23.Snape's blood
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アンブリッジがハリーを捕まえた頃、ドラコはアンブリッジの部屋に近い廊下に辿り着いたところだった。本当ならフォーラと湖の畔でもう少し過ごしていられる筈だったのに。彼がそのようなことを考えながら歩みを進めていくと、何人かの尋問官親衛隊の声が騒がしく聞こえてきた。ドラコが更に近付いてみると、そこには親衛隊に拘束されたグリフィンドールのネビルとジニー、レイブンクローのルーナ・ラブグッドの姿があった。
ドラコが親衛隊から話を聞く限りでは、何やらネビルたちがアンブリッジの部屋の周りで毒ガスが出ているとかいう嘘を周囲の生徒に吹聴して人払いをしていたらしい。
(何故そんな程度の低いことを?)
親衛隊から逃れようとするネビルやジニーを大人しくさせるのに悪戦苦闘しつつ、ドラコと一行はアンブリッジの部屋にようやく到着した。すると今度は彼の目にハリー、ロン、ハーマイオニーが先程とは別の親衛隊員に拘束されている様子が映った。
「あらドラコ、合流できたのね」アンブリッジがさも嬉しそうに声をかけた。
アンブリッジが言うには、ハリーたちは今しがた、彼女の部屋の暖炉の『煙突飛行ネットワーク』を使い、ホグワーツの外界の何処かと連絡を取っていたらしい。ドラコはその状況に理解が追い付かなかったが、兎に角ハリーがアンブリッジに髪を掴まれ、杖を取り上げられている状況を自業自得だと思った。何ならドラコは『ザ・クィブラー』の雑誌でハリーがドラコの父を死喰い人だとリークした件で恨みが強かった分、ハリーの様をいい気味だとすら思った。
「僕―――ファイアボルトを取り返そうとしたんだ!」ハリーがかすれ声で言った。
「嘘つきめ」アンブリッジがハリーの頭をガタガタと揺らした。そして彼女はハリーたちに、一体誰と話をしようとしていたかをしつこく問い詰め始めた。
「お前が誰かと話すことが大事だったのは明白だわ。アルバス・ダンブルドアだったの?それとも半人間のハグリッド?ミネルバ・マクゴナガルじゃないわね。まだ弱っていて誰とも話せないと聞いていますしね」
しかしどれだけ時間をかけて尋問しても、ハリーたち三人は全く口を割りそうになかった。
痺れを切らしたアンブリッジは机の引き出しから急いで小瓶を一つ手に取った。しかしその中身が空であることに気が付くと、癇癪を起した後でドラコに向き直った。
「今からスネイプ先生の所へいって、彼をここへ呼んできて頂戴」
「ええ、分かりました」
ドラコはその足でアンブリッジの部屋を出て、地下牢にあるスネイプの部屋を目指した。その道中、ドラコは玄関ホールの辺りで何か長いマントがはためくような音とコツコツという足音を聞いた気がした。しかしその時そばには誰もいなかったものだから、気のせいだと思い直してスネイプの部屋へと急いだのだった。
ドラコはスネイプの部屋の前に到着すると、扉にノックすると共に中へ声をかけた。
「スネイプ先生、いらっしゃいますか?アンブリッジ先生が急ぎでお呼びなんです」
すると、程なくしてドアノブがゆっくりと下がり扉が開いた。中から出てきたスネイプはじっとドラコを見降ろして尋ねた。
「ドラコ……急ぎとは一体?」
「先生、お忙しいところすみません。今、アンブリッジ先生の部屋でポッターとその仲間を捕えているんです。なんでもあいつが、アンブリッジ先生の部屋の暖炉の『煙突飛行ネットワーク』を使って、誰かと連絡を取ろうとしていたみたいで。……それで、今ポッターたちを尋問しているんですが、中々口を割らなくて。それでアンブリッジ先生がスネイプ先生を頼るに至ったんです」
「ほう?ポッターが?」
スネイプもといフォーラは、一体全体ハリーがどうしてそんなことをしたのかと考えを巡らせた。まさかダンブルドアと連絡でも取ろうとしたのだろうか?……否、それよりも今は、想定よりも早くアンブリッジと対峙することになったという事実にどう対処すべきか考えなくては。
