23.Snape's blood
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(アンブリッジ先生の尋問が終わった後でハリーがセブルスさんの部屋に来てくれさえすれば、彼を頼った理由が聞ける筈よね?)
「あら、何なの?どうして?」アンブリッジが訝し気に割って入って尋ねた。
「我輩からポッターに対しても、別件で罰則がありまして。戯言薬の材料を準備するという気の遠くなる作業を手伝ってもらうつもりなのです。こやつが我輩のレポート課題を一点提出していなかった件で」
スリザリン生から幾らか笑い声が聞こえた。フォーラはそのような嘘を言うしかない状況に、心の中でハリーに謝罪した。
アンブリッジはスネイプの言い分に眉をひそめたが、それ以上何も追及してこないところを見るに、ハリーが罰則を多く受けることを喜ぶことにしたのだろう。何せハリーとスネイプの仲が険悪なのは有名だったし、スネイプの様子からしても、二人が謎の『パッドフット』について情報交換することはないと結論付けたようだった。
「兎に角、アンブリッジ先生からの尋問が終わったら、我輩の部屋へ来なさい。必ず」
「……分かりました」
ハリーの返事を聞いたスネイプは、今度こそアンブリッジの部屋を後にしたのだった。
フォーラはスネイプ姿のまま彼の部屋まで戻ってきた。そして中に入るとその姿のまま深くソファに腰を落ち着けた。フォーラが壁掛け時計を見ると、本物のスネイプが部屋を出てからもう四十分強が経過していた。
(まさか予定よりも早くアンブリッジ先生と対面することになるなんて。とっても緊張したわ……。誰も私がセブルスさんじゃないとは思わなかったわよね?)
ところでフォーラは先程のハリーの発言がずっと気にかかっていた。
(パッドフットというのは騎士団に関係していたのかしら……。だけどそれなら、パッドフットという何か大事な存在が捕まったことを、シリウスさんがとっくに知っていてもおかしくなさそうなのに。だって、彼は騎士団員からの情報が即座に集まる本部にいるのよ?セブルスさんが鏡越しに話しかけた時のシリウスさんは、何か騎士団にとって大事なものが捕まったとか、そんな素振りもなく至って普通だったわ)
アンブリッジの目がある以上、詳しい話はハリーがここを訪れてから聞くしかない。ハリーがアンブリッジに反省の意をきちんと示しさえすれば、恐らく今から三十分以内にはここに来られるだろう。あのレベルの校則違反なら今直ぐ罰則は執り行われず、別途二週間の長く重い罰則期間がしっかり設けられるのが通例だ。フォーラはそのように考えていた。
しかし幾らハリーを待っても彼がこの部屋を訪れる気配はなかった。フォーラがこの部屋に戻ってからもうかれこれ三十分以上が経過していたのだが、部屋の前の廊下からは誰の足音も聞こえてこない。
(ハリーやみんなはまだアンブリッジ先生の部屋で拘束されているのかしら……)
何だか妙な不安を感じたフォーラはスネイプ姿のまま部屋を出て、再びアンブリッジの部屋の前に舞い戻った。アンブリッジには再訪を煙たがられてしまうだろうが、何だか妙な胸騒ぎがしたのだ。
フォーラはアンブリッジの部屋の扉にそっと耳をすませてみた。しかし先程ここを訪れた時と異なり、中からはハリーとアンブリッジが言い争う声は聞こえてこなかった。静かで、ほんの僅かにうめき声のようなものが聞こえる程度だ。
(うめき声?)
