22.Sweet seduction
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そうしてドラコがタイミングを見誤った結果、夕食後から数時間経った談話室では、フォーラが女友達と共に勉強道具を片付け、周囲の友人たちにおやすみの挨拶をしていた。ちょうどその時のドラコはセオドールやクラッブとゴイルから、魔法薬学のことについて質問を受けていたところだった。彼がフォーラのおやすみの挨拶に気付いて顔を上げた時には、もう彼女は女子寮に続く階段の方へ向かっていたのだった。
ドラコは視線を教科書に戻しながら、フォーラを誘う機会を逃したことに肩を落とした。今日はもう彼女は談話室には現れない。女子生徒というのは高学年になるほど、シャワーなど就寝の身支度を終えた後は男子と共通の空間に姿を見せるのを避ける生き物だ。それはフォーラもその友人たちも例外ではなかった。
それからドラコは普段の試験準備の遅れを取り戻すべく、セオドールたちが男子寮に行ってしまった後も談話室で勉強を続けた。彼は変身術の教科書と睨めっこをしながら幾つかの呪文を試していたのだが、フォーラのことで雑念が入って上手くいかない部分があり苦戦していた。
(明日は、朝一番に彼女に声をかけて、呪文練習に誘いたい……)
そうしてドラコが何度目かの失敗で気を散らしてしまい、教科書から顔を上げた頃には、談話室にいる生徒は随分疎らになっていた。そのため彼はそろそろ自分も男子寮に上がろうと机の上の物を片付け始めた。するとその時、不意に向こうの方から彼の名前を呼ぶ声が聞こえたのだった。
ドラコが反射的にそちらを見やると、どういうわけか、女子寮に上がった筈のフォーラが彼を見つけて安堵した表情で、小走りにこちらの方へ近寄って来ていた。
「よかった、まだここにいたのね。」
「フォーラ?てっきりもう寝てしまったのかと……」
ドラコは彼女が既に就寝用の服を纏っていることを認識すると、思わず続きの言葉が霧散してしまった。彼女がこのような姿で談話室にいるのを見たのはドラコにとって随分久しぶりだった。彼女は普段着よりも幾らか薄手の、裾の長いふわふわとしたワンピースを纏っていた。それは全体的にゆとりのあるサイズ感をしていて、日中彼女が着用しているかっちりとした服とは随分雰囲気が違っていた。露出は大して多くない筈なのに、何というか……ドラコからすれば『無防備』という言葉がぴったりだった。髪も乾かした後だからか、いつもよりふわふわしていてワンピースとよく似合っていたし、何よりすぐ側に来た彼女からは普段以上に甘い香りが感じられた。
そういったことを全てひっくるめてドラコはじっとフォーラを見つめてしまっていたのだが、彼女はそんなことに気付く筈もなく、彼の座っている椅子の肘掛けに軽く手を付いて身を寄せた。
「あのね、今日の夕方にパンジーが話していたと思うのだけど……尋問官親衛隊の活動時間が減るということを。それで私、少し考えていたことがあって。もし明日、貴方に時間があれば……一緒に杖を振る練習に付き合ってもらえないかしら。その、できれば二人で……。」
「!」
ドラコはフォーラに言いあぐねていたことを提案され、驚いたせいで第一声を発するのが遅れた。
「それは……みんなとじゃなくていいのか?」
ドラコの質問にフォーラはコクコクと頷いて幾らか視線を泳がせた後で、彼の瞳に視線を合わせた。
「その、私って防衛術が得意じゃないから、もし良ければドラコにマンツーマンで教えてもらえないかと思って。でもどちらかというと本音は、貴方と二人で何かして過ごしたかっただけなの。」
フォーラの言葉がドラコの考えと同じ過ぎたものだから、彼は少々自体が呑み込めずに再び彼女を見つめた。一方のフォーラはドラコが何も返答してこないものだから、てっきり彼に迷惑な話を振ってしまったと思い、その場を取り繕った。
「あ……だけど!ドラコが十分に自分の勉強の時間を取りたいと思っていることは、勿論考えたの。だから今の話はどちらでも……」
フォーラがそのように話す最中、彼女は肘掛けの上に乗せていた手を引っ込めかけた。するとその時不意にドラコがその手を取って、そっと肘掛けの上に重ね直したではないか。
「ドラコ……?」
「その……君との実技練習は嫌じゃない。寧ろ君の防衛術の手直しをしてあげたいし、逆に君が良ければ、僕の変身術の腕を見てもらいたい。さっきから失敗してばかりの術があるから」
「え!本当?わあ、それじゃあ私たち、お互いの得意な科目を教え合うことができるのね。教えてもらうばかりじゃなくて良かったわ……。」
