということを。
フォーラは兎に角急いで羊皮紙の文字を消失し、杖を使って返事を走り書きした。
『彼が捕まるなんて、そんな筈がないわ。一時間前にセブルスさんとシリウスさんは遠隔でお話をしていたのよ。クリーチャーが騎士団の何等かの情報を、マルフォイ家に漏らした可能性があると分かったから、その件で―――』
しかしフォーラがそこまで走り書きした時、不意に羊皮紙がジワッと水を染み込ませたように湿り気を帯び、文字を滲ませていった。仕舞いには羊皮紙全体が濡れて水が滴った。あまりにも突然のことだったが、恐らくハリーたちの方の羊皮紙に何かあったことは想像できた。フォーラはその羊皮紙が何か乾かされたり文字が浮かんだりするような変化を少しの間じっと待ったのだが、それ以降は何も様子が変わることはなかった。
(ああもう、本当に何が一体どうなっているの……!)
フォーラは黒猫姿で森の中を奥へと駆け進んでいた。するとその途中、ぬかるんだ土の上に無数のケンタウロスの蹄の跡や、人の靴の跡を発見した。まだ跡が新しいことから察するに、もしかするとハリーたちの物かもしれない。そう思って彼女はその靴跡を追いかけて行ったのだが、最終的に辿り着いたのは木々が開けた場所だった。足元に茂る草のせいで、頼りにしていた誰かの足跡の行方はもうすっかり分からなくなってしまった。
フォーラは手がかりなくその辺りを少しの間うろついた。すると程なくして奥の方に水たまりがあるのを偶然発見した。
「!」
フォーラは水たまりに一枚の羊皮紙の切れ端が落ちているのを見た。彼女は人の姿に戻ると、急いでその羊皮紙を拾い上げた。それは間違いなく彼女が既に持っていた物と同じ見た目をしていた。もしかするとハリーたちは何処かのタイミングでこの羊皮紙を落としてしまい、フォーラからのメッセージを見ることなく、もう既に何等かの手段でこの土地を離れてしまったのかもしれない。
「そんな……」
フォーラの考えが間違いでなければ、ハリーは間違った情報を掴んで行動している。いや、誰かに掴まされたと言った方が正しいかもしれない。そして恐らくハリーたちの行動を大人たちは誰も知らない可能性が高い。
フォーラは腕時計を見た。幸いにもスネイプが城を出てからもう直ぐ約束の二時間が経とうとしていた。
(セブルスさんが返って来たら一番に伝えないと……!)
フォーラは濡れた羊皮紙をポケットに突っ込むと再び猫の姿に変身し、ホグワーツの敷地の境界にある校門へと駆け出したのだった。
「?」
フォーラはその場に立ち止まると、周囲に誰もいないのを確認した上でアニメーガスの変身を解いた。そして先程熱を感じた辺り―――スカートのポケットに手を入れると、中からカサリという紙が擦れるような音が聞こえた。取り出してみると、そこには以前フレッドとジョージがクリスマス休暇の時に『変化自在術』をかけた羊皮紙の切れ端が折りたたまれて入っていた。
変化自在術はマスターのアイテムに変化を加えると一方のサブアイテムが熱を持ち、遠隔で同じ変化をさせられる魔法だ。ただし変化を共有できるのはマスターのみに限られる。しかしこの羊皮紙は特別で、サブの羊皮紙もマスターの機能を有していた。そのため過去にはフォーラとハーマイオニーはそれを使い、尋問官親衛隊の動向についてリアルタイムで筆談したことがあったのだ。
ハリーたちが組織したダンブルドア軍団が解散してから随分経つが、それから今までこの羊皮紙が使われることはなかった。フォーラは突然の連絡に戸惑いつつも、折りたたまれた羊皮紙の切れ端を開いた。するとそこには恐らくハリーの筆跡で走り書きがされていた。
『フォーラ、スネイプに伝えてほしい事がある。今、シリウスの命が危ないんだ。ヴォルデモートに捕まってる。僕らは事情があって禁じられた森から魔法省にシリウスを助けに行く。スネイプは自室で僕らが来るのを待っているだろうから、そのことを伝えてほしいんだ』
「えっ……!?」
その文章を受け取ったフォーラは、何度も文字を目で追った。
(シリウスさんが捕まった?そんな筈ないわ。だって彼はたった一時間前に、鏡越しにセブルスさんとお話していたじゃない。一体どういうことなの?それにハリーたちは今アンブリッジ先生の監視下にいるんじゃ……?本当に、一体全体何が起こっているの?)
その時フォーラは、先程アンブリッジの部屋でハリーが言っていた『あの人がパッドフットを捕まえた!』の意味をようやく理解した。あの人とはヴォルデモート、そしてパッドフットがシリウスを指すということを。
フォーラは兎に角急いで羊皮紙の文字を消失し、杖を使って返事を走り書きした。
『彼が捕まるなんて、そんな筈がないわ。一時間前にセブルスさんとシリウスさんは遠隔でお話をしていたのよ。クリーチャーが騎士団の何等かの情報を、マルフォイ家に漏らした可能性があると分かったから、その件で―――』
しかしフォーラがそこまで走り書きした時、不意に羊皮紙がジワッと水を染み込ませたように湿り気を帯び、文字を滲ませていった。仕舞いには羊皮紙全体が濡れて水が滴った。あまりにも突然のことだったが、恐らくハリーたちの方の羊皮紙に何かあったことは想像できた。フォーラはその羊皮紙が何か乾かされたり文字が浮かんだりするような変化を少しの間じっと待ったのだが、それ以降は何も様子が変わることはなかった。
(ああもう、本当に何が一体どうなっているの……!)
フォーラは黒猫姿で森の中を奥へと駆け進んでいた。するとその途中、ぬかるんだ土の上に無数のケンタウロスの蹄の跡や、人の靴の跡を発見した。まだ跡が新しいことから察するに、もしかするとハリーたちの物かもしれない。そう思って彼女はその靴跡を追いかけて行ったのだが、最終的に辿り着いたのは木々が開けた場所だった。足元に茂る草のせいで、頼りにしていた誰かの足跡の行方はもうすっかり分からなくなってしまった。
フォーラは手がかりなくその辺りを少しの間うろついた。すると程なくして奥の方に水たまりがあるのを偶然発見した。
「!」
フォーラは水たまりに一枚の羊皮紙の切れ端が落ちているのを見た。彼女は人の姿に戻ると、急いでその羊皮紙を拾い上げた。それは間違いなく彼女が既に持っていた物と同じ見た目をしていた。もしかするとハリーたちは何処かのタイミングでこの羊皮紙を落としてしまい、フォーラからのメッセージを見ることなく、もう既に何等かの手段でこの土地を離れてしまったのかもしれない。
「そんな……」
フォーラの考えが間違いでなければ、ハリーは間違った情報を掴んで行動している。いや、誰かに掴まされたと言った方が正しいかもしれない。そして恐らくハリーたちの行動を大人たちは誰も知らない可能性が高い。
フォーラは腕時計を見た。幸いにもスネイプが城を出てからもう直ぐ約束の二時間が経とうとしていた。
(セブルスさんが返って来たら一番に伝えないと……!)
フォーラは濡れた羊皮紙をポケットに突っ込むと再び猫の姿に変身し、ホグワーツの敷地の境界にある校門へと駆け出したのだった。