21. 短いふれあい
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ドラコは友人たちのあらゆる質問に可能な限り丁寧に回答した。それはこの度の騒動に巻き込んでしまった申し訳なさによるものだった。そうしてようやくパンジーたちがドラコの取った態度の理由を把握しきった頃、ルニーが盛大な安堵のため息と共にフォーラの方に倒れ込むように抱き着いた。
「どうしたの?沢山話を聞いて、疲れてしまったかしら……。」
フォーラが心配の声を掛けつつルニーの頭を撫でてやると、それを受けた彼女は軽く首を横に振った。
「違うの、そうじゃないのよ。……ドラコがフォーラを避けていた理由が、告白を断られた腹いせだとかそんなしょうのないものじゃなくて本当に良かったと思ったの。ドラコの態度にわけが分からなくて翻弄されたのは確かだけど、でも、ドラコがどれだけフォーラをずっと好きだったかが分かったから、安心して力が抜けちゃったのかも」
ルニーはそう言って力なくフォーラに笑いかけたが、一方でパンジーの方は深く腕組みをし、渋い顔でドラコをじっと見つめていた。
「ドラコ、もう分かっていると思うけど、貴方にはもっと他にやりようがあった筈だわ。デリケートな内容だし、私たちやクラッブとゴイルにすら多くを話せなかったことは理解するけど」
「ああ……本当にすまなかった。君たちには沢山気を遣わせてしまった」
パンジーはドラコが心から申し訳なさそうにしているのを見て、昔からこの人の元気のない姿にはめっぽう弱いと思った。
「もう、貴方の後悔は十分に伝わってきたわよ。私が言いたいのは一つ。もう今後、これ以上フォーラのことを突き放したりしないで。……大事にしてあげて」
パンジーの言葉にドラコとフォーラは互いを見つめた。そして彼はパンジーに向かって即座に頷いた。
「ああ、勿論だ」
それを受けてパンジーはにっこりと笑みを返した。
「ええ!……本当は私もルニーも、貴方に呪いの一発や二発お見舞いしたいくらいなのよ。だって私たち、貴方のことは勿論大事なクラスメイトだと思っているけど、それ以上にフォーラが大切なんだもの。事情があったとはいえ、私たちの大事な人を傷つけられたんだから。それに、特に私に至っては貴方と監督生として行動する中でどれだけ気を遣ってきたか分かる?」
その後のドラコは、パンジーやルニーからこれまでの日々に関するお小言を沢山頂戴した。しかし彼女たちがそんな風に怒りのつぶてをぶつけても、どこかみんな、久しぶりにいつかの日常に戻ったような安心感を得ていた。まだ心の内に大きな秘密を抱えているフォーラですら、そのように感じて多くの笑顔を見せたのだった。
さて、それからの日々はこれまでと随分違っていた。それはフォーラとドラコの関係もそうだったが、どちらかというとホグワーツ全体としては『ウィーズリー旋風』が巻き起こっているのが理由として大きかった。フレッドとジョージの自由への逃走は、あの日以来生徒たちの間で何度も繰り返し語られた。その勢いはこの話がいつかホグワーツの伝説になるかもしれないと思える程だったのだ。
ところでそれらの武勇伝の中にはフォーラにとって全く予想外な話題も含まれていた。それはジョージがホグワーツを去る直前、彼女にフリージアの赤い花を渡したことと、頬にキスを一つ落としたことだった。なんとその一連の行動は恋に恋するお年頃の生徒たちの間で密かに流行した。
というのも、あの出来事は傍から見ればジョージがフォーラに恋愛的な好意を伝えたと捉えるのが普通だろう。しかしフリージアの花言葉が『親愛』とか『友情』であることに何人かの生徒が気付いたのだ。生徒たちにはジョージの真意がはっきりと分からなかったものの、少なくとも間違いなく彼がフォーラを『人として大切に思っている』のは理解できた。
そこから生徒たちがジョージの右に習ったことで、気軽に好意を伝えるのに丁度いい花言葉を持つフリージアを意中の相手に贈るのがちょっとしたブームになったのだ。因みに頬へのキスについては互いに意識し合う中であれば当然相手に受け入れられたが、そうでない場合においてはその花はまるでクリスマスのヤドリギのように警戒対象となっていた。
双子はそれらの流行や伝説を残しただけでなく、誰もがそう簡単に二人を忘れられないように置き土産も残していた。例えば東棟の六階の廊下に広がる沼地だ。アンブリッジとフィルチはその沼地を消す術 が分からず、様々な方法を試しては失敗していた。そのためついにその区域には縄が張り巡らされ、フィルチは怒りにギリギリと歯軋りしながら渡し舟で生徒を教室まで運ぶ仕事をさせられた。マクゴナガルやフリットウィックなら簡単に沼地を消せただろうが、先生方にとってはアンブリッジに奮闘させて眺める方がよかったらしい。
