19. You are very special to me: 3rd volume
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「我輩から言えるのは」スネイプはフォーラから視線を外して言葉を続けた。「ドラコが安全な状態であることは間違いない。そして彼が何かお前に隠し事をしているのだとしても、それは彼の安全が壊されることとは何の関係もないだろう……つまり、ドラコの個人的な考えは、我輩の知るところではない」
スネイプはドラコ自身の考えをフォーラに話さないで欲しいと懇願されていた。スネイプの白を切るような回答に、フォーラは少々不服な様子だった。スネイプは有無を言わさず話題を切り替えた。
「次にその本の変身術のことだが。そのような都合のいい魔法が世に出回っていないということは、結局その程度の眉唾ということでは?それに少量とは言えない量の血を必要とする時点で、それはもう闇の魔術で間違いない。……この本のことは他の誰かに話したのか?」
「いいえ、誰にも。セブルスさんが初めてです。」
「この本のことはこれ以上誰にも伝えるな。友人だけでなく、騎士団員にも、君のご両親にも。周りに妙な心配を与え、あらぬ誤解を生みかねん」
「セブルスさんとの秘密にすることについては、分かりました……。ですが、どうしてもこの術を試すことは許されないでしょうか?」
フォーラの質問に、スネイプは呆れた声で否定した。
「何故そんなにもその魔法に執着する?得体の知れない呪いが仕組まれている可能性だってある。そもそも先程お前が話していたように、恐らくこの著者以外、誰も成し遂げたことのない魔法なのだろう?
それにドラコを何とかしたいなら、他にもっと現実的な方法を探す方が賢明だ。ほぼ負けに近いギャンブルをしていることくらい、賢い君なら分かる筈だろう」
フォーラはスネイプの問いかけに、何と言葉を伝えれば良いか迷っている様子だった。
「こんなこと、信じてもらえるとは思っていないんですが……。私、この本の著者が、どうしても嘘を書いているとは思えないんです。」
フォーラはスネイプが肩眉を吊り上げて続きを促すのを見た。彼からは、真っ当な根拠があるなら言ってみろという威圧感があった。
「その、私はこの本から流れる魔力のようなものに導かれて、この本を禁書の棚から見つけ出しました。今も常にその微弱な力をこの本から感じます。セブルスさんは、どうですか?」
「魔力……いや、そのようなものは一切感じない」
「やっぱりそうなのですね。マダム・ピンスに貸し出しを受けた時も、周囲の友人からも、この本について特に何も言われませんでした。恐らくどういうわけか、多分……私にしか感じ取れない魔力の可能性があるかと。
それに……その力は何というか、私の身体にとっても馴染んでいる気がするんです。」
スネイプは『そんな馬鹿な』と言いたげな表情をフォーラに向けた。彼女がスネイプの立場でも、同じようなことを思っただろう。
「それだけではないんです。
この本を図書室で見つけた時、私は先程してみたように本にレベリオの呪文をかけ、本の中からは文字が現れました。そしてこの本を借りる為、白紙に戻した状態でマダム・ピンスに差し出したんです。
彼女もひょんなことからこの本に偶然の同じ呪文をかけました。だけど、その時この本はびくともしなかった。」
スネイプは食い入るようにフォーラを見ていた。彼女も真っすぐスネイプを見つめて言葉を続けた。
「本が本来の姿になった時は、まるで私の魔力が本と調和したような、鍵の役割を果たしたような……そんな感覚でした。
現に先程セブルスさんの目の前で『レべリオ』を唱えた時だって、白紙のページに現れた文字を見たでしょう?『私の期待に応えられる魔力を持ったあなた。私を見つけてくれてありがとう。』と……。そのことから考えても……」
「この本の著者が、もしかするとお前の血縁かもしれんということか」
「未だ分かりません……。だって父様と母様からは、私がマグルの両親から生まれたと教えられました。それに生みの両親のお墓には、エメリア・スイッチと異なる苗字が刻まれていましたから……。
ただ、エメリアは二百年も前に名を馳せた方のようですから、何かがきっかけになっていたとしたら、私と血のつながりがないとは完全には言い切れないのかも。
それに、このページを見てください。」
そう言ってフォーラがスネイプに開いて見せたページには、初老の魔女の写真があった。写真の中の彼女は、相変わらず居心地悪そうに視線を何処かに向けた後、こちらを見て作り笑いをしていた。
「誰かに似ていると思いませんか……?」
スネイプはエメリアの写真を暫く眺めた後で、不意にフォーラの方へ視線を向けた。
「我輩には―――……まさか、どういうわけかお前に幾らか似ているように見えるが」
「そうなんです、私も同じことを感じました。これこそ本当にただの偶然かもしれませんが……。ただ、私も彼女程ではないにしろ、変身術が周囲の人たちより得意です。そして偶然にも、私はこの本の鍵を開ける権限を持っていた。あまりにも偶然が重なり過ぎています。」
スネイプは一連の話によって、何故フォーラがエメリアの本に書かれた変身術を習得したいと言い出したのか、とっくに合点がいっていた。彼女はドラコのためにエメリアの術を習得したいのに加え、純粋な変身術への興味、そしてフォーラ自身のルーツを知ることが出来るかもしれないという期待を感じていたのだ。
「……」
スネイプは少々思案した。フォーラの意志は十分に理解できる。しかし彼女が習得しようとしている闇の魔術が危険を伴う可能性は捨てきれない。ただ、もし術が上手くいけば、彼女が卒業して騎士団に入団した時、スネイプにとって有力な戦力となることは間違いないだろう……。
スネイプはドラコ自身の考えをフォーラに話さないで欲しいと懇願されていた。スネイプの白を切るような回答に、フォーラは少々不服な様子だった。スネイプは有無を言わさず話題を切り替えた。
「次にその本の変身術のことだが。そのような都合のいい魔法が世に出回っていないということは、結局その程度の眉唾ということでは?それに少量とは言えない量の血を必要とする時点で、それはもう闇の魔術で間違いない。……この本のことは他の誰かに話したのか?」
「いいえ、誰にも。セブルスさんが初めてです。」
「この本のことはこれ以上誰にも伝えるな。友人だけでなく、騎士団員にも、君のご両親にも。周りに妙な心配を与え、あらぬ誤解を生みかねん」
「セブルスさんとの秘密にすることについては、分かりました……。ですが、どうしてもこの術を試すことは許されないでしょうか?」
フォーラの質問に、スネイプは呆れた声で否定した。
「何故そんなにもその魔法に執着する?得体の知れない呪いが仕組まれている可能性だってある。そもそも先程お前が話していたように、恐らくこの著者以外、誰も成し遂げたことのない魔法なのだろう?