フォーラは少々腰を折ってドラコと目線の高さを合わせながら微笑んだ。ドラコにはその笑顔が眩しく映った。しかも相変わらず彼女からバニラのようないい香りがして、彼女は普段あまり見ない無防備な恰好をしていて……。ドラコは何だか彼女に触れている自分の手が、普段よりもじわっとした熱を帯びているように感じた。
ドラコは視線を教科書に戻しながら、フォーラを誘う機会を逃したことに肩を落とした。今日はもう彼女は談話室には現れない。女子生徒というのは高学年になるほど、シャワーなど就寝の身支度を終えた後は男子と共通の空間に姿を見せるのを避ける生き物だ。それはフォーラもその友人たちも例外ではなかった。
それからドラコは普段の試験準備の遅れを取り戻すべく、セオドールたちが男子寮に行ってしまった後も談話室で勉強を続けた。彼は変身術の教科書と睨めっこをしながら幾つかの呪文を試していたのだが、フォーラのことで雑念が入って上手くいかない部分があり苦戦していた。
(明日は、朝一番に彼女に声をかけて、呪文練習に誘いたい……)
そうしてドラコが何度目かの失敗で気を散らしてしまい、教科書から顔を上げた頃には、談話室にいる生徒は随分疎らになっていた。そのため彼はそろそろ自分も男子寮に上がろうと机の上の物を片付け始めた。するとその時、不意に向こうの方から彼の名前を呼ぶ声が聞こえたのだった。
ドラコが反射的にそちらを見やると、どういうわけか、女子寮に上がった筈のフォーラが彼を見つけて安堵した表情で、小走りにこちらの方へ近寄って来ていた。
「よかった、まだここにいたのね。」
「フォーラ?てっきりもう寝てしまったのかと……」
ドラコは彼女が既に就寝用の服を纏っていることを認識すると、思わず続きの言葉が霧散してしまった。彼女がこのような姿で談話室にいるのを見たのはドラコにとって随分久しぶりだった。彼女は普段着よりも幾らか薄手の、裾の長いふわふわとしたワンピースを纏っていた。それは全体的にゆとりのあるサイズ感をしていて、日中彼女が着用しているかっちりとした服とは随分雰囲気が違っていた。露出は大して多くない筈なのに、何というか……ドラコからすれば『無防備』という言葉がぴったりだった。髪も乾かした後だからか、いつもよりふわふわしていてワンピースとよく似合っていたし、何よりすぐ側に来た彼女からは普段以上に甘い香りが感じられた。
そういったことを全てひっくるめてドラコはじっとフォーラを見つめてしまっていたのだが、彼女はそんなことに気付く筈もなく、彼の座っている椅子の肘掛けに軽く手を付いて身を寄せた。
「あのね、今日の夕方にパンジーが話していたと思うのだけど……尋問官親衛隊の活動時間が減るということを。それで私、少し考えていたことがあって。もし明日、貴方に時間があれば……一緒に杖を振る練習に付き合ってもらえないかしら。その、できれば二人で……。」
「!」
ドラコはフォーラに言いあぐねていたことを提案され、驚いたせいで第一声を発するのが遅れた。
「それは……みんなとじゃなくていいのか?」
ドラコの質問にフォーラはコクコクと頷いて幾らか視線を泳がせた後で、彼の瞳に視線を合わせた。
「その、私って防衛術が得意じゃないから、もし良ければドラコにマンツーマンで教えてもらえないかと思って。でもどちらかというと本音は、貴方と二人で何かして過ごしたかっただけなの。」
フォーラの言葉がドラコの考えと同じ過ぎたものだから、彼は少々自体が呑み込めずに再び彼女を見つめた。一方のフォーラはドラコが何も返答してこないものだから、てっきり彼に迷惑な話を振ってしまったと思い、その場を取り繕った。
「あ……だけど!ドラコが十分に自分の勉強の時間を取りたいと思っていることは、勿論考えたの。だから今の話はどちらでも……」
フォーラがそのように話す最中、彼女は肘掛けの上に乗せていた手を引っ込めかけた。するとその時不意にドラコがその手を取って、そっと肘掛けの上に重ね直したではないか。
「ドラコ……?」
「その……君との実技練習は嫌じゃない。寧ろ君の防衛術の手直しをしてあげたいし、逆に君が良ければ、僕の変身術の腕を見てもらいたい。さっきから失敗してばかりの術があるから」
「え!本当?わあ、それじゃあ私たち、お互いの得意な科目を教え合うことができるのね。教えてもらうばかりじゃなくて良かったわ……。」
フォーラは少々腰を折ってドラコと目線の高さを合わせながら微笑んだ。ドラコにはその笑顔が眩しく映った。しかも相変わらず彼女からバニラのようないい香りがして、彼女は普段あまり見ない無防備な恰好をしていて……。ドラコは何だか彼女に触れている自分の手が、普段よりもじわっとした熱を帯びているように感じた。