フォーラは躊躇いなく咄嗟にアンブリッジの部屋に続く扉のノブに手をかけた。幸い鍵はかかっておらず、彼女はスネイプの姿で中に押し入った。
「!」
そこでフォーラが見た光景は、先程まで生徒を拘束していた筈の尋問官親衛隊が全員、床に伸びて倒れている様だった。パンジーやドラコもそのようになっていたものだから、フォーラは慌てて友人たちの側に屈み込んだ。
「ドラコ!パンジー!ああ、クラッブとゴイルまで」
フォーラはスネイプの手で一番近くにいたパンジーの肩を抱きかかえ、彼女を起こすために頬の辺りを何度か軽く叩いた。すると少ししてパンジーが小さなうめき声と共にその瞳を開けた。
「うーん……あれ……スネイプ先生?私、一体どうしてこんなところに寝そべって……」
「大丈夫か。一体何があった?ポッターたちや校長がいないようだが?」
パンジーは意識が朦朧とする中、自分たちの身に何が起こったかを必死に思い出そうとした。そして彼女の断片的な記憶から分かったのは、ハリーとハーマイオニーがダンブルドアに頼まれて何か『武器』を作っていたこと。二人はその完成品を『禁じられた森』に隠していること。武器を確認するためにアンブリッジは二人に道案内をさせて部屋を出て行ったこと。そして、その後を追うように残りのロンたち『ダンブルドア軍団』が尋問官親衛隊と乱闘騒ぎを起こし、パンジーたちはダンブルドア軍団の誰かが放った失神呪文を浴びて倒れてしまったらしいことだった。
「武器……?……大体事態は把握した。我輩は他のメンバーも順に起こしていく。全員が起きて意識が落ち着いたら、全員で念のため医務室に向かいなさい」
「わ、分かりました」
そうしてスネイプ姿のフォーラは失神呪文の反対呪文にあたる『リナベイト、蘇生せよ』を倒れている友人たちに順に掛けていった。そうして彼らが順に意識を取り戻していくのを確認すると、フォーラはパンジーに「我輩はポッターらを追う」と言い残して部屋を後にしたのだった。
(パンジーは、ハリーとハーマイオニーが禁じられた森に向かったと言っていたけど……。それに武器って一体何?ハリーたちはアンブリッジ先生の暖炉を使って、ダンブルドア先生から頼まれたその武器の話を誰かとしていたのかしら?もしその武器が不死鳥の騎士団のために用意されたものだとしたら……。騎士団の反対勢力のアンブリッジ先生に見つかったが最後、ハリーたちはダンブルドア先生のように魔法省から反逆罪に問われてしまうんじゃ?それだともう罰則の域を軽く超えているわ。最悪の場合退学になってしまうかも……。
ハリーとハーマイオニーはアンブリッジ先生に杖を取り上げられていた筈だから、無抵抗で脅されているに違いないわ。もし私が向かうことで、アンブリッジ先生の記憶を弄って城の方へ戻るよう誘導できるなら……そうするしかないわよね?)
「あら、何なの?どうして?」アンブリッジが訝し気に割って入って尋ねた。
「我輩からポッターに対しても、別件で罰則がありまして。戯言薬の材料を準備するという気の遠くなる作業を手伝ってもらうつもりなのです。こやつが我輩のレポート課題を一点提出していなかった件で」
スリザリン生から幾らか笑い声が聞こえた。フォーラはそのような嘘を言うしかない状況に、心の中でハリーに謝罪した。
アンブリッジはスネイプの言い分に眉をひそめたが、それ以上何も追及してこないところを見るに、ハリーが罰則を多く受けることを喜ぶことにしたのだろう。何せハリーとスネイプの仲が険悪なのは有名だったし、スネイプの様子からしても、二人が謎の『パッドフット』について情報交換することはないと結論付けたようだった。
「兎に角、アンブリッジ先生からの尋問が終わったら、我輩の部屋へ来なさい。必ず」
「……分かりました」
ハリーの返事を聞いたスネイプは、今度こそアンブリッジの部屋を後にしたのだった。
フォーラはスネイプ姿のまま彼の部屋まで戻ってきた。そして中に入るとその姿のまま深くソファに腰を落ち着けた。フォーラが壁掛け時計を見ると、本物のスネイプが部屋を出てからもう四十分強が経過していた。
(まさか予定よりも早くアンブリッジ先生と対面することになるなんて。とっても緊張したわ……。誰も私がセブルスさんじゃないとは思わなかったわよね?)