それにしても、いつものフォーラにとってドラコは見上げる対象の筈なのに、今は逆に彼に見上げられている。それが何だか不思議であると共に、フォーラの目には普段よりもドラコが何だか可愛く映った。
「……スネイプ先生?もしかして、何か取り込み中でしたか?」
スネイプの姿をしたフォーラはドラコの伺うような声で我に返った。兎に角今は、現地に向かってみるのが自然かつ最善な流れだろう。
「問題ない。ちょうどアンブリッジ校長に渡す薬があったことを思い出したのだ」フォーラはスネイプの口調を保って返答した。「校長の部屋へ向かおう」
ドラコとスネイプ姿のフォーラが目的の部屋へ入ると、そこにいた例のメンバーが一斉に二人の方を見た。
「校長、お呼びですかな」
スネイプは揉み合っている尋問官親衛隊と捕虜の攻防を、全くの無関心の表情を作って見回しながら言った。その中にパンジーの姿があり、ジニーを拘束しているのが目に入った。今頃本来なら、パンジーはルニーと共に試験明けの時間を楽しんでいる筈だったろうに。
「ああ、スネイプ先生」アンブリッジがニコーッと笑って立ち上がった。「真実薬をまた一瓶欲しいのですが、成るべく早くお願いしたいの」アンブリッジは机の上にある空の小瓶を指差しながら言った。
「真実薬?」スネイプはそのように尋ねながら、一瞬で様々なことに考えを巡らせた。
(『また』一瓶欲しい?……つまり、以前にもセブルスさんは真実薬を渡したことがあるということ?それもあの瓶に入る量を使い切ったですって?一度に使うのは少量で良い筈なのに。それに、そんなにも沢山誰かを尋問する機会があったとでも言うの?……これは、一か八かだわ……)
「……つまり、以前お渡しした分は、もう使い切ってしまったということですかな」
スネイプはすだれのようなねっとりした黒髪を通して、アンブリッジを冷静に観察しながら続けた。するとアンブリッジの顔が赤くなった。フォーラは自分の質問が適切だったことに一安心した。
「まさか、その瓶の分を全部使ってしまったというわけですか。三滴で十分だと、我輩はもしかしてお伝えしていなかったでしょうか」
(セブルスさんがそんな大事なことを伝えない筈がないと思うのだけど……)
ドラコが親衛隊から話を聞く限りでは、何やらネビルたちがアンブリッジの部屋の周りで毒ガスが出ているとかいう嘘を周囲の生徒に吹聴して人払いをしていたらしい。
(何故そんな程度の低いことを?)
親衛隊から逃れようとするネビルやジニーを大人しくさせるのに悪戦苦闘しつつ、ドラコと一行はアンブリッジの部屋にようやく到着した。すると今度は彼の目にハリー、ロン、ハーマイオニーが先程とは別の親衛隊員に拘束されている様子が映った。
「あらドラコ、合流できたのね」アンブリッジがさも嬉しそうに声をかけた。
アンブリッジが言うには、ハリーたちは今しがた、彼女の部屋の暖炉の『煙突飛行ネットワーク』を使い、ホグワーツの外界の何処かと連絡を取っていたらしい。ドラコはその状況に理解が追い付かなかったが、兎に角ハリーがアンブリッジに髪を掴まれ、杖を取り上げられている状況を自業自得だと思った。何ならドラコは『ザ・クィブラー』の雑誌でハリーがドラコの父を死喰い人だとリークした件で恨みが強かった分、ハリーの様をいい気味だとすら思った。
「僕―――ファイアボルトを取り返そうとしたんだ!」ハリーがかすれ声で言った。
「嘘つきめ」アンブリッジがハリーの頭をガタガタと揺らした。そして彼女はハリーたちに、一体誰と話をしようとしていたかをしつこく問い詰め始めた。
「お前が誰かと話すことが大事だったのは明白だわ。アルバス・ダンブルドアだったの?それとも半人間のハグリッド?ミネルバ・マクゴナガルじゃないわね。まだ弱っていて誰とも話せないと聞いていますしね」
しかしどれだけ時間をかけて尋問しても、ハリーたち三人は全く口を割りそうになかった。