今やホグワーツ中がウィーズリーの双子の後釜の地位を狙う生徒だらけだったし、彼らは双子の意志を継いでアンブリッジに全面的に反抗する姿勢を見せていた。というのも双子がまだ学校にいた頃にそれは多くの生徒が『ずる休みスナックボックス』を買っていたわけだが、アンブリッジが教室に入ると、双子のアイテムをわざと食べた生徒たちが気絶したり吐いたり、高熱を出したり、挙句、鼻血が大量に出るという症状を連発させて授業どころではなくさせていた。因みにそれらのアイテムにはフォーラが前回の夏休みに双子と手を加えた物も含まれ、かつ、その全てが今後双子によってダイアゴン横丁に開店する『悪戯専門店』で販売される代物でもあった。
「どうしたの?沢山話を聞いて、疲れてしまったかしら……。」
フォーラが心配の声を掛けつつルニーの頭を撫でてやると、それを受けた彼女は軽く首を横に振った。
「違うの、そうじゃないのよ。……ドラコがフォーラを避けていた理由が、告白を断られた腹いせだとかそんなしょうのないものじゃなくて本当に良かったと思ったの。ドラコの態度にわけが分からなくて翻弄されたのは確かだけど、でも、ドラコがどれだけフォーラをずっと好きだったかが分かったから、安心して力が抜けちゃったのかも」
ルニーはそう言って力なくフォーラに笑いかけたが、一方でパンジーの方は深く腕組みをし、渋い顔でドラコをじっと見つめていた。
「ドラコ、もう分かっていると思うけど、貴方にはもっと他にやりようがあった筈だわ。デリケートな内容だし、私たちやクラッブとゴイルにすら多くを話せなかったことは理解するけど」
「ああ……本当にすまなかった。君たちには沢山気を遣わせてしまった」
パンジーはドラコが心から申し訳なさそうにしているのを見て、昔からこの人の元気のない姿にはめっぽう弱いと思った。
「もう、貴方の後悔は十分に伝わってきたわよ。私が言いたいのは一つ。もう今後、これ以上フォーラのことを突き放したりしないで。……大事にしてあげて」
パンジーの言葉にドラコとフォーラは互いを見つめた。そして彼はパンジーに向かって即座に頷いた。
「ああ、勿論だ」
それを受けてパンジーはにっこりと笑みを返した。
「ええ!……本当は私もルニーも、貴方に呪いの一発や二発お見舞いしたいくらいなのよ。だって私たち、貴方のことは勿論大事なクラスメイトだと思っているけど、それ以上にフォーラが大切なんだもの。事情があったとはいえ、私たちの大事な人を傷つけられたんだから。それに、特に私に至っては貴方と監督生として行動する中でどれだけ気を遣ってきたか分かる?」
その後のドラコは、パンジーやルニーからこれまでの日々に関するお小言を沢山頂戴した。しかし彼女たちがそんな風に怒りのつぶてをぶつけても、どこかみんな、久しぶりにいつかの日常に戻ったような安心感を得ていた。まだ心の内に大きな秘密を抱えているフォーラですら、そのように感じて多くの笑顔を見せたのだった。
さて、それからの日々はこれまでと随分違っていた。それはフォーラとドラコの関係もそうだったが、どちらかというとホグワーツ全体としては『ウィーズリー旋風』が巻き起こっているのが理由として大きかった。フレッドとジョージの自由への逃走は、あの日以来生徒たちの間で何度も繰り返し語られた。その勢いはこの話がいつかホグワーツの伝説になるかもしれないと思える程だったのだ。
ところでそれらの武勇伝の中にはフォーラにとって全く予想外な話題も含まれていた。それはジョージがホグワーツを去る直前、彼女にフリージアの赤い花を渡したことと、頬にキスを一つ落としたことだった。なんとその一連の行動は恋に恋するお年頃の生徒たちの間で密かに流行した。
というのも、あの出来事は傍から見ればジョージがフォーラに恋愛的な好意を伝えたと捉えるのが普通だろう。しかしフリージアの花言葉が『親愛』とか『友情』であることに何人かの生徒が気付いたのだ。生徒たちにはジョージの真意がはっきりと分からなかったものの、少なくとも間違いなく彼がフォーラを『人として大切に思っている』のは理解できた。
そこから生徒たちがジョージの右に習ったことで、気軽に好意を伝えるのに丁度いい花言葉を持つフリージアを意中の相手に贈るのがちょっとしたブームになったのだ。因みに頬へのキスについては互いに意識し合う中であれば当然相手に受け入れられたが、そうでない場合においてはその花はまるでクリスマスのヤドリギのように警戒対象となっていた。
双子はそれらの流行や伝説を残しただけでなく、誰もがそう簡単に二人を忘れられないように置き土産も残していた。例えば東棟の六階の廊下に広がる沼地だ。アンブリッジとフィルチはその沼地を消す
今やホグワーツ中がウィーズリーの双子の後釜の地位を狙う生徒だらけだったし、彼らは双子の意志を継いでアンブリッジに全面的に反抗する姿勢を見せていた。というのも双子がまだ学校にいた頃にそれは多くの生徒が『ずる休みスナックボックス』を買っていたわけだが、アンブリッジが教室に入ると、双子のアイテムをわざと食べた生徒たちが気絶したり吐いたり、高熱を出したり、挙句、鼻血が大量に出るという症状を連発させて授業どころではなくさせていた。因みにそれらのアイテムにはフォーラが前回の夏休みに双子と手を加えた物も含まれ、かつ、その全てが今後双子によってダイアゴン横丁に開店する『悪戯専門店』で販売される代物でもあった。