22.Sweet seduction
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「え、あ、ドラコ……?」
フォーラが赤みの差した頬をしてようやく声を発すると、その声に反応してか、ドラコは先程よりも軽く目を見開いた。そして何やら我に返ったかのように焦って周囲に視線を向け、誰もこちらを見ていないことが分かると改めて彼女の方を見た。その内に彼の顔はじわじわと熱を帯びていき、最終的に耐え切れなくなって彼女から視線を逸らしたのだった。
「すまない!こんなところで。人もいるのに突然だった……。」
「う、ううん!少し驚いたけれど、私は大丈夫よ。……それにしても本当に突然、どうしたの……?」
「あー……、その。」
ドラコは先程から触れているフォーラの手を何度かそわそわと撫でてから、ようやく彼女と目を合わせて小声で呟いた。
「気が付いたら、身体が勝手に動いていたんだ。君が……随分楽しそうに嬉しいことを言ってくれるから、そんなことを言う口はどんなだろうと思って、つい気になったんだ」
フォーラはドラコがまさかこうして、ストレートかつ包み隠さずに自身の考えを伝えてくるとは思わず、心臓が本当にむず痒く感じた。加えて彼女は、ドラコの自制心が一瞬でもどこかに行ってしまう程、彼が自分を可愛いと思ってくれたことに嬉しくて仕方がなくなっていた。
ドラコの方は改めてつい先程の自身の発言を思い返したのだが、あまりにも普段の自分像とかけ離れていて穴があったら今すぐ入りたいと思った。そして何も言わない彼女との空気感から逃げるように言葉を繋いだ。
「兎に角、幾ら人が少ないからとはいえ軽率だった。人目に触れるところでするなんて、君も僕も避けたがっていたことなのに―――」
ドラコが改めて謝罪しかけた時、おもむろにフォーラがその場に立ち上がった。ドラコはそれに気が付いて彼女の方を見上げようとしたのだが、それとほぼ同じタイミングで、彼の横顔から首の辺りにかけて非常に柔らかい圧迫感がドッと襲ってきた。彼はその軽い衝撃の反動に声を漏らした。
「うっ」
ドラコが何事かと視線を向けると、彼はフォーラにぎゅっときつく抱き締められていて、彼女の柔らかい胸元に顔が半分埋まってしまっていたのだった。
「!?!?」
ドラコはそれを認識するや否や、その場にピシリと固まってしまった。その静止した身体に反して彼の心臓は急激にドッドッという音を立てて脈打った。フォーラに抱擁されたのは初めてではなかったが、前回はお互いの気持ちを確かめ合えた安堵の気持ちが強くて、彼女の柔らかさを意識している場合ではなかった。しかし今はどうあがいても、全ての意識をそこに集中してしまうのは避けられなかった。
フォーラはドラコを一層きつく抱き締めた後でそっと彼から離れ、必死な表情で彼の方へ視線を落とした。彼女に見つめられているドラコの方は、たった今起こった事に顔から火が出るかと思う程赤くなって困惑していた。
「私……確かにドラコと同じで、誰かがいるところでのスキンシップは恥ずかしいわ。でも、ドラコにとって私は自然と触れたくなるような存在なんだと思ったら、とっても嬉しくて。だから私も、思い切って貴方への気持ちに衝動的になってみたの……!」
フォーラは一生懸命に気持ちを伝えようとそのように言葉を紡いだ後、不安そうに眉を下げた。
「ここでキスを返すのは、まだ私にとって少しハードルが高かったから……。その、いきなり抱き着いたりして大丈夫だったかしら?嫌じゃなかった……?」
それはドラコが人前での恋人らしいスキンシップを避けていることを気にしての質問だった。ドラコはフォーラの行動が必死に気持ちを返してくれた結果なのだと理解し、相変わらず真っ赤な顔で慌てて返答した。
「も、もちろん嫌じゃない」
その言葉にフォーラは安堵した後で嬉しそうに微笑んだ。彼女は自分の行動に一生懸命で、そのことがドラコの心臓に大ダメージを与えているとは思いもしなかった。
「よかった……。あの、私、これ以上ここに居るのは恥ずかしくって……だからもうベッドに戻ることにするわ。おやすみなさい……!」
フォーラは小さく手を振ると、逃げるようにして女子寮の方へ消えていった。ドラコはまだ煩い心臓に気を取られたせいで、彼女の後ろ姿にもう届かない返事をしたのだった。
「あ、ああ。おやすみ……」
ドラコはその後、暫くその場に座ってボーっと惚けていた。その間、先程のハプニングのような出来事と、彼女の柔らかな感触が鮮明に思い出されてしまうのは避けられなかった。そのため彼は身体の内側から来るむず痒さのような感覚に耐えかねて、それを頭から薙ぎ払うように男子寮へと上がって行った。
しかしその感覚はシャワーを浴びてもベッドに潜り込んでも消えることがなく、寧ろじんわりと全身に広がっていくようだった。そのためドラコは直ぐに寝付くことができなかった。そして彼は次の日の朝に身支度を終えるまで、フォーラに彼のローブを渡したままだったことに気付かない程に意識が散漫になっていたのだった。
