23.Snape's blood
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「もう少し調合していただけるわよね?」アンブリッジは憤慨しているのを隠すように、その声色をますます甘ったるく女の子っぽいものにした。
「勿論」スネイプ姿のフォーラはフフンと唇を歪めた。ここは自信を持って受け答えしなければ。フォーラはこれまで生きてきた中で一・二を争う程、今日まで熱心に誰よりも魔法薬学を勉強してきて本当に良かったと思った。アンブリッジの魔法薬に関する質問に上手く答えられそうだ。
「成熟するまでに満月から満月までを要するので、大体一か月で準備できますな」
(セブルスさんが今調合中のものが無ければ、の話だけれど)
「一か月?」アンブリッジがガマガエルのように膨れてがなり立てた。「一か月?わたくしは今夜必要ですのよ、スネイプ!たった今、ポッターが私の暖炉を使って誰か知りませんが、誰かと連絡していたのを見つけたんです!」
「ほう?」スネイプはハリーを向いて微かな興味を示す素振りを見せた。「まあ、驚くにはあたりませんな。ポッターはこれまでも、あまり校則に従う様子を見せたことがありませんので」
スネイプ姿のフォーラは、何故かハリーが必死にこちらを見つめていることを不思議に思った。それも穴が開くほどに。スネイプが彼に嫌われているからだろうか?それとも、自分がスネイプではないことを見破られているのだろうか?
「こいつを尋問したいのよ!こいつに無理にでも真実を吐かせる薬がほしいのっ!」アンブリッジが怒ったように叫んだ。
「すでに申し上げたとおり」スネイプがすらりと答えた。「真実薬の在庫はもうありません。ポッターに毒薬を呑ませたいのなら用意はできますが、これもお勧めはしません。校長がそうなさりたいとすれば、我輩としては、お気持ちはよく分かると申し上げておきましょう」
スネイプが再びハリーに視線を戻すと、相変わらずハリーはじっとこちらを見ていた。スネイプはアンブリッジに向き直って続けた。
「我輩から今直ぐお渡しできるものと言えば……貴女に調合を頼まれていた気つけ薬ならお持ちしましたとも」
スネイプがアンブリッジに薬の入った瓶を幾つか手渡すと、彼女はそれをひったくるようにして受け取った。
「あなたはわざと手伝おうとしないのです!」アンブリッジが金切り声を上げ、スネイプは眉を僅かに吊り上げてアンブリッジを見た。「もっとましかと思ったのに。ルシウス・マルフォイが、いつもあなたのことをとても高く評価していたのに!」
「お力になれず申し訳ない」
スネイプ姿のフォーラは、そっと辺りを見渡した。尋問官親衛隊は相変わらずこの侵入劇のメンバーを拘束していた。パンジーがジニーを抑えるのに悪戦苦闘している。それにクラッブが捕えているネビルが息苦しそうだ。
「貴女の評価を落としてしまったことは残念ですな。……ポッターに真実を吐かせるのは無理ですが、我輩の方で他のメンバーの罰則を手伝うことならできます。六人も罰則対象がいたのではさぞ骨が折れるでしょう。我輩の方でも罰則の用意ができる故、校長の評価を取り戻すためにお手伝いしたいのですが?」
その提案に、ネビルが僅かに顔を引きつらせたのがフォーラの視界の端に確認できた。ネビルは相変わらずスネイプを恐れているのだろう。そしてハリーの方は相変わらずフォーラの方を見ているようだった。
(何人かこの部屋から私と一緒に連れ立ってしまえば、あとはスリザリン生もネビルたちも解放して好きに過ごさせてあげられるのだけど)