ところでフォーラは先程のハリーの発言がずっと気にかかっていた。
(パッドフットというのは騎士団に関係していたのかしら……。だけどそれなら、パッドフットという何か大事な存在が捕まったことを、シリウスさんがとっくに知っていてもおかしくなさそうなのに。だって、彼は騎士団員からの情報が即座に集まる本部にいるのよ?セブルスさんが鏡越しに話しかけた時のシリウスさんは、何か騎士団にとって大事なものが捕まったとか、そんな素振りもなく至って普通だったわ)
アンブリッジの目がある以上、詳しい話はハリーがここを訪れてから聞くしかない。ハリーがアンブリッジに反省の意をきちんと示しさえすれば、恐らく今から三十分以内にはここに来られるだろう。あのレベルの校則違反なら今直ぐ罰則は執り行われず、別途二週間の長く重い罰則期間がしっかり設けられるのが通例だ。フォーラはそのように考えていた。
しかし幾らハリーを待っても彼がこの部屋を訪れる気配はなかった。フォーラがこの部屋に戻ってからもうかれこれ三十分以上が経過していたのだが、部屋の前の廊下からは誰の足音も聞こえてこない。
(ハリーやみんなはまだアンブリッジ先生の部屋で拘束されているのかしら……)
何だか妙な不安を感じたフォーラはスネイプ姿のまま部屋を出て、再びアンブリッジの部屋の前に舞い戻った。アンブリッジには再訪を煙たがられてしまうだろうが、何だか妙な胸騒ぎがしたのだ。
フォーラはアンブリッジの部屋の扉にそっと耳をすませてみた。しかし先程ここを訪れた時と異なり、中からはハリーとアンブリッジが言い争う声は聞こえてこなかった。静かで、ほんの僅かにうめき声のようなものが聞こえる程度だ。
(うめき声?)
フォーラは躊躇いなく咄嗟にアンブリッジの部屋に続く扉のノブに手をかけた。幸い鍵はかかっておらず、彼女はスネイプの姿で中に押し入った。
「!」
そこでフォーラが見た光景は、先程まで生徒を拘束していた筈の尋問官親衛隊が全員、床に伸びて倒れている様だった。パンジーやドラコもそのようになっていたものだから、フォーラは慌てて友人たちの側に屈み込んだ。
「ドラコ!パンジー!ああ、クラッブとゴイルまで」
フォーラはスネイプの手で一番近くにいたパンジーの肩を抱きかかえ、彼女を起こすために頬の辺りを何度か軽く叩いた。すると少ししてパンジーが小さなうめき声と共にその瞳を開けた。
「うーん……あれ……スネイプ先生?私、一体どうしてこんなところに寝そべって……」
「大丈夫か。一体何があった?ポッターたちや校長がいないようだが?」
パンジーは意識が朦朧とする中、自分たちの身に何が起こったかを必死に思い出そうとした。そして彼女の断片的な記憶から分かったのは、ハリーとハーマイオニーがダンブルドアに頼まれて何か『武器』を作っていたこと。二人はその完成品を『禁じられた森』に隠していること。武器を確認するためにアンブリッジは二人に道案内をさせて部屋を出て行ったこと。そして、その後を追うように残りのロンたち『ダンブルドア軍団』が尋問官親衛隊と乱闘騒ぎを起こし、パンジーたちはダンブルドア軍団の誰かが放った失神呪文を浴びて倒れてしまったらしいことだった。
「武器……?……大体事態は把握した。我輩は他のメンバーも順に起こしていく。全員が起きて意識が落ち着いたら、全員で念のため医務室に向かいなさい」
「わ、分かりました」
そうしてスネイプ姿のフォーラは失神呪文の反対呪文にあたる『リナベイト、蘇生せよ』を倒れている友人たちに順に掛けていった。そうして彼らが順に意識を取り戻していくのを確認すると、フォーラはパンジーに「我輩はポッターらを追う」と言い残して部屋を後にしたのだった。
(パンジーは、ハリーとハーマイオニーが禁じられた森に向かったと言っていたけど……。それに武器って一体何?ハリーたちはアンブリッジ先生の暖炉を使って、ダンブルドア先生から頼まれたその武器の話を誰かとしていたのかしら?もしその武器が不死鳥の騎士団のために用意されたものだとしたら……。騎士団の反対勢力のアンブリッジ先生に見つかったが最後、ハリーたちはダンブルドア先生のように魔法省から反逆罪に問われてしまうんじゃ?それだともう罰則の域を軽く超えているわ。最悪の場合退学になってしまうかも……。
ハリーとハーマイオニーはアンブリッジ先生に杖を取り上げられていた筈だから、無抵抗で脅されているに違いないわ。もし私が向かうことで、アンブリッジ先生の記憶を弄って城の方へ戻るよう誘導できるなら……そうするしかないわよね?)