フォーラが赤みの差した頬をしてようやく声を発すると、その声に反応してか、ドラコは先程よりも軽く目を見開いた。そして何やら我に返ったかのように焦って周囲に視線を向け、誰もこちらを見ていないことが分かると改めて彼女の方を見た。その内に彼の顔はじわじわと熱を帯びていき、最終的に耐え切れなくなって彼女から視線を逸らしたのだった。
「すまない!こんなところで。人もいるのに突然だった……。」
「う、ううん!少し驚いたけれど、私は大丈夫よ。……それにしても本当に突然、どうしたの……?」
「あー……、その。」
ドラコは先程から触れているフォーラの手を何度かそわそわと撫でてから、ようやく彼女と目を合わせて小声で呟いた。
「気が付いたら、身体が勝手に動いていたんだ。君が……随分楽しそうに嬉しいことを言ってくれるから、そんなことを言う口はどんなだろうと思って、つい気になったんだ」
フォーラはドラコがまさかこうして、ストレートかつ包み隠さずに自身の考えを伝えてくるとは思わず、心臓が本当にむず痒く感じた。加えて彼女は、ドラコの自制心が一瞬でもどこかに行ってしまう程、彼が自分を可愛いと思ってくれたことに嬉しくて仕方がなくなっていた。
ドラコの方は改めてつい先程の自身の発言を思い返したのだが、あまりにも普段の自分像とかけ離れていて穴があったら今すぐ入りたいと思った。そして何も言わない彼女との空気感から逃げるように言葉を繋いだ。
「兎に角、幾ら人が少ないからとはいえ軽率だった。人目に触れるところでするなんて、君も僕も避けたがっていたことなのに―――」
ドラコが改めて謝罪しかけた時、おもむろにフォーラがその場に立ち上がった。ドラコはそれに気が付いて彼女の方を見上げようとしたのだが、それとほぼ同じタイミングで、彼の横顔から首の辺りにかけて非常に柔らかい圧迫感がドッと襲ってきた。彼はその軽い衝撃の反動に声を漏らした。
「うっ」
ドラコが何事かと視線を向けると、彼はフォーラにぎゅっときつく抱き締められていて、彼女の柔らかい胸元に顔が半分埋まってしまっていたのだった。
「!?!?」
ドラコはそれを認識するや否や、その場にピシリと固まってしまった。その静止した身体に反して彼の心臓は急激にドッドッという音を立てて脈打った。フォーラに抱擁されたのは初めてではなかったが、前回はお互いの気持ちを確かめ合えた安堵の気持ちが強くて、彼女の柔らかさを意識している場合ではなかった。しかし今はどうあがいても、全ての意識をそこに集中してしまうのは避けられなかった。
フォーラはドラコを一層きつく抱き締めた後でそっと彼から離れ、必死な表情で彼の方へ視線を落とした。彼女に見つめられているドラコの方は、たった今起こった事に顔から火が出るかと思う程赤くなって困惑していた。
「私……確かにドラコと同じで、誰かがいるところでのスキンシップは恥ずかしいわ。でも、ドラコにとって私は自然と触れたくなるような存在なんだと思ったら、とっても嬉しくて。だから私も、思い切って貴方への気持ちに衝動的になってみたの……!」
フォーラは一生懸命に気持ちを伝えようとそのように言葉を紡いだ後、不安そうに眉を下げた。
「ここでキスを返すのは、まだ私にとって少しハードルが高かったから……。その、いきなり抱き着いたりして大丈夫だったかしら?嫌じゃなかった……?」
それはドラコが人前での恋人らしいスキンシップを避けていることを気にしての質問だった。ドラコはフォーラの行動が必死に気持ちを返してくれた結果なのだと理解し、相変わらず真っ赤な顔で慌てて返答した。
「も、もちろん嫌じゃない」
その言葉にフォーラは安堵した後で嬉しそうに微笑んだ。彼女は自分の行動に一生懸命で、そのことがドラコの心臓に大ダメージを与えているとは思いもしなかった。
「よかった……。あの、私、これ以上ここに居るのは恥ずかしくって……だからもうベッドに戻ることにするわ。おやすみなさい……!」
フォーラは小さく手を振ると、逃げるようにして女子寮の方へ消えていった。ドラコはまだ煩い心臓に気を取られたせいで、彼女の後ろ姿にもう届かない返事をしたのだった。
「あ、ああ。おやすみ……」
ドラコはその後、暫くその場に座ってボーっと惚けていた。その間、先程のハプニングのような出来事と、彼女の柔らかな感触が鮮明に思い出されてしまうのは避けられなかった。そのため彼は身体の内側から来るむず痒さのような感覚に耐えかねて、それを頭から薙ぎ払うように男子寮へと上がって行った。
しかしその感覚はシャワーを浴びてもベッドに潜り込んでも消えることがなく、寧ろじんわりと全身に広がっていくようだった。そのためドラコは直ぐに寝付くことができなかった。そして彼は次の日の朝に身支度を終えるまで、フォーラに彼のローブを渡したままだったことに気付かない程に意識が散漫になっていたのだった。