しかしフォーラの思惑も虚しく、アンブリッジはその提案を断った。彼女はお望みの魔法薬が手に入らならなかったことで相当ご機嫌斜めのようだった。
「いいえ、結構です。あなたは早くここを出て行って頂戴!真実薬が無いならこれ以上あなたに用はありません」
「……承知しました」
パンジーたち友人をこの部屋から解放できないのは残念だが、フォーラはこれ以上アンブリッジに意見すべきではないと判断した。ここで食い下がってはスネイプの評価が一層悪くなる可能性がある。
そもそも何よりハリーたち三名に至っては、理由こそ不明だが教師個人の部屋に侵入するという最も重い校則違反の一つをおかしてしまったわけだ。その現場をアンブリッジ本人に抑えられてしまった以上、最早フォーラの手ではお手上げだった。残念だが素直に罰則を受けてもらう以外に選択肢はないだろう。
そうしてスネイプ姿のフォーラが諦めて部屋を出ようとドアノブに手を掛けたその時、不意に背後からハリーの叫ぶ声が聞こえた。
「あの人がパッドフットを捕まえた!」
スネイプがハリーたちの振り返り、じっとハリーを見た。何だか先程からハリーはこちらを見てばかりいる気がする。
「パッドフットとは何なの?何が隠されているの?スネイプ、こいつは何を言っているの?」
「……さっぱり分かりませんな」
フォーラは本当にハリーが何を言っているか分からなかった。何せ彼女はシリウスのあだ名がパッドフットであることを聞かされたことがなかった。加えて、ハリーがヴォルデモートの観た景色を覗けることも知らされていなかった。それは、幾らフォーラが騎士団に近い存在だとはいえスリザリン生であるが故に、ハリーたちの中で無意識の内に彼女と一線を画している部分があったからだった。
(パッドフット……?人?それとも何かの生き物かしら?きっと多分、ハリーがこの部屋に忍び込んだことと関係はある筈だけど……。ハリーは暖炉の向こうで話した誰かからその情報を得たのかしら。それにどうしてセブルスさんを頼るの?
疑問だらけだけど兎に角今は、アンブリッジ先生に怪しまれないことを優先しなくちゃ。……そうだわ)
「ポッター、幾らアンブリッジ先生からの罰を受けたくないとはいえ、わけの分からんことを喚き散らすのはやめたまえ。そういったことをしてほしい時は、君に戯言薬を飲用してもらおう。……ああ、戯言薬といえば。ポッター。アンブリッジ先生の尋問が終わり次第、例の件で我輩の部屋へ来なさい」
「!」それを聞いたハリーがピクリと反応した。
「勿論」スネイプ姿のフォーラはフフンと唇を歪めた。ここは自信を持って受け答えしなければ。フォーラはこれまで生きてきた中で一・二を争う程、今日まで熱心に誰よりも魔法薬学を勉強してきて本当に良かったと思った。アンブリッジの魔法薬に関する質問に上手く答えられそうだ。
「成熟するまでに満月から満月までを要するので、大体一か月で準備できますな」
(セブルスさんが今調合中のものが無ければ、の話だけれど)
「一か月?」アンブリッジがガマガエルのように膨れてがなり立てた。「一か月?わたくしは今夜必要ですのよ、スネイプ!たった今、ポッターが私の暖炉を使って誰か知りませんが、誰かと連絡していたのを見つけたんです!」
「ほう?」スネイプはハリーを向いて微かな興味を示す素振りを見せた。「まあ、驚くにはあたりませんな。ポッターはこれまでも、あまり校則に従う様子を見せたことがありませんので」
スネイプ姿のフォーラは、何故かハリーが必死にこちらを見つめていることを不思議に思った。それも穴が開くほどに。スネイプが彼に嫌われているからだろうか?それとも、自分がスネイプではないことを見破られているのだろうか?
