19. You are very special to me: 3rd volume
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そのほんの一分程前、ドラコを含む尋問官親衛隊のパンジーやクラッブ、ゴイル、そして彼らと偶然居合わせたルニーは、玄関ホールの方に向かって廊下を走っていた。
「ねえ、どこまで走るつもりなの?」ルニーが息を切らして駆け足しながらドラコに尋ねた。
「あの双子は玄関ホールの方に行った筈だ!他の親衛隊はもう一つの廊下から向かってる。あいつら、ホールで挟み撃ちにしてやる」
それに続くようにして、パンジーが疲れと呆れを含んだ声色で言った。
「廊下に沼地を作っちゃうなんて、あの双子は本当に馬鹿なことをしたわ。きっとアンブリッジ先生の痛い仕打ちが待ってるわよ……廊下が所々水浸しなのだって、きっとウィーズリーのせいよ。あっ、ほらそこ水溜まりよ、気を付けて!
ねえルニー、息切れが凄いけど、無理せず後から歩いて来たっていいのよ?私たちは仕事で仕方なく追いかけてるだけなんだから」
「それだと困るのよ、パンジーと一緒にいるわ!一人でいたら、いつ花火に襲われるかもしれないし、うっかり何かの罠に嵌っても誰に助けてもらえっていうの?」
ルニーがそのように軽く叫ぶと共に、一行は廊下の曲がり角を玄関ホールの方向に折れた。その時、突如大きなロケット花火が目の前を横切った。先頭を走っていたパンジーとドラコはその花火を避ける為、反射的にその場に急停止した。それだから、後方に続いていた友人たちは前につんのめりそうになった。
「も~~!あの花火、本当に危ないったら……」ルニーが勢い余ってパンジーの背中にぶつけた鼻をさすりながら文句を言った。そして彼女は顔を上げたと同時に、何かに気付いたようだった。
「え―――あれって」
全員の視線の先では、そう遠くない位置にある地下牢に続く階段から、フォーラが廊下に飛び出すように現れたところだった。廊下を飛ぶ幾つかのロケット花火から生徒たちが嬉々として逃げ走る中、フォーラは花火に目もくれず、何かに怯えるように階段がある方をサッと振り返っていた。そして彼女が数回周囲を見渡した瞬間、彼女の頭上にポルターガイストのピーブズが現れたのだ。
「!!」
ドラコを含めその場にいたフォーラの友人らは全員、ピーブズの出現に驚きの眼差しを向けた。そしてピーブズはフォーラの頭上で、彼が両腕に下げていた二つのバケツを傾けようとしていた―――その間髪入れず訪れた光景に、フォーラの友人ら全員が思わずハッと息を呑んだ。フォーラはピーブズの行動にまだ気付いていない。
「―――ッフォーラ、あ、あぶな―――」
やっとの思いでパンジーが音を発したその時、彼女の隣から、何かが物凄い速さでフォーラの方へ飛び出した。フォーラの友人らはあまりの速さに一瞬何が起こったか分からずにいた―――そして、それはドラコが全速力でフォーラに向かって駆け出した証拠だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
「えっ、ドラコ!?」
ドラコには、ルニーの驚きの声など届かなかった。ドラコはフォーラの方へ廊下をひた走りながら、ズボンのベルトに挿していた杖をピーブズの方へ向けた。
(プロテゴ(盾の呪文)も防水呪文もここからじゃフォーラに届かない、それなら―――)
「イモビラス!動くな!」
ドラコが呪文を放った瞬間、フォーラとピーブズは彼が駆けて来ることに気が付き、驚きの表情を見せた。そしてドラコの呪文の光はピーブズに向かって直進した。しかしピーブズは間一髪のところでその呪文をひらりと避けたではないか。そしてそのポルターガイストはバケツを大きく傾けながら、ドラコに愉快な笑みを向けたのだった。
フォーラはそれと殆ど同時にドラコの呪文が向かった方向―――彼女の頭上をサッと見上げた。彼女はまさか自分の真上で、もう殆どバケツに入った大量の水が落ち始めているとは思いもしなかった。驚きのあまり彼女の目には、その水がまるでスローモーションのごとく映ったが、もう杖をかまえる暇など残されていなかった。
「フォーラ!!」
ドラコはその脚を止めることなくフォーラの名前を叫ぶと共に地面を蹴り、そのままの勢いで彼女を抱きとめて進行方向へ倒れこむように飛んだ。その間ドラコは自身の身体が地面側になるよう仰向けに身体を捻り、一か八かでピーブズに向かって杖を振っていた。
(プロテゴ!守れ!)
