19. You are very special to me: 3rd volume
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「フォーラ、お前の考えはよく分かった」
それを聞いたフォーラは顔をパッと明るくさせ、スネイプを見た。スネイプはそんな彼女を制した。
「術を試すことを許可したわけではない。いいかフォーラ、先ずはふくろう試験が終わる約二か月後まで、この本を我輩に預けたまえ」
「えっ?それは―――」
「この本に罠や危険の類がないか調べる為だ。それに『ポリジュースの変身』とかいう眉唾の呪文についても、致命的な欠陥がないか調べる必要がある。今ざっと手順を見る限り、あまりにも闇の魔術の系統としか考えられん」
スネイプはフォーラが本を取り上げられるのだとショックの表情を浮かべているのを見て、一呼吸置いてから言葉を続けた。
「もし、本や術に何も身に危険が生じるような仕掛けが組み込まれてなければ―――、試しにマグルの医療機関から、マグルの血を取って来てやる」
「えっ……」フォーラの表情が驚きで固まったものだから、スネイプは眉間に皺を寄せた。
「不満か?この我輩が、聞き捨てならん内容についてお前のために随分譲歩したと思うが」
「いっいいえ!不満なんて、寧ろありがとうございます、私、てっきり完全に反対されるものだと……。」
「言っておくが、我輩の血は到底やるつもりはない」スネイプがピシャリと言った。「それに、マグルの血を与えるのはあくまで安全が確認された場合だ。覚えておけ」
「はい、それでも構いません。ありがとうございます!術が使えるか確認できるだけでも、有難いことです。」
フォーラの期待に満ちた瞳にスネイプは盛大なため息をついた。彼女は闇の魔術の恐ろしさを到底理解できていない。だからこのような表情を見せるのだ。学生時代というのはどの魔法使いや魔女も、多かれ少なかれ、闇の魔術に魅了されるのはよくあることだが、本来あってはならないことだ。
その一方で、スネイプは彼女の気持ちが痛いほど分かるからこそ譲歩してしまった。もし万が一彼女の両親がこのことを知ったら、スネイプが彼らに絶縁されるのが目に見えているというのに。スネイプは自分自身に呆れた。
「それはそうと、お前がそんな話をするから面談時間が伸びてしまった。今日はお前が最後の生徒だったからよかったものの。一先ず我輩が選んだ職業の資料には目を通しておきたまえ」
スネイプが杖を一振りして幾つかのパンフレットをまとめると、それをフォーラの膝の上に浮かせた。
「はい、分かりまし―――」
フォーラが冊子の束を受け取りながらそのように声を発した時、言葉を言い切る前に上階の遠くの方からドーンという物音が聞こえた。フォーラとスネイプは何事かと互いに顔を見合わせた。
「……何だか、聞き覚えのある音ですね……?」
フォーラが恐る恐るそのように尋ねると、スネイプは眉間の皺を濃くして面倒臭そうにゆったりと立ち上がり、出入口の方へと向かって行った。
「面談は終わりだ。我輩は上階へ行く」
スネイプと共にフォーラが一階に辿り着くと、事の全貌が見えてきた。生徒たちは叫び声を上げながら廊下を逃げ回っていたのだ。派手な花火がいつかのように廊下中を飛び回っては生徒を追いかけている。ただ、生徒たちの声は悲鳴というよりは、幾らかこの状況を楽しんでいるように聞こえた気がした。
加えて今回は、時折全身水浸しの生徒が逃げ惑う姿も目にするではないか。
スネイプは生徒らが花火から逃げるために目の前を横切ったのを視線で追った後、相変わらず眉間の皺を深く刻んだまま、呆れの色が濃い表情でため息をついた。
「ほとぼりが冷めるまで、ここに隠れていなさい」
スネイプはそう言って、今登ってきた階段の数段下の辺りを指差した。そして彼は先程玄関ホールの方へ横切っていった生徒たちを花火から解放するため、フォーラをその場に残して足早に立ち去ってしまったのだった。
残されたフォーラはスネイプの言いつけ通り、暫くその場に身を潜めていた。廊下は相変わらず幾つかの花火や生徒がバラバラと行き交っていた。フォーラから見て、何やら生徒たちは花火などによって玄関ホールの方に誘導されているような気もしたが―――しかしフォーラがそれらに気を取られている時間は長くなかった。突然、不意に、彼女の背後から誰かの声がしたのだ。
「ハァイ!そんなところで突っ立ってどうしたのかな?」
フォーラがビクリと身体を跳ねさせて声の方を振り返ると、なんとそこにはポルターガイストのピーブズがいた。彼は石壁から上半身だけを真横に突き出して、フォーラに軽快かつ悪巧みするような笑顔を振り撒いていたのだ。ピーブズと言えば、道化師の格好で誰彼構わず悪戯を仕掛ける、幽霊のような混沌とした存在であることは城中の常識だ。彼は両手にそれぞれ大きなバケツを一つずつ、彼自身の身体と垂直に―――つまりバケツの底が床と並行になるように持っていた。しかも中には大量の水が入っているではないか。
「……!!!」
フォーラはピーブズが自分の真後ろに現れていたことに随分驚いて、はくはくと口を動かした。彼女は突如身の危険が迫ったことに身動きが取れず一瞬固まった後、すぐさまピーブズから逃げるように階段を数段上がって廊下に飛び出た。
フォーラが反射的にサッと再び後ろを振り返って杖を構えると、目の前を生徒が花火から逃げるために玄関ホールの方へ横切ったのを境に、ピーブズは先程いた場所から姿を消していた。