それにドラコを何とかしたいなら、他にもっと現実的な方法を探す方が賢明だ。ほぼ負けに近いギャンブルをしていることくらい、賢い君なら分かる筈だろう」
フォーラはスネイプの問いかけに、何と言葉を伝えれば良いか迷っている様子だった。
「こんなこと、信じてもらえるとは思っていないんですが……。私、この本の著者が、どうしても嘘を書いているとは思えないんです。」
フォーラはスネイプが肩眉を吊り上げて続きを促すのを見た。彼からは、真っ当な根拠があるなら言ってみろという威圧感があった。
「その、私はこの本から流れる魔力のようなものに導かれて、この本を禁書の棚から見つけ出しました。今も常にその微弱な力をこの本から感じます。セブルスさんは、どうですか?」
「魔力……いや、そのようなものは一切感じない」
「やっぱりそうなのですね。マダム・ピンスに貸し出しを受けた時も、周囲の友人からも、この本について特に何も言われませんでした。恐らくどういうわけか、多分……私にしか感じ取れない魔力の可能性があるかと。
それに……その力は何というか、私の身体にとっても馴染んでいる気がするんです。」
スネイプは『そんな馬鹿な』と言いたげな表情をフォーラに向けた。彼女がスネイプの立場でも、同じようなことを思っただろう。
「それだけではないんです。
この本を図書室で見つけた時、私は先程してみたように本にレベリオの呪文をかけ、本の中からは文字が現れました。そしてこの本を借りる為、白紙に戻した状態でマダム・ピンスに差し出したんです。
彼女もひょんなことからこの本に偶然の同じ呪文をかけました。だけど、その時この本はびくともしなかった。」
スネイプは食い入るようにフォーラを見ていた。彼女も真っすぐスネイプを見つめて言葉を続けた。
「本が本来の姿になった時は、まるで私の魔力が本と調和したような、鍵の役割を果たしたような……そんな感覚でした。
現に先程セブルスさんの目の前で『レべリオ』を唱えた時だって、白紙のページに現れた文字を見たでしょう?『私の期待に応えられる魔力を持ったあなた。私を見つけてくれてありがとう。』と……。そのことから考えても……」
「この本の著者が、もしかするとお前の血縁かもしれんということか」
「未だ分かりません……。だって父様と母様からは、私がマグルの両親から生まれたと教えられました。それに生みの両親のお墓には、エメリア・スイッチと異なる苗字が刻まれていましたから……。
ただ、エメリアは二百年も前に名を馳せた方のようですから、何かがきっかけになっていたとしたら、私と血のつながりがないとは完全には言い切れないのかも。
それに、このページを見てください。」
そう言ってフォーラがスネイプに開いて見せたページには、初老の魔女の写真があった。写真の中の彼女は、相変わらず居心地悪そうに視線を何処かに向けた後、こちらを見て作り笑いをしていた。
「誰かに似ていると思いませんか……?」
スネイプはエメリアの写真を暫く眺めた後で、不意にフォーラの方へ視線を向けた。
「我輩には―――……まさか、どういうわけかお前に幾らか似ているように見えるが」
「そうなんです、私も同じことを感じました。これこそ本当にただの偶然かもしれませんが……。ただ、私も彼女程ではないにしろ、変身術が周囲の人たちより得意です。そして偶然にも、私はこの本の鍵を開ける権限を持っていた。あまりにも偶然が重なり過ぎています。」
スネイプは一連の話によって、何故フォーラがエメリアの本に書かれた変身術を習得したいと言い出したのか、とっくに合点がいっていた。彼女はドラコのためにエメリアの術を習得したいのに加え、純粋な変身術への興味、そしてフォーラ自身のルーツを知ることが出来るかもしれないという期待を感じていたのだ。
「……」
スネイプは少々思案した。フォーラの意志は十分に理解できる。しかし彼女が習得しようとしている闇の魔術が危険を伴う可能性は捨てきれない。ただ、もし術が上手くいけば、彼女が卒業して騎士団に入団した時、スネイプにとって有力な戦力となることは間違いないだろう……。