ドラコが無意識に全ての意識を集中させ、強い意志で素早く振った杖からは、呪文を唱えるよりも早く一瞬にして半透明の盾が現れ、完全に水しぶきを阻害した。彼はフォーラを守ろうとするあまり、知らず知らずの内に無言呪文を成し遂げていた。そしてそれとほぼ同時にドラコはフォーラを抱えたまま、背中を地面に打つようにしてドッと倒れこんだのだった。
「うっ!」
倒れた衝撃と同時にドラコとフォーラの声が聞こえ、ほぼ同時にすぐ近くでバケツの水が全て床に落ちる音も聞こえた。ドラコとフォーラはその場に横たわったまま静止した。そして直ぐにフォーラが上体を起こすと急いで彼の上から退き、その傍らに座ったまま、焦りと心配を帯びた表情でドラコの顔を覗き込んだ。
「ど、ドラコ……!」
この一連の出来事があまりにも一瞬で、パンジーたちはその場から動けずにいた。しかしハッと我に帰ると、彼女らはそれを皮切りにワッとピーブズの方へ走り、ピーブズを数多の呪文で追いたてたり、水たまりを消失させたりした。
フォーラの友人らはピーブズが不機嫌そうに玄関ホールの方向へ消えていったのを確認すると、そのまま急いでドラコとフォーラが倒れている場所に駆け寄り、二人の安否を確認した。
「二人とも、大丈夫か?」
クラッブが慌てて尋ねると、フォーラが不安を隠しきれない様子で彼を見上げた。
「わ、私は大丈夫だけど、ドラコが―――」
「ねえ、どこまで走るつもりなの?」ルニーが息を切らして駆け足しながらドラコに尋ねた。
「あの双子は玄関ホールの方に行った筈だ!他の親衛隊はもう一つの廊下から向かってる。あいつら、ホールで挟み撃ちにしてやる」
それに続くようにして、パンジーが疲れと呆れを含んだ声色で言った。
「廊下に沼地を作っちゃうなんて、あの双子は本当に馬鹿なことをしたわ。きっとアンブリッジ先生の痛い仕打ちが待ってるわよ……廊下が所々水浸しなのだって、きっとウィーズリーのせいよ。あっ、ほらそこ水溜まりよ、気を付けて!
