19. 特別な君③
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「こんなこと、頷いてもらえる筈がないんですが……。私としてはこの本の著者が、どうしても嘘を書いているようには思えないんです。」
スネイプが肩眉を吊り上げて続きを促した。その表情は、真っ当な根拠があるなら言ってみろという威圧感でいっぱいだった。
「その、私は禁書の棚に流れていた微弱な魔力のようなものに導かれて、この本を手に取りました。今も常にその弱い力をこの本から感じます。セブルスさんはどうですか?」
「魔力……いや、そのようなものは一切感じない」
「やっぱりそうなのですね。マダム・ピンスに貸し出しをしていただいた時も、周囲の友人からも、この本について特に何も言及されませんでしたから。恐らくどういうわけか、多分……現状は私にしか感じ取れない魔力の可能性があるかと。それに、その力は何というべきか、私の身体にとっても馴染んでいる気がするんです。」
スネイプはそんな馬鹿なと言いたげにフォーラを見た。一方の彼女は、自分が彼の立場でも同じことを思っただろうと感じた。
「それだけではないんです。この本を図書室で見つけた時、私は試しに先程のとおり暴露呪文を掛け、隠されていた記述を浮かび上がらせました。そして元の状態に戻してから、本を借りるためにマダム・ピンスに差し出したんです。その際に彼女も偶然同じ呪文を掛けましたが、今度はびくとも変化しませんでした。」
スネイプはまるで不思議なものを見るかのようにフォーラを見つめ、彼女の方もまっすぐ彼を見つめ返した。
「本が本来の姿を現した時は、まるで私の魔力が本と調和したような、鍵の役割を果たしたような……そんな感覚でした。現に先程、セブルスさんの目の前で暴露呪文を唱えた後に一瞬現れたメッセージをご覧になったでしょう?『私の期待に応えられる魔力を持ったあなた。私を見つけてくれてありがとう。』と……。そのことから考えても……」
「この本の著者が、もしかするとお前の血縁かもしれんということか」
「……まだ分かりません。だって父様と母様からは、私がマグルの両親から生まれたと教えられましたし、生みの両親のお墓にはエメリア・スイッチと異なる苗字が刻まれていましたから……。ただ、エメリアは二百年も前に名を馳せた方のようですから、完全に私と血の繋がりがないと言い切るのは早計かもしれません。それに、このページを見てください。」
そう言ってフォーラがスネイプに開いて見せたページには、初老の魔女の写真があった。そこに写る彼女は相変わらず居心地悪そうに視線を何処かに向けた後、こちらを見て作り笑いを覗かせていた。
「誰かに似ていると思いませんか……?」
スネイプはエメリアの写真を暫く眺めた後で、不意にフォーラの方に目をやった。
「我輩の目には……まさかどういうわけか、幾らかお前に似ているように見えるが」
「そうなんです、私も同じことを思いました。これこそ本当にただの偶然かもしれませんが……。ただ、私も彼女程ではないにしろ、変身術が周囲の人たちよりも得意です。そして、偶然にもこの本の鍵を開ける権限を持っていた。あまりにも偶然が重なりすぎています。」
スネイプは一連の説明によって、何故フォーラがエメリアの構築した変身術を習得したいと言い出したのか、ようやく合点がいった。彼女はドラコのためだけでなく、純粋な変身術への興味、そして彼女自身のルーツを知ることができるかもしれないという期待を感じていたのだ。
「……」スネイプは少々思案した。フォーラの意志は十分に理解できる。しかし彼女が関心を示した闇の魔術が危険を伴う可能性は捨てきれない。ただ、もし術が上手くいけば、彼女が卒業して騎士団に入団した時、即戦力となることは間違いないだろう……。
「フォーラ、お前の考えはよく分かった」
それを聞いた彼女は顔をパッと明るくさせて期待の目を向けたが、スネイプがそれを制した。
「術を試すことを許可したわけではない。いいか、先ずはふくろう試験が終わる約二か月後まで、この本を我輩に預けたまえ」
「えっ?どうしてですか……?」
「この本に罠や危険の類がないか調べるためだ。それに、特に『ポリジュースの呪文』とかいう眉唾についても、致命的な欠陥がないか調べる必要がある。他のページにある術もそうだが、今ざっと手順を見る限り、やはりあまりにも闇の魔術の系統としか考えられんのでな」
フォーラが本を取り上げられることにショックの表情を浮かべているものだから、スネイプは一呼吸置いてから続けた。
「もし、本や術に何も危険な仕掛けが組み込まれていなければ―――、試しにマグルの医療機関から一人分だけ輸血用の血を取ってきてやる。それなら仮に変身が成功しても魔法界に顔見知りはおらず、誰にも影響は出まい」
「えっ……」フォーラの表情が驚きで固まったものだから、スネイプは眉間に皺を寄せた。
「不満か?この我輩が、聞き捨てならん内容を知らされた上で、お前のために随分譲歩した方だと思うが」
「いっいいえ!不満なんて、寧ろありがとうございます、私、てっきり完全に反対されるものだと……。」
「言っておくが、我輩の血は到底くれてやるつもりはない」スネイプがピシャリと言った。
「それに、マグルの血を与えるのはあくまで安全が確認された場合だ。覚えておけ」