「こいつを尋問したいのよ!こいつに無理にでも真実を吐かせる薬がほしいのっ!」アンブリッジが怒ったように叫んだ。
「すでに申し上げたとおり」スネイプがすらりと答えた。「真実薬の在庫はもうありません。ポッターに毒薬を呑ませたいのなら用意はできますが、これもお勧めはしません。校長がそうなさりたいとすれば、我輩としては、お気持ちはよく分かると申し上げておきましょう」
スネイプが再びハリーに視線を戻すと、相変わらずハリーはじっとこちらを見ていた。スネイプはアンブリッジに向き直って続けた。
「我輩から今直ぐお渡しできるものと言えば……貴女に調合を頼まれていた気つけ薬ならお持ちしましたとも」
スネイプがアンブリッジに薬の入った瓶を幾つか手渡すと、彼女はそれをひったくるようにして受け取った。
「あなたはわざと手伝おうとしないのです!」アンブリッジが金切り声を上げ、スネイプは眉を僅かに吊り上げてアンブリッジを見た。「もっとましかと思ったのに。ルシウス・マルフォイが、いつもあなたのことをとても高く評価していたのに!」
「お力になれず申し訳ない」
スネイプ姿のフォーラは、そっと辺りを見渡した。尋問官親衛隊は相変わらずこの侵入劇のメンバーを拘束していた。パンジーがジニーを抑えるのに悪戦苦闘している。それにクラッブが捕えているネビルが息苦しそうだ。
「貴女の評価を落としてしまったことは残念ですな。……ポッターに真実を吐かせるのは無理ですが、我輩の方で他のメンバーの罰則を手伝うことならできます。六人も罰則対象がいたのではさぞ骨が折れるでしょう。我輩の方でも罰則の用意ができる故、校長の評価を取り戻すためにお手伝いしたいのですが?」
その提案に、ネビルが僅かに顔を引きつらせたのがフォーラの視界の端に確認できた。ネビルは相変わらずスネイプを恐れているのだろう。そしてハリーの方は相変わらずフォーラの方を見ているようだった。
(何人かこの部屋から私と一緒に連れ立ってしまえば、あとはスリザリン生もネビルたちも解放して好きに過ごさせてあげられるのだけど)
しかしフォーラの思惑も虚しく、アンブリッジはその提案を断った。彼女はお望みの魔法薬が手に入らならなかったことで相当ご機嫌斜めのようだった。
「いいえ、結構です。あなたは早くここを出て行って頂戴!真実薬が無いならこれ以上あなたに用はありません」
「……承知しました」
パンジーたち友人をこの部屋から解放できないのは残念だが、フォーラはこれ以上アンブリッジに意見すべきではないと判断した。ここで食い下がってはスネイプの評価が一層悪くなる可能性がある。
そもそも何よりハリーたち三名に至っては、理由こそ不明だが教師個人の部屋に侵入するという最も重い校則違反の一つをおかしてしまったわけだ。その現場をアンブリッジ本人に抑えられてしまった以上、最早フォーラの手ではお手上げだった。残念だが素直に罰則を受けてもらう以外に選択肢はないだろう。
そうしてスネイプ姿のフォーラが諦めて部屋を出ようとドアノブに手を掛けたその時、不意に背後からハリーの叫ぶ声が聞こえた。
「あの人がパッドフットを捕まえた!」
スネイプがハリーたちの振り返り、じっとハリーを見た。何だか先程からハリーはこちらを見てばかりいる気がする。
「パッドフットとは何なの?何が隠されているの?スネイプ、こいつは何を言っているの?」
「……さっぱり分かりませんな」
フォーラは本当にハリーが何を言っているか分からなかった。何せ彼女はシリウスのあだ名がパッドフットであることを聞かされたことがなかった。加えて、ハリーがヴォルデモートの観た景色を覗けることも知らされていなかった。それは、幾らフォーラが騎士団に近い存在だとはいえスリザリン生であるが故に、ハリーたちの中で無意識の内に彼女と一線を画している部分があったからだった。
(パッドフット……?人?それとも何かの生き物かしら?きっと多分、ハリーがこの部屋に忍び込んだことと関係はある筈だけど……。ハリーは暖炉の向こうで話した誰かからその情報を得たのかしら。それにどうしてセブルスさんを頼るの?
疑問だらけだけど兎に角今は、アンブリッジ先生に怪しまれないことを優先しなくちゃ。……そうだわ)
「ポッター、幾らアンブリッジ先生からの罰を受けたくないとはいえ、わけの分からんことを喚き散らすのはやめたまえ。そういったことをしてほしい時は、君に戯言薬を飲用してもらおう。……ああ、戯言薬といえば。ポッター。アンブリッジ先生の尋問が終わり次第、例の件で我輩の部屋へ来なさい」
「!」それを聞いたハリーがピクリと反応した。