ねえルニー、息切れが凄いけど、無理せず後から歩いて来たっていいのよ?私たちは仕事で仕方なく追いかけてるだけなんだから」
「それだと困るのよ、パンジーと一緒にいるわ!一人でいたら、いつ花火に襲われるかもしれないし、うっかり何かの罠に嵌っても誰に助けてもらえっていうの?」
ルニーがそのように軽く叫ぶと共に、一行は廊下の曲がり角を玄関ホールの方向に折れた。その時、突如大きなロケット花火が目の前を横切った。先頭を走っていたパンジーとドラコはその花火を避ける為、反射的にその場に急停止した。それだから、後方に続いていた友人たちは前につんのめりそうになった。
「も~~!あの花火、本当に危ないったら……」ルニーが勢い余ってパンジーの背中にぶつけた鼻をさすりながら文句を言った。そして彼女は顔を上げたと同時に、何かに気付いたようだった。
「え―――あれって」
全員の視線の先では、そう遠くない位置にある地下牢に続く階段から、フォーラが廊下に飛び出すように現れたところだった。廊下を飛ぶ幾つかのロケット花火から生徒たちが嬉々として逃げ走る中、フォーラは花火に目もくれず、何かに怯えるように階段がある方をサッと振り返っていた。そして彼女が数回周囲を見渡した瞬間、彼女の頭上にポルターガイストのピーブズが現れたのだ。
「!!」
ドラコを含めその場にいたフォーラの友人らは全員、ピーブズの出現に驚きの眼差しを向けた。そしてピーブズはフォーラの頭上で、彼が両腕に下げていた二つのバケツを傾けようとしていた―――その間髪入れず訪れた光景に、フォーラの友人ら全員が思わずハッと息を呑んだ。フォーラはピーブズの行動にまだ気付いていない。
「―――ッフォーラ、あ、あぶな―――」
やっとの思いでパンジーが音を発したその時、彼女の隣から、何かが物凄い速さでフォーラの方へ飛び出した。フォーラの友人らはあまりの速さに一瞬何が起こったか分からずにいた―――そして、それはドラコが全速力でフォーラに向かって駆け出した証拠だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
「えっ、ドラコ!?」
ドラコには、ルニーの驚きの声など届かなかった。ドラコはフォーラの方へ廊下をひた走りながら、ズボンのベルトに挿していた杖をピーブズの方へ向けた。
(プロテゴ(盾の呪文)も防水呪文もここからじゃフォーラに届かない、それなら―――)
「イモビラス!動くな!」
ドラコが呪文を放った瞬間、フォーラとピーブズは彼が駆けて来ることに気が付き、驚きの表情を見せた。そしてドラコの呪文の光はピーブズに向かって直進した。しかしピーブズは間一髪のところでその呪文をひらりと避けたではないか。そしてそのポルターガイストはバケツを大きく傾けながら、ドラコに愉快な笑みを向けたのだった。
フォーラはそれと殆ど同時にドラコの呪文が向かった方向―――彼女の頭上をサッと見上げた。彼女はまさか自分の真上で、もう殆どバケツに入った大量の水が落ち始めているとは思いもしなかった。驚きのあまり彼女の目には、その水がまるでスローモーションのごとく映ったが、もう杖をかまえる暇など残されていなかった。
「フォーラ!!」
ドラコはその脚を止めることなくフォーラの名前を叫ぶと共に地面を蹴り、そのままの勢いで彼女を抱きとめて進行方向へ倒れこむように飛んだ。その間ドラコは自身の身体が地面側になるよう仰向けに身体を捻り、一か八かでピーブズに向かって杖を振っていた。
(プロテゴ!守れ!)
ドラコが無意識に全ての意識を集中させ、強い意志で素早く振った杖からは、呪文を唱えるよりも早く一瞬にして半透明の盾が現れ、完全に水しぶきを阻害した。彼はフォーラを守ろうとするあまり、知らず知らずの内に無言呪文を成し遂げていた。そしてそれとほぼ同時にドラコはフォーラを抱えたまま、背中を地面に打つようにしてドッと倒れこんだのだった。
「うっ!」
倒れた衝撃と同時にドラコとフォーラの声が聞こえ、ほぼ同時にすぐ近くでバケツの水が全て床に落ちる音も聞こえた。ドラコとフォーラはその場に横たわったまま静止した。そして直ぐにフォーラが上体を起こすと急いで彼の上から退き、その傍らに座ったまま、焦りと心配を帯びた表情でドラコの顔を覗き込んだ。
「ど、ドラコ……!」
この一連の出来事があまりにも一瞬で、パンジーたちはその場から動けずにいた。しかしハッと我に帰ると、彼女らはそれを皮切りにワッとピーブズの方へ走り、ピーブズを数多の呪文で追いたてたり、水たまりを消失させたりした。
フォーラの友人らはピーブズが不機嫌そうに玄関ホールの方向へ消えていったのを確認すると、そのまま急いでドラコとフォーラが倒れている場所に駆け寄り、二人の安否を確認した。
「二人とも、大丈夫か?」
クラッブが慌てて尋ねると、フォーラが不安を隠しきれない様子で彼を見上げた。
「わ、私は大丈夫だけど、ドラコが―――」