痺れを切らしたアンブリッジは机の引き出しから急いで小瓶を一つ手に取った。しかしその中身が空であることに気が付くと、癇癪を起した後でドラコに向き直った。
「今からスネイプ先生の所へいって、彼をここへ呼んできて頂戴」
「ええ、分かりました」
ドラコはその足でアンブリッジの部屋を出て、地下牢にあるスネイプの部屋を目指した。その道中、ドラコは玄関ホールの辺りで何か長いマントがはためくような音とコツコツという足音を聞いた気がした。しかしその時そばには誰もいなかったものだから、気のせいだと思い直してスネイプの部屋へと急いだのだった。
ドラコはスネイプの部屋の前に到着すると、扉にノックすると共に中へ声をかけた。
「スネイプ先生、いらっしゃいますか?アンブリッジ先生が急ぎでお呼びなんです」
すると、程なくしてドアノブがゆっくりと下がり扉が開いた。中から出てきたスネイプはじっとドラコを見降ろして尋ねた。
「ドラコ……急ぎとは一体?」
「先生、お忙しいところすみません。今、アンブリッジ先生の部屋でポッターとその仲間を捕えているんです。なんでもあいつが、アンブリッジ先生の部屋の暖炉の『煙突飛行ネットワーク』を使って、誰かと連絡を取ろうとしていたみたいで。……それで、今ポッターたちを尋問しているんですが、中々口を割らなくて。それでアンブリッジ先生がスネイプ先生を頼るに至ったんです」
「ほう?ポッターが?」
スネイプもといフォーラは、一体全体ハリーがどうしてそんなことをしたのかと考えを巡らせた。まさかダンブルドアと連絡でも取ろうとしたのだろうか?……否、それよりも今は、想定よりも早くアンブリッジと対峙することになったという事実にどう対処すべきか考えなくては。
それにしても、いつものフォーラにとってドラコは見上げる対象の筈なのに、今は逆に彼に見上げられている。それが何だか不思議であると共に、フォーラの目には普段よりもドラコが何だか可愛く映った。
「……スネイプ先生?もしかして、何か取り込み中でしたか?」
スネイプの姿をしたフォーラはドラコの伺うような声で我に返った。兎に角今は、現地に向かってみるのが自然かつ最善な流れだろう。
「問題ない。ちょうどアンブリッジ校長に渡す薬があったことを思い出したのだ」フォーラはスネイプの口調を保って返答した。「校長の部屋へ向かおう」
ドラコとスネイプ姿のフォーラが目的の部屋へ入ると、そこにいた例のメンバーが一斉に二人の方を見た。
「校長、お呼びですかな」
スネイプは揉み合っている尋問官親衛隊と捕虜の攻防を、全くの無関心の表情を作って見回しながら言った。その中にパンジーの姿があり、ジニーを拘束しているのが目に入った。今頃本来なら、パンジーはルニーと共に試験明けの時間を楽しんでいる筈だったろうに。
「ああ、スネイプ先生」アンブリッジがニコーッと笑って立ち上がった。「真実薬をまた一瓶欲しいのですが、成るべく早くお願いしたいの」アンブリッジは机の上にある空の小瓶を指差しながら言った。
「真実薬?」スネイプはそのように尋ねながら、一瞬で様々なことに考えを巡らせた。
(『また』一瓶欲しい?……つまり、以前にもセブルスさんは真実薬を渡したことがあるということ?それもあの瓶に入る量を使い切ったですって?一度に使うのは少量で良い筈なのに。それに、そんなにも沢山誰かを尋問する機会があったとでも言うの?……これは、一か八かだわ……)
「……つまり、以前お渡しした分は、もう使い切ってしまったということですかな」
スネイプはすだれのようなねっとりした黒髪を通して、アンブリッジを冷静に観察しながら続けた。するとアンブリッジの顔が赤くなった。フォーラは自分の質問が適切だったことに一安心した。
「まさか、その瓶の分を全部使ってしまったというわけですか。三滴で十分だと、我輩はもしかしてお伝えしていなかったでしょうか」
(セブルスさんがそんな大事なことを伝えない筈がないと思うのだけど……)