「はい、それでもかまいません。ありがとうございます!術の安全を確認していただけるだけでも、大変有難いことです。」
スネイプが肩眉を吊り上げて続きを促した。その表情は、真っ当な根拠があるなら言ってみろという威圧感でいっぱいだった。
「その、私は禁書の棚に流れていた微弱な魔力のようなものに導かれて、この本を手に取りました。今も常にその弱い力をこの本から感じます。セブルスさんはどうですか?」
「魔力……いや、そのようなものは一切感じない」
「やっぱりそうなのですね。マダム・ピンスに貸し出しをしていただいた時も、周囲の友人からも、この本について特に何も言及されませんでしたから。恐らくどういうわけか、多分……現状は私にしか感じ取れない魔力の可能性があるかと。それに、その力は何というべきか、私の身体にとっても馴染んでいる気がするんです。」
スネイプはそんな馬鹿なと言いたげにフォーラを見た。一方の彼女は、自分が彼の立場でも同じことを思っただろうと感じた。
「それだけではないんです。この本を図書室で見つけた時、私は試しに先程のとおり暴露呪文を掛け、隠されていた記述を浮かび上がらせました。そして元の状態に戻してから、本を借りるためにマダム・ピンスに差し出したんです。その際に彼女も偶然同じ呪文を掛けましたが、今度はびくとも変化しませんでした。」
スネイプはまるで不思議なものを見るかのようにフォーラを見つめ、彼女の方もまっすぐ彼を見つめ返した。
「本が本来の姿を現した時は、まるで私の魔力が本と調和したような、鍵の役割を果たしたような……そんな感覚でした。現に先程、セブルスさんの目の前で暴露呪文を唱えた後に一瞬現れたメッセージをご覧になったでしょう?『私の期待に応えられる魔力を持ったあなた。私を見つけてくれてありがとう。』と……。そのことから考えても……」
「この本の著者が、もしかするとお前の血縁かもしれんということか」
「……まだ分かりません。だって父様と母様からは、私がマグルの両親から生まれたと教えられましたし、生みの両親のお墓にはエメリア・スイッチと異なる苗字が刻まれていましたから……。ただ、エメリアは二百年も前に名を馳せた方のようですから、完全に私と血の繋がりがないと言い切るのは早計かもしれません。それに、このページを見てください。」
そう言ってフォーラがスネイプに開いて見せたページには、初老の魔女の写真があった。そこに写る彼女は相変わらず居心地悪そうに視線を何処かに向けた後、こちらを見て作り笑いを覗かせていた。
「誰かに似ていると思いませんか……?」
スネイプはエメリアの写真を暫く眺めた後で、不意にフォーラの方に目をやった。
「我輩の目には……まさかどういうわけか、幾らかお前に似ているように見えるが」
「そうなんです、私も同じことを思いました。これこそ本当にただの偶然かもしれませんが……。ただ、私も彼女程ではないにしろ、変身術が周囲の人たちよりも得意です。そして、偶然にもこの本の鍵を開ける権限を持っていた。あまりにも偶然が重なりすぎています。」
スネイプは一連の説明によって、何故フォーラがエメリアの構築した変身術を習得したいと言い出したのか、ようやく合点がいった。彼女はドラコのためだけでなく、純粋な変身術への興味、そして彼女自身のルーツを知ることができるかもしれないという期待を感じていたのだ。
「……」スネイプは少々思案した。フォーラの意志は十分に理解できる。しかし彼女が関心を示した闇の魔術が危険を伴う可能性は捨てきれない。ただ、もし術が上手くいけば、彼女が卒業して騎士団に入団した時、即戦力となることは間違いないだろう……。
「フォーラ、お前の考えはよく分かった」
それを聞いた彼女は顔をパッと明るくさせて期待の目を向けたが、スネイプがそれを制した。
「術を試すことを許可したわけではない。いいか、先ずはふくろう試験が終わる約二か月後まで、この本を我輩に預けたまえ」
「えっ?どうしてですか……?」
「この本に罠や危険の類がないか調べるためだ。それに、特に『ポリジュースの呪文』とかいう眉唾についても、致命的な欠陥がないか調べる必要がある。他のページにある術もそうだが、今ざっと手順を見る限り、やはりあまりにも闇の魔術の系統としか考えられんのでな」
フォーラが本を取り上げられることにショックの表情を浮かべているものだから、スネイプは一呼吸置いてから続けた。
「もし、本や術に何も危険な仕掛けが組み込まれていなければ―――、試しにマグルの医療機関から一人分だけ輸血用の血を取ってきてやる。それなら仮に変身が成功しても魔法界に顔見知りはおらず、誰にも影響は出まい」
「えっ……」フォーラの表情が驚きで固まったものだから、スネイプは眉間に皺を寄せた。
「不満か?この我輩が、聞き捨てならん内容を知らされた上で、お前のために随分譲歩した方だと思うが」
「いっいいえ!不満なんて、寧ろありがとうございます、私、てっきり完全に反対されるものだと……。」
「言っておくが、我輩の血は到底くれてやるつもりはない」スネイプがピシャリと言った。
「それに、マグルの血を与えるのはあくまで安全が確認された場合だ。覚えておけ」
「はい、それでもかまいません。ありがとうございます!術の安全を確認していただけるだけでも、大変有難いことです。」