「えっ!?い、いないわ。」
フォーラは視線を前後左右に走らせた―――。
それを聞いたフォーラは顔をパッと明るくさせ、スネイプを見た。スネイプはそんな彼女を制した。
「術を試すことを許可したわけではない。いいかフォーラ、先ずはふくろう試験が終わる約二か月後まで、この本を我輩に預けたまえ」
「えっ?それは―――」
「この本に罠や危険の類がないか調べる為だ。それに『ポリジュースの変身』とかいう眉唾の呪文についても、致命的な欠陥がないか調べる必要がある。今ざっと手順を見る限り、あまりにも闇の魔術の系統としか考えられん」
スネイプはフォーラが本を取り上げられるのだとショックの表情を浮かべているのを見て、一呼吸置いてから言葉を続けた。
「もし、本や術に何も身に危険が生じるような仕掛けが組み込まれてなければ―――、試しにマグルの医療機関から、マグルの血を取って来てやる」
「えっ……」フォーラの表情が驚きで固まったものだから、スネイプは眉間に皺を寄せた。
「不満か?この我輩が、聞き捨てならん内容についてお前のために随分譲歩したと思うが」
「いっいいえ!不満なんて、寧ろありがとうございます、私、てっきり完全に反対されるものだと……。」
「言っておくが、我輩の血は到底やるつもりはない」スネイプがピシャリと言った。「それに、マグルの血を与えるのはあくまで安全が確認された場合だ。覚えておけ」
「はい、それでも構いません。ありがとうございます!術が使えるか確認できるだけでも、有難いことです。」
フォーラの期待に満ちた瞳にスネイプは盛大なため息をついた。彼女は闇の魔術の恐ろしさを到底理解できていない。だからこのような表情を見せるのだ。学生時代というのはどの魔法使いや魔女も、多かれ少なかれ、闇の魔術に魅了されるのはよくあることだが、本来あってはならないことだ。
その一方で、スネイプは彼女の気持ちが痛いほど分かるからこそ譲歩してしまった。もし万が一彼女の両親がこのことを知ったら、スネイプが彼らに絶縁されるのが目に見えているというのに。スネイプは自分自身に呆れた。
「それはそうと、お前がそんな話をするから面談時間が伸びてしまった。今日はお前が最後の生徒だったからよかったものの。一先ず我輩が選んだ職業の資料には目を通しておきたまえ」
スネイプが杖を一振りして幾つかのパンフレットをまとめると、それをフォーラの膝の上に浮かせた。
「はい、分かりまし―――」
フォーラが冊子の束を受け取りながらそのように声を発した時、言葉を言い切る前に上階の遠くの方からドーンという物音が聞こえた。フォーラとスネイプは何事かと互いに顔を見合わせた。
「……何だか、聞き覚えのある音ですね……?」
フォーラが恐る恐るそのように尋ねると、スネイプは眉間の皺を濃くして面倒臭そうにゆったりと立ち上がり、出入口の方へと向かって行った。
「面談は終わりだ。我輩は上階へ行く」
スネイプと共にフォーラが一階に辿り着くと、事の全貌が見えてきた。生徒たちは叫び声を上げながら廊下を逃げ回っていたのだ。派手な花火がいつかのように廊下中を飛び回っては生徒を追いかけている。ただ、生徒たちの声は悲鳴というよりは、幾らかこの状況を楽しんでいるように聞こえた気がした。
加えて今回は、時折全身水浸しの生徒が逃げ惑う姿も目にするではないか。
スネイプは生徒らが花火から逃げるために目の前を横切ったのを視線で追った後、相変わらず眉間の皺を深く刻んだまま、呆れの色が濃い表情でため息をついた。
「ほとぼりが冷めるまで、ここに隠れていなさい」
スネイプはそう言って、今登ってきた階段の数段下の辺りを指差した。そして彼は先程玄関ホールの方へ横切っていった生徒たちを花火から解放するため、フォーラをその場に残して足早に立ち去ってしまったのだった。
残されたフォーラはスネイプの言いつけ通り、暫くその場に身を潜めていた。廊下は相変わらず幾つかの花火や生徒がバラバラと行き交っていた。フォーラから見て、何やら生徒たちは花火などによって玄関ホールの方に誘導されているような気もしたが―――しかしフォーラがそれらに気を取られている時間は長くなかった。突然、不意に、彼女の背後から誰かの声がしたのだ。
「ハァイ!そんなところで突っ立ってどうしたのかな?」
フォーラがビクリと身体を跳ねさせて声の方を振り返ると、なんとそこにはポルターガイストのピーブズがいた。彼は石壁から上半身だけを真横に突き出して、フォーラに軽快かつ悪巧みするような笑顔を振り撒いていたのだ。ピーブズと言えば、道化師の格好で誰彼構わず悪戯を仕掛ける、幽霊のような混沌とした存在であることは城中の常識だ。彼は両手にそれぞれ大きなバケツを一つずつ、彼自身の身体と垂直に―――つまりバケツの底が床と並行になるように持っていた。しかも中には大量の水が入っているではないか。
「……!!!」
フォーラはピーブズが自分の真後ろに現れていたことに随分驚いて、はくはくと口を動かした。彼女は突如身の危険が迫ったことに身動きが取れず一瞬固まった後、すぐさまピーブズから逃げるように階段を数段上がって廊下に飛び出た。
フォーラが反射的にサッと再び後ろを振り返って杖を構えると、目の前を生徒が花火から逃げるために玄関ホールの方へ横切ったのを境に、ピーブズは先程いた場所から姿を消していた。
「えっ!?い、いないわ。」
フォーラは視線を前後左右